このプロジェクトは、札幌を拠点にして活動しているきり紙パフォーマー「キリガミスト千陽(ちあき)」による挑戦です。
「きり紙」とは?
江戸時代から身近な余興や遊びとして伝わってきた「きり紙」。
紙とハサミと感性だけで様々な形を切り抜くその技術は、日本の伝統的な文化です。
キリガミスト千陽は、きり紙をもっと親しみやすく、広い世代に楽しんでもらえる様なパフォーマンスを展開しながら、実際に体験して遊んでもらうワークショップなどに取り組んできました。
*小学生を対象としたきり紙ワークショップの様子
「きり紙」と千陽の出会い
千陽ときり紙の出会いは5歳の頃、地元に来た二代目林家正楽さんのきり紙芸を生で観た時です。
絵を描く事が大好きだった彼女の眼には、そのきり紙芸が魔法のように映りました。
小学校ではカッターを使う切り絵クラブに入り、全国高文連では切り絵を出展。
きり紙に魅了された千陽の作品は地元で話題となりました。
しかし、大学進学のため美術の個人レッスンを受けたとき「きり紙はあなたの様な若い人がするべきものではない。」と先生から否定されてしまいます。
この言葉にショックを受けた彼女は、自分の好きな事を続ける事が出来ないのではないかと悩みました。
美大の卒業後 も、 人前に作品を発表する手段もなく、絵画の世界で作品を発表していく難しさを感じながら、作品を創り続ける毎日でしたが、ある時転機が訪れます。
「役者になりたい」という夢を叶えるために単身札幌に出てきた九州出身の親友との出会いです。
その親友は芝居をする為に、働きながらストリートミュージシャンでこつこつお金を貯め、年間4作品以上の舞台に立っていました。
そのひた向きな姿に心を打たれた千陽は、自分が本当に好きな事はなんなのか、そして何をすべきなのかを改めて考え、人前に立ってパフォーマンスに挑戦しようと思い立ち、札幌市主催の大道芸フェスティバル「ストリートパフォーマンスカーニバルin大通り」に、今まで愛用していたカッターをハサミに持ち替えて出演する事にしたのです。
*ステージパフォーマンスでの一コマ。
「なにをやっても大変だったら、好きな事をやって大変な方がいい!」彼女はそのときそう思ったと言います。
これをきっかけにストリートパフォーマンスを開始した彼女は、お客様に喜ばれるパフォーマンスは何か?と言う観点から「似顔絵」を切り始めます。
唯一無二の個人を創造する作品は、様々な交流を生みました。
*切った作品はその場で欲しい方にプレゼントします。
*似顔きり紙の出来映えを確認中。
「似顔絵」を切る時はお客様と会話をしながら切る事がほとんどです。
話をすると新しい発見はもちろんですが、過去の自分との対話をしている事にも気付きました。
「今の私は、今までの私の先にある」
当たり前の言葉ですが、この芸を否定されたことや、やりたい事から離れそうになったことも全て含めて今の千陽が在ります。
自分が決めた事を貫く事ができれば、今までの辛かった経験も全て新しい景色を見せる要因です。そう考える事が出来るようになった時から、彼女は前を向いて歩き続けています。
東京都公認「ヘブンアーティスト」ライセンスや、札幌市で数々のパフォーマーライセンスなどを取得し、全国各地でパフォーマンスを行い、舞台公演はもちろん多くのイベント出演、ワークショップなどを重ねてきました。
また、役者とのコラボレーション企画「きりがたりシアター」などの新たな試みにも精力的に挑戦しています。
*ワークショップで自由に作った作品を飾り付けするための準備中。
こうしてステージを重ねるたびに彼女は多くの人の気持ちに触れている事に気がつきました。
真剣に食い入る子どものまなざし、出来上がった作品を見た時の目の輝き、作品をプレゼントする時の「欲しい!」という沢山の声、今目の前にある景色は、パフォーマンスを重ねる事で見えるようになった彼女だけの景色です。
「誰かに見てもらう事、楽しんでもらう事が一番!」
「きり紙」をフランスで開催されるジャパンエキスポへ!
そのためにも「きり紙」をもっと広めたい。
その思いは、彼女が向き合ってきた時間と共にどんどん大きくなっています。
それでも、まだまだ新しい発見は沢山ある、と千陽は言います。
例えば「海外のお客様の反応の良さ」です。
海外では、きり紙をパフォーマンスとして楽しむ文化が無いため、日本特有の舞台芸術として外国人に非常に喜ばれます。
海外ではアニメや漫画、ゲームなどの人気も手伝って日本文化への関心が高まっていますが、フランスのパリで毎年行われている、来場者数20万人以上の日本文化を紹介する見本市「ジャパンエキスポ」というイベントに、2014年7月、キリガミスト千陽は思い切って飛び込んでみました。
*パフォーマンス中は人だかりの山
*パフォーマンスを食い入る様に見守るフランスの方々。
ステージパフォーマンスでは、伝統的な「和」を感じさせる作品は勿論のこと、アニメや漫画のキャラクター作品などを披露したのですが、小さなステージのまわりは通行が困難になるほどの人だかりができました。
また、会場内のスペースを借りて、通行する方々にむけてワークショップを実施したところ、小さな子どもだけでは無く、大人も興味津々で体験してくれました。
*きり紙ワークショップの様子。
*似顔きり紙は大好評でした。
その他にも、パリ市の隣ブーローニュ・ビヤンクール市にある日本人および日仏家庭の子供のための幼稚園「エベイユ学園」で子ども達にもきり紙を披露し、先生や保護者の方達も一緒にきり紙体験ワークショップを行いました。
世界中の子どもたちを笑顔にしたい!
近年、何かと子ども達を過保護にしてしまいがちな風潮があります。
親からしてみると、「子供に刃物を持たせるのは危ないのではないか」「けがをしたらどうしよう」という心配な気持ちが生まれるのはよくわかります。
しかし、私達大人が小さい頃はハサミで紙を切る作業と言うのは当たり前ではなかったでしょうか?
工作の時間や自由研究などで何かを作るのは、とてもワクワクしたのではないでしょうか?
真剣な表情で一心不乱にハサミを動かす子ども達。
笑顔で「できたー!」と叫ぶ子ども達を自分の事のように嬉しそうに見つめる親や先生。
いつの間にか子ども達よりも夢中になって紙を切ったり折ったりしている大人たち。
実際に指を動かして、出来上がる形を想像しながら作品を生み出すことは、難しそうでいて実はとても身近にあるものなのです。
この経験は帰国してからの活動にも多大な影響をもたらし、「より多くの人達にきり紙の魅力を伝えたい。」という想いが更に膨らみました。
*パリの子供達の前できり紙パフォーマンス
*みんなできり紙ワークショップ
そして2015年。
この想いを胸に抱いて、キリガミスト千陽は再びパリに訪れる事を決めました。
ジャパンエキスポへの参加希望を打診したところ快諾を頂くことが出来ました。
エベイユ学園にも連絡を取ると「可能であればぜひとも来てほしい!」と返信がありました。 これは是が非でも行かなくてはなりません。
サポート資金の使い道
昨年の渡航時は、短い時間で準備し、手探り状態で飛び込んだので、言葉の壁や資金面など様々な問題を乗り越えねばならず、行動範囲や時間もかなり限られた中での活動となりました。
フランス語は勿論のこと、英語が喋れないアーティスト本人のみでは、移動や滞在に関する全ての事、ステージの進行や管理を完遂することは難しく、制作業務をするスタッフが1名同行しました。
2名の渡航費、宿泊費、各会場への交通費などの経費をかなり節約はしたものの、トータルで50万円程かかりました。
この金額は、きり紙への想いだけで負担するには荷が重く、どうしても活動プランを縮小せざるを得ません。
*世界中どこでも、子供達の発想は独創的で新しい発見があります。
私達は、世界中の方々にきり紙を知っていただき、体験してもらうことが出来るプロジェクトを実現させる為の方法を模索した結果、今回クラウドファンディングに挑戦することを考えました。
今回の挑戦では、このプロジェクトを応援していただける方々に、プロジェクトのために千陽1名分にかかる経費のうち、CAMPFIRE手数料を差し引いた20万円を募る事が出来ればと考えています。
具体的には
●渡航費 約12万円
●宿泊費など 約8万円
合計20万円 となります。
現在、7/1~5までの滞在期間中に、どれだけの場所でパフォーマンスやワークショップを展開できるか模索中ですが、行動範囲が広くなればなるほど経費も増えてしまうのが実状です。
目標支援金を達成出来た場合は、出来る限り活動の幅を広げて、よりたくさんの人達に「きり紙」を知ってもらい、日本の文化に興味を持ってもらえる様に東奔西走できます。
今回のプロジェクトを成功させる事はもちろん、昨年の経験で明確になった「きり紙を日本文化のひとつとして世界に認知されるアートにしていく」という目標に向かって歩き出す為にも、是非とも皆様のお力をお借りできればと思います。
何卒宜しくお願い致します!
キリガミスト千陽
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