1986年に発売を開始した富士フィルム“写ルンです”。その手軽さからは思い及ばないほどの描写力で、使い慣れた我々はもちろんのことデジタル世代をも魅了しています。しかし、そんな“写ルンです”は“使い捨て”。カメラ本体に愛着を持とうにも、なかなかそうはいきません。そんな“写ルンです”と一緒に愛着を育てられるようなアイテムを作りたい、という思いでこのプロジェクトを立ち上げました。
“写ルンです”専用のケースを作ります。お財布やカバンのように、いつも、そして長く使うことのできるようデザインしました。素材にはイタリア製の牛革(高価=良質とは限りませんが、この素材は高価で上質です)を、金属パーツにはニッケルを用い、革職人がひとつひとつ手作業で製作します。“写ルンです シンプルエース”と“写ルンです 1600 Hi・speed”に対応しています。
ご支援いただいた資金でケースを製作します。イタリア製のレザーやニッケルパーツの仕入れ、サンプル・抜き型の製作費、職人さんの工賃などに充てることになります。目標額を大きく上回った場合、その資金は次のモノづくりに活用されます。
“写ルンです”の専用本革ケースをお渡しします。専用のストラップを2種類製作致しましたので、お好みに合わせてご選択ください。手首に引っ掛けてつかうコンパクトな「ハンドストラップ」は本体と同じ素材(イタリアンレザー)で製作。首から掛けられる長さの「ネックストラップ」は上品なブルー。こちらも本体と同等の素材を用いて作ります。
覗き穴やスイッチがたくさんついたカメラのケースには、たくさんの“穴”が必要になります。プラスチックなら図面通りにピタっと収まりますが、伸びる性質を持った革の場合はそうはいきません。革の厚みや縫い合わせの具合など、ちょっとした理由で穴の位置がずれてしまいます。この問題を解決するために、設計→紙模型→プレサンプル→初期サンプル→最終サンプル→実作と、2ヶ月以上の時間をかけて試行錯誤を繰り返しました。「この問題があるから、量産されていないのではないか」と考えるほどに苦労しましたが、0.1mm単位での革の厚みの調整と職人さんの多大な協力のおかげでなんとか乗り越えることができました。強い素材が必要になり、手間のかかる製作方法を採用したため、材料費・製作費ともに当初の予定よりも大きくなってしまいましたが、宣伝・流通を“CAMPFIRE”に限定することで低価格を実現しました。
最後までお読みいただきありがとうございます。ものづくりはいつも“こんなものが欲しい”という想いから始まります。この度の“写ルンです”専用ケースについても想いは同じ。まずは僕自身が使いたいのです。しかし、前に述べたとおり、この製作には大きなお金が必要になります(1個分だけの材料を仕入れることはできず、型やサンプルの製作も必要。たった数個作るだけでも10万円以上かかってしまうのです)。貧乏カメラマンの僕には、とてもそんなお金を用意することができません。そこで、クラウド・ファンディングの活用に思い至りました。求める人を集め、必要経費を折半しようという発想です。“こんなものが欲しい”という勝手な考えではじまったプロジェクトですが、周りを巻き込み進めているうちに「自分だけが使うわけではないのだから、普遍的なモノを作らなければ」という考えが加わり、頑丈でシンプルなデザインにたどり着きました。クラウド・ファンディングでモノづくりを行う場合、製作前に量的なニーズを把握することができます。その点でいえば、大量生産したものをとにかく安くバラまくという、いわゆる現今の消費社会とは違った地平を向いていると言えるでしょう。モノ作りの喜びを感じることができる社会への歩みとしてCAMPFIREを利用し、そして実際に、“よいモノ”を手にしてみてください。どうか、ご支援よろしくお願いいたいます。
Neon Design Office代表
大宮浩平
コメント
もっと見る