▼はじめにご挨拶

初めまして。川崎市内で医師をしています、西智弘と申します。普段は、総合病院の中や在宅の現場で、がんの患者さんを中心に診療を行っています。 

ところで、

「なんだか体のことで気になることがあるけど、病院に行くべきかしら?」

「家族が、がんと診断されたのだけど、どうしていけばいいかわからない・・・」

などといったときに、皆さんは誰に相談をしようと思いますか?親?兄弟?友人?…「知り合いに医療関係者がいればいいな」と思ったことはありませんか?

そんな時に、ふらっと立ち寄れて気軽に医療者とつながることができる場所―それが「暮らしの保健室」です。

▼プロジェクトをやろうと思った理由

 がんや認知症などの大きな病気にかかったとき、患者さんやご家族は、その生活が一変することに戸惑います。しかし、主治医の先生とは治療や、検査の方針などについて話し合うことはできても、「病気を抱えながらどうやって生活をしていくか」という点については、なかなか話ができないという方も多いのです。

また、患者さん本人は様々な公的サービスなどが受けられたとしても、その家族を支える仕組みは、いまの日本においては脆弱と言わざるを得ません。がんにかかった際の精神的ストレスは、家族も同様に強く感じているという報告もあるのに、です。親が病気になった際に、医師から「家族も付き添ってきてください」と言われても、その息子さんも奥さんも共働き、というご家庭も増えています。そのため、親が病気になったとき、子供世代が離職を考える…というケースも実際に出てきているのです。

私たちが拠点としている川崎市中原区は、武蔵小杉の再開発などの影響で人口が増え続け、25万人を超す規模のまちになっています。今は、40代前後の子育て世代の多いまちですが、これからの未来に向けて、住民と医療者とが手を取り合いながら「安心して暮らせるまち」を作っていきたい!と考えました。

そのためのカギとなる仕組みこそが「暮らしの保健室」なのです。

▼プロジェクトで実現したいこと

私たちは、「暮らしの保健室」の場を、川崎市内に設置し、そこを拠点とした活動を行います。

具体的には、いくつかのコミュニティスペースを使い、そこを巡回する形で定期的に開催します。武蔵小杉、元住吉や武蔵新城、そして現在武蔵中原に建築中の建物で開催していくことが決まっています。

暮らしの保健室では、看護師や医師などの医療者が常駐し、健康に関するちょっとした相談から、病気を抱えながら生活する際の悩みへの対応などを行います。医療コーディネーターとしての役割も果たし、地域の医療機関の紹介や、社会的資源との橋渡しをします。

キーフレーズは「すぐ近くにいる、普通のあの子なプロ集団」です。特に悩み事がなくても、お茶を飲むだけでもふらっと気軽に立ち寄ってもらえる場を作りたいなと思っています。その対話の中から、ご自身でも気づかなかった悩みが見つかるかもしれません。保健室ができたら、私たちも皆さまとたくさんお話をし、地域のことを教わりたいです。

そして、この「暮らしの保健室」を窓口として、看護師が病院などへ付き添いをする、といったサービスを依頼することもできます。例えば、「親が定期的に通院をしているのだけど、仕事を休んで付き添うことが難しい」という依頼があれば、看護師が家族の代理として病院まで付き添い、患者さんの精神的ケアから、主治医と患者さんとのコミュニケーションのサポート、またご家族に対しては診察内容のご報告を行う、といったことも可能です。ご家族が付き添いできる、という場合でも「専門的知識をもった方に診察室に同席してもらってサポートしてほしい」というニーズがあれば対応も可能です。

私たちは、医療者だけが中心となってこの「暮らしの保健室」を作っていくのではなく、市民の皆さんの力を合わせて、このしくみを育てていきたいと考えています。暮らしの保健室の運営に市民の方々にも参加してもらい、その一方で地域の医療機関や保健福祉機関ともつながり、この運営の場を通じて地域全体の医療システムをよりよいものにしていくしくみをつくっていきます。市民の皆さんが受けたい医療を、市民の皆さんの手で作り上げていきましょう!

▼これまでの活動

私たちは、川崎の武蔵小杉を中心にコミュニティづくりに取り組むNPO法人、「小杉駅周辺エリアマネジメント」の活動の一つとして、2014年からプロジェクトをはじめました。

「病気にならないまち/病気になっても安心して暮らせるまち」をつくろう!ということをメインコンセプトとして、料理教室を通じて食の大切さを伝えるイベントや、まちのお祭りに健康相談ブースを出して道ゆく方々のお悩みを伺ったり、といった活動をしてきました。

あるとき「ところで、『病気になっても安心して暮らせるまち』って何だろう?」とメンバーが言い出し、それをきっかけに街頭でアンケートを取ることにしました。アンケートには124名の方から回答を頂き、多かったものとしては、

「信頼できる医療機関・医師がある」
「住民同士がお互い支えあえる仕組みがある」
「健康問題などに関して気軽に相談できる場所がある」

でした。私たちはこれを見て、「武蔵小杉にも『暮らしの保健室』のような場所が必要だね」と考えたのでした。元々、暮らしの保健室は新宿区に秋山正子さんという看護師が作ったのが最初で、今は全国に20か所以上の同様の場が作られていますが、全国にこの仕組みを待ち望んでいる方がいるのも事実です。

その後、私たちは武蔵小杉で「1day暮らしの保健室」として相談の場を設けたところ、毎回30~40名の方がお越しになり、体のことでちょっと気になることや、大きな病気を抱えての悩みなど、様々なことをお話されていきました。「やはり、ニーズはある!」ということで今回、この活動をより発展させ、もっと多くの地域の方にご利用いただけるよう、NPO法人小杉駅周辺エリアマネジメントから「一般社団法人プラスケア」として2017年4月に事業独立の予定です。

▼資金の使い道

皆様から頂いた資金につきましては、クラウドファンディング手数料および返礼品購入費を除き、以下の用途のため大切に使わせていただきます。

・暮らしの保健室で使う、インテリア用品・カフェ用品などの購入

・パンフレットやイベント告知のチラシなどの印刷・広告費

・暮らしの保健室の場所代

上記で大体200万円の資金が必要になります。仮に、今回の募集で目標額に到達できなかったとしても、実行予定場所のうち、有料である場所をいくつかキャンセルし、無料で借りられる場所のみで小さく始めるということになります(武蔵小杉や元住吉でそういう場所を既にいくつかおさえています)。ただし、今回募集する資金があれば、それをもっと大きく始めることができ、社会的な意義やインパクトもより大きくなることを期待しています。

 また、もしも目標額以上の資金を援助頂けるということであれば、そのお金は「コミュニティナース」を育てるための資金に充てたいと思います。

コミュニティナースというのは、病院やクリニックなどで働く看護師とは違い、「地域」を主な活動の場にする看護師のことです。日本ではまだなじみの薄い職種ですが、こういった「暮らしの保健室」のような活動を含め、地域と人とのつながりを重視し、いつでも自分たち住民の隣にいてくれるような看護師です。この春からコミュニティナースとして、私たちと一緒に川崎で働いてくれる看護師が3名(常勤1名・非常勤2名)内定していますが、研修を行うための資金も不足しています。ぜひ、多くの資金をご支援いただき、彼ら・彼女らを育てて頂けるよう、お願いいたします。

▼リターンについて

今回、川崎市中原区のコーヒーの名店「Mui(旧名・もとえ珈琲)」様に、暮らしの保健室のためのスペシャルブレンドを作っていただきました。

「Mui」店主の大沢さんは、世界中から集めた最高品質の豆だけを、丁寧に、適切に焙煎して、傷んでいる豆は手作業で取り除く、という地道な作業を通じて、これまでに味わったことのないような透明感のあるコーヒーを生み出しています。

この「Muiの暮らしの保健室ブレンド」は、暮らしの保健室にお越しいただいた方にお飲みいただくことができます。ただし、豆としての販売はこの機会だけですので、ぜひご購入いただき、多くの方にこの味を楽しんでいただきたいと思います。

①3,000円:心を込めてThanks Mail

②6,000円:①+「Muiの暮らしの保健室ブレンド」100g(送料・梱包料込)

③8,000円:①+「Muiの暮らしの保健室ブレンド」200g(送料・梱包料込)

④10,000円:①+「Muiの暮らしの保健室ブレンド」400g(送料・梱包料込)

⑤10,000円:①+「暮らしの保健室」会員権 ※会員となった方には、暮らしの保健室で行われるイベントの案内や、サービスの優待が受けられます。1年間有効。

⑥30,000円:がん専門医・西智弘との医療相談(60分) ※関東限定、日時要相談。内容によってはお答えできない場合もございます。また、診断や治療を行うことはできません。

⑦50,000円:Webサイト・パンフレット・会報誌などへの企業や団体名およびロゴの掲載(広告)※1年間掲載します。※宗教や特定の治療法を推奨するような個人や企業の方とはお付き合いできず、この引換券をご購入をいただいてもお引換できない場合があります。

⑧100,000円:がん専門医・西智弘による講演(60分)※日時要相談。関東は交通費無料、それ以外の場合は交通費のご負担を別途お願いします。講演内容については相談に応じますが、専門や活動内容と離れている場合はご期待に添いかねる場合もございます(購入前に、お問い合わせいただけると幸いです)。

※1回の支援ごとにシステム利用料として¥216(税込)をご支援者様にお支払いただきます。

▼最後に

「困った時も誰に相談していいかわからない」社会から、「困ったらとりあえずあの人に聞いてみよう」と頭の片隅で思える社会へ。そういった社会を、私たちはこの活動を通して作っていきたいと考えています。

そのために、皆様のお力をお貸しくださると嬉しいです。何卒よろしくお願いいたします。

▼プロフィール

西 智弘(にし ともひろ)

一般社団法人プラスケア代表理事/川崎市中原区医師

2005年北海道大学卒。室蘭日鋼記念病院で家庭医療を中心に初期研修後、川崎市立井田病院で総合内科/緩和ケアを研修。その後2009年から栃木県立がんセンターにて腫瘍内科を研修。2012年から川崎市に戻る。現在は抗がん剤治療を中心に、緩和ケアチームや在宅診療にも関わる。日本臨床腫瘍学会がん薬物療法専門医。著書に『緩和ケアの壁にぶつかったら読む本』(中外医学社)がある。

 

  • 2017/04/01 08:28

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  • 2017/03/25 15:05

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