eラーニングで全国へ、子ども達の学習を支える人材を育てたい!

 私たち NPO法人eboard(いーぼーど)は、「学びをあきらめない社会」を団体のミッションに、無料学習サイトeboard を開発・運営しています。「誰でも、いつでも、1から学べる機会を」。そうした思いから、現在、映像授業2000本、問題集5000問を作成、すべて無料で公開しています。これまでに、映像授業は1000万回以上再生され、全国の子ども達に学習の機会を提供してきました。

 私たちの取り組みは、インターネット上だけに留まるものでは、ありません。学習に課題を抱える子ども達の中には、学習意欲が低く勉強に取り組めない子、家庭で学習できる環境がない子も多くいます。そうした子ども達にも、学習の機会を届けられるよう、これまでに全国100以上の学校や教育委員会、地域やNPOを通して、教育・学習支援の現場を通して、eboardを届けてきました。

 現在、さらなる取り組みの充実と展開のため、こうした現場を支える先生や地域、NPOの方への研修に力を入れています。しかし、地理的・時間的・資金的コストの問題から、研修を受けることが難しい現場も多く、現場への方への研修についても、eラーニング化(オンライン化)していきたいと考えています。

 これを機に、大学・学術機関とも連携して 研修をブラッシュアップし、インターネットを通して、全国の現場へ、サポート力アップの機会を届けます。さらに「教材+研修」がセットになることで、より低負担でスムーズに、全国に子ども達の学びを支える現場をつくっていくことができます。

「子ども達の学びを支える」教材と研修を全国へ。大学・学術機関との研修開発、eラーニング化のため、応援をお願い致します! 

 

 

 
▼ 事例1:離島・中山間地域での取り組み

 全国の離島・中山間地域では、急速な人口減少にともない、学校・学級の統廃合(年間約500校のペース)が進んでいます。学習塾など 学校外の学習機会が少なく、支援人材も限られた地域では、ICTが大切な役割を果たしています。

 島根県益田市二条地区。高齢化率が47%を超えるこの地区には、全校生徒8名、過疎地域の多い島根でも最も規模の小さい中学校があります。周りに学習塾もなく、高校入試も倍率割れが起きる中、小規模校ではどうしても学力が硬直化しがちです。ここでは、中学生の放課後学習をサポートするため、eboardを使った取り組みが公民館で行われています。

 

 公民館に集まり、学習会が始まります。学習の場の運営は、公民館職員や地域の方、保護者の方が担います。もちろん、都市部の大学生のように勉強を教えることができませんが、eboardの動画や生徒どうしの教えあいで、学習の場をつくることができています。eboardからは、勉強を「教える」のではなく、生徒たちの学習意欲や学習方法を「支援する」形のサポート、場の運営の仕方を研修でお伝えすることで、同じような課題を抱えた自治体・地域への展開を支援しています。2013年からスタートした島根県中山間地域での取り組みは、2016年度には県内6自治体20拠点にまで、広がりました。

 しかし、都心部とは異なり、eboardからのサポートや研修は、地方自治体にとっても、eboardにとっても大きな負担に。研修のeラーニング化やオンラインサポートを充実させることで、全国の取り組みを支えていきたいと考えています。

 

▼ 事例2:子どもの貧困解消に向けた取り組み 

 厚生労働省の報告書によると、日本の子どもの相対的貧困率は16.3%、日本の子どもの約6人に1人が貧困状態にあります。貧困家庭の子ども達は、学習塾など 学校外の学習機会へアクセスできないだけでなく、家庭で落ちついて学習できる環境が整っていないことも多く、学習習慣や学力、結果として進学状況などに差がでしまっています。 

 自治体からの委託を受け、こうした世帯の子ども達の学習を支援する首都圏のNPOでも、eboardの活用が進んでいます。大学生など教科指導できるボランティアの確保が難しくなる中、ICTを活用することで、地域の方や様々な方の関わりが可能になり、多面的な支援が可能になります。eboardでは、こうしたNPO拠点へ教材を提供させて頂くだけでなく、定期的に訪問させて頂き、各現場の生徒や支援者のスキル、ICT環境に合わせた研修・サポート(相談、助言等)を行っています。

 一方、NPOどうしでできる取り組みには資金的な課題があり、現在自治体や学校向けに行っている研修をeラーニング化していくことで、より多くの支援の現場に、研修やサポートを提供していきたいと考えています。

 

▼ 事例3:学び直しの取り組み

 不登校経験をはじめとして、様々な背景を抱える生徒が通う公立高校でも、eboardの活用が進んでいます。分数や小数がわからない、アルファベットがままならないなど、小中学校段階での学習につまずきを抱える生徒が多く、さらに、つまずきの箇所や進度にも大きなばらつきがあります。こうした学校の多くでは、学び直しの授業や放課後学習でeboardを活用頂くとともに、大学生ボランティアへの研修を行うなど、生徒それぞれのペースで学習できる環境をサポートしています。

 ある定時制高校の学び直し授業では、「目標の設定→学習→ふりかえり」という生徒たちの学習の流れを体系化し、支援にあたる大学生ボランティアに向けて、支援のタイミング、声のかけ方など学習支援について 研修を行いました。研修後、大学生のサポートによって、目標が立てられず集中できなかった生徒が、苦手やつまづきに合わせて取り組めるようになり、学校の授業にもついていけるようになりました。 

 ただ、毎年入れ替わる大学生ボランティアには、その都度研修が必要になるものの、大学授業の関係で時間を合わせにくく、集合研修をすることが難しくなっています。研修のeラーニング化をすることで、時間や場所を問わず研修を受けることができるようになり、他校や他地域からの新しい要望にも応えられる体制づくりを目指していきたいと考えています。 

 

▼ 実現したいこと(ご支援の使い道) 

 頂いたご支援を元に、大学・学術機関の先生方と連携し、研修の教材化・eラーニング化を進めます。研修は、現在 NPO法人eboard が行っている研修を元に、大きく「子ども達を取り巻く環境について」「学習とその支援のあり方について」をテーマに、全8講を作成予定です。

▲ 現在 eboard が提供している研修・サポート。これを元にブラシッシュアップします。各講、講師による映像授業とテキスト教材を組み合わせ、個人で学べるものから、現場でのワークショップ形式で利用できるものまで、学ぶ内容に合わせて開発を行います。 ※ 研修内容や講座数は、現在計画中のもので、変更の可能性があります。

 

 よりたくさんの子どもたちをサポートするため、質の高い研修をeラーニング化して、子どもたちの学習を支える人材を育てていきたい。

学校に行けないから… 僕の家はお金がないから… ここは田舎だから…

そんなことで、あきらめてほしくない。

「学びをあきらめない社会」の実現に向けて、ご協力お願いします。

 

◎ 学術アドバイザー
 森本 康彦 准教授

東京学芸大学 情報処理センター 准教授。教育分野におけるeポートフォリオに関する基礎研究、知的eポートフォリオ・システム/適応的eラーニング・システムの研究・開発、 学校教育でのICT活用に関する基礎研究および実践研究に力を注いでいる。

  

◎ 開発コアメンバー

 中村 孝一

NPO法人eboard 代表理事。大阪大学外国語学部卒。在学中に学習塾勤務や学習支援を通じて、教育格差を痛感。卒業後、外資系コンサルティング会社勤務を経て、2011年7月に、eboardを立ち上げる。サイト開発、プロジェクト推進を行う傍ら、これまでに1500本以上の映像授業を制作している。世界経済フォーラム「ダボス会議」Global Shapers メンバー。

 

 村山 大樹

金沢学院短期大学助教。幼稚園の非常勤講師を勤めた後、特定非営利活動法人 東京学芸大こども未来研究所の研究員に。株式会社バンダイ、東京学芸大学、特定非営利活動法人 東京学芸大こども未来研究所の共同研究による「それいけ!アンパンマン コドなび!」や「Disney | KIDEA」などのプロジェクトにかかわる。2016年10月からは金沢学院短期大学助教として、遊びや学びに関する研究を続けながら、次の世代の教員・保育者養成に力を注いでいる。特定非営利活動法人 東京学芸大こども未来研究所 学術フェロー。

 

 熊谷 一亮

千葉大学教育学部卒業後、ペンシルバニア州立インディアナ大学にて、英語教育を専攻。2013年初より、eboardに参画し、教材制作や教育現場への導入サポートに従事。現在は私立中高にて英語科教師として勤務しながら、英語教材の制作を担当。

 

▼ これまでの取り組みに対する評価

◎ 教材に対する これまでの評価
 - ベネッセコーポレーション、Microsoft、NTTドコモ・ベンチャーズ主催のedtechcampアワード「イノベーター部門」にて、NTTドコモ・ベンチャーズ賞を受賞(2014)。

- 第11回日本eラーニングアワードにて、文部科学大臣賞を受賞(2014)。

- 総務省「先導的教育システム実証事業」の提供コンテンツとして採択(2015)。

◎ 取組事例に対する これまでの評価
- 総務省「ICTドリームスクール実践モデル」事業に採択(2015〜)。

- 文部科学省「放課後等の学習支援活動におけるICT活用事例集」に掲載(2015)。

 

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