Sparta ってなに?
狐塚諒太です。
Sparta(スパルタ)という名前の、デジタルアーティスト向けのアプリを開発しています。Spartaは彼らのための商用アプリで、ペンタブレットを使い「手描き」で「CGの炎や水」などの特殊視覚効果を作ることができます。もちろん世界で他に例はありません。
デジタルアーティストとは、映画やCMなどの映像業界やゲーム業界で働く、プロのアーティストのことです。コンピュータ・グラフィックス(CG)・デザイナーとも言われています。その仕事は、CGを使ってアニメーションや視覚効果を作ることです。
現在はWindows上で動作する無料版をリリース済みです。言語に依存しないタイプのアプリなので、世界中の技術へのキャッチアップが早いユーザーがすでに使っています。
このプロジェクトは私の最初の本格的な個人プロジェクトです。まだ大きいわけではありませんが、将来的には世界中のすべてのCG制作会社、ゲーム制作会社で使われることを目標にしてます。
どんな問題を解決するの?
Spartaは「現在のCGの炎や水を作る課程が、複雑で極めて敷居が高い」という問題を解決します。実際に形の無い「CGの世界での炎や水」を想像してみてください。形状や動きは時々刻々と変わり、しかもこれを演出できるよう制御できなければいけません。
そして、これまでは「プログラミング※1」がこの問題の解決方法でした。もちろん、アーティストは基礎的な能力として、造形やアニメーションなどの「アート的な素養」も備えている必要があり、この両方を理解できる人が、現実と見間違えるほどのリアルな物量のある映像を作れます。
しかし、この「両方」の能力に長けたアーティストは非常に稀です。また、「デジタルアーティスト」という肩書きにあるように、彼らの得意分野は「アート的な素養」という部分であることが多いです。
※1 ここでいう「プログラミング」は、プログラミング的な考え方そのものという意味です。エクスプレッションやプラグイン開発だけでなく、ノードベースシステムの操作などもこれに含まれます。
今までのアプリと何が違うの?
Spartaは、「複雑な数式やプログラム」というアーティストにとって不得意だった領域を、「ペンタブを使った手描き」という得意な領域に置き換えます。手描きという方法は、直感的でシンプルなので誰でも簡単に始められ、一方で熟練すれば複雑な作業を行うこともできます。
既存のアプリは、CGを始めたばかりの16歳にとって、十分やさしいとは言えません。私は、Spartaが「手描き」の利点を借りる事で、CG制作の敷居を大きく下げられると考えています。
もちろんSpartaにも不得意な部分はあります。システマチックに映像を作ること、物量のある映像を量産することなどの、抽象的な作業には向いていません。
なので、Spartaは最初から既存のアプリと情報を共有できるよう設計しました。「細部」をコントロールする場合はSpartaで、「全体」をコントロールする場合は既存のアプリで、こういった形での分業は十分に可能だと思います。
Spartaの作業風景
Spartaでどんなことができるかを理解してもらうために、実際に「火の玉」のアニメーションを作ってみました。一般的なCG制作ソフトで「シンプルな形状」を作った後、それに手描きで「炎の揺らぎ」を付けていきます。
作業時間は30分ほどでした。これのメイキングを10分間の映像としてまとめました。アプリがどういう風に使われるのか分かると思います。
Sparta Project について
このプロジェクトは2011年1月に始まりました。アイデアを練る、UIをデザインする、開発で使うアルゴリズムのR&Dを行うという6ヶ月の期間を終え、Spartaの開発は始まりました。それからさらに5ヶ月後の2011年11月、アルファ版のSpartaがローンチされました。
<プロジェクトのWEBサイト>
https://www.facebook.com/sparta.project
現在は、友人のプログラマに開発の一部を手伝ってもらいながら、製品版の開発を行なっています。開発自体は、それぞれの作業を自宅で行いながら。WEB経由で情報共有を行なっています。また、友人には本業があるので、プロジェクト上では匿名になっています。
集まったお金は、開発で必要になるソフトウェアやハードウェアに使う予定です。CG用のアプリは年間維持費が数十万円かかるため、投資されたお金は年内には使い切ると考えています。
狐塚諒太について
Sparta Projectの創業者で、Spartaのフルタイムエンジニア。また法人化はしてないので、フリーのプログラマということにしてます。共同開発者とは高校時代の友人です。
高校はプログラミングを学べる学科に在籍してたので、プログラミングは16歳の時に始めました。CGプログラミングへの興味は、2年生の時に開発した「シンプルなCADアプリ」がきっかけで、3年時には「タートルグラフィックスのためのスクリプト言語」などを作っていました。
大学では、大学院時代に入る研究室でプログラミングの手伝いをしながら、CGや実写の映像制作、WEBデザインやフォトレタッチのバイトなどをして過ごしました。4年間あった割には、自分でもやや迷走した感はありました。
大学院では、CGプログラミングと流体シミュレーションに焦点を絞り直し、国内の学会での研究発表や、超音速流体の挙動を解析するアプリの開発を行なっていました。このアプリはSpartaのアイデアの基礎になりました。
その後、都内のCGプロダクションにCGプログラマとして就職し、「映画などで出てくる大量のCGの群集キャラを自動生成するアプリ」などを作っていました。ここでは、「Spartaが解決すべき問題」を見つけました。
クラウドファンディングを選んだ理由
私はSpartaの開発資金を集めるために色々な方法を探していました。最初はVCや個人投資家から資金を得ることを考えていました。しかし、R&Dの期間が長すぎる点(ここまで15ヶ月)などが原因で、これは上手くいきませんでした。
その後、Kickstarterの存在を知り、クラウドファンディングで資金を集めることを考え始めました。決め手とになった出来事は、Kickstarterにデジタルアーティスト向けのアプリが見つかったことです。同業者のプロジェクトがファンディングに成功しているという点は背中を押される出来事でした。
<デジタル人体模型アプリのプロジェクト>
http://www.kickstarter.com/projects/1397037025/lecorche-classical-anatomy-for-artists
ステッカーのデザイン
Campfireで支援してくれた方へのリターンとしては、プロジェクトのロゴ入りステッカー、ロゴ入りTシャツ、SpartaのBasicアカウントの利用権を準備しています。ステッカーやTシャツのデザインで使われるプロジェクトのロゴは下のようなデザインになっています。
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