■Waincとは?
ココヤシの実を使って作られた果実酒を飲んだことがありますか?ココヤシの実を容器として利用し,内部のココナッツジュースを種子内で発酵させて作られる果実酒です.おそらく多くの方々は味わったこともなければ見たこともないでしょう.この新しいスタイルの酒は,東ティモールでのフィールドワークをきっかけに私たちが開発したもので,「Wanic」と呼ばれています.
Wanicを作り出すためのツールキット「Wanic Toolkit」を使えば,ココヤシ農家や周辺の住民が小規模な醸造メーカーになります.従来,ココヤシはコモディティにすぎず,ココヤシから生まれるパーム油,ヤシ糖,ナタデココなどの製品もまた,コモディティにすぎませんした.しかしながら,ココヤシの実からWanicを作ることで,50セントから1ドル程度の商品価値しか持たなかったココヤシの実に,10倍以上の商品価値を付与することができます.コモディティから高付加価値製品を生み出すWanicは,まさに破壊的イノベーションの好例と言えるでしょう.
■プロジェクトで実現したいこと
フィリピンの大卒初任給をご存知ですか?一般的には1-2万ペソ(日本円にして約2-4万円)と言われています.また,教師の給料は月8000ペソ(日本円にして約16000円),大工を1日雇用するのに300ペソ(日本円にして約600円)です.これらの数値からみても,現金収入は決して高くありません.また,フィリピンの50%以上の就業人口はサービス業に従事してます.サービス部門が先導する成長には限界があります.というのも,他の経済部門を成長せることができないためです.このようなフィリピンの状況に対して,わたしたちはWanicを通じて貢献したいと考えています.
Wanicを通じて,フィリピンで現金収入が不足していると感じている人々に仕事を提供することができるだけではなく,Wanicを中心としたエコシステム構築することができます.例えば,ココヤシ農家は,新たなココナッツの販売先であるWanic生産者を通じて,その売上を向上させることができます.Wanic生産者は,20ペソで購入したココヤシの実を使ってWanicを作り,リゾートホテルに卸せば,ココヤシの実の仕入れ価格の何十倍での金額を手にすることができます.さらに,ココヤシの実は廃棄されるのではなく,バイオマス燃料として活用することも可能です.
フィリピンは,ココナッツ生産量の世界ランキングで2位を占めています.2010年には年間15,540,000トンのココナッツを生産しています.このような生産量を背景に,フィリピンは,ココナッツ庁(Coconut Authority)と呼ばれる国家機関を設置しており,同国の資源の1つとしてのココナッツを国策レベルで様々な用途へと利用しようと試みています.Wanicのエコシステムが普及し,ココヤシ庁の支援も加われば,貧困層の多い地域に新たな産業の育成も期待できるでしょう.
■Wanic プロジェクトの歩み
Wanicは,途上国向けのプロダクトデザインコンテンスト「See-Dコンテスト 」をきっかけに結成されたチームによって開発されました.
私たちが提供したようとした価値は,現地に住む人々の現金収入の向上でした.現金収入を向上させることで,電気を引いて部屋に明かりをともす,あるいは,より質のよい教育を受けるなどといった恩恵を享受することができます.しかしながら,単に彼らにお金を寄付するだけでは持続的な解決は見込めません.彼らの関心や価値観に即したシステムをデザインし,そのシステムに生まれる彼らなりの未来をデザインする必要がありました.
そこでわたしたちは現地に大量に存在するココヤシの実に着目し,コモディティにすぎなかったココヤシの実を活用して,付加価値の高い製品である酒を簡単に作るためのツールキットをデザインしました.ココヤシ生産者や,Wanic生産者,Wanic Toolkit製造など,Wanicを導入することによって,現地に大量の雇用を生み出すことを狙いとしています.また,ココヤシ産地ならではの観光資源を生み出すことで,村落の自立発展を支援をすることを狙いとしています.
2011年5月には,第1回See-D コンテストの最終審査会が開催され,Wanicは最優秀賞 を受賞しました.
2011年10月には,フィリピンの孤児院出身の未就労者を対象として,Wanicの試作を目的としたワークショップを行いました.
2012年3月には,酒造りにおける衛生面の配慮,および,最適な味を創り出すためのレシピ開発を目的として,ラオスでラム酒製造・販売をしているLaodi様に訪問滞在し,商品開発実験を実施しました.
2012年8月には,ターゲットサイトであるフィリピンにて,Wanicの試作及び試飲会を実施しました.具体的には,パラメータを変えて作られた30種類以上のWanicを比較し最も美味しい組み合わせを検証しました.
■資金の使い道
現在のWacicは,ココヤシの実を容器として使っているため,地産地消に限られています.セブ島のリゾートホテルやココヤシ農家へのスタディツアーという場のみでWanicを体験することができます.一方で,私たちは中長期保存に適したWanicを新たに開発することで,より多くの地域・国の人々にWanicを楽しんでもらえ,より多くのWanic産業の従事者をフィリピンに生み出すことができるのではないかと考えました.そこで,Campfireを通じて皆様に,「ボトル版Wanic」のプロトタイプの制作支援をお願いしたいと思います.
■リターンについて
・スタッフからお礼のメッセージをお送りします.(500円~)
・Wanicのホームページ にサポーターとして名前,もしくは,ニックネームを掲載させていただきます.(1,000円~)
・セブ島で購入したココヤシグッズをプレゼントします.(3,000円~)
・2013年9月に都内で開催を予定しているWanic報告会へご招待いたします.(5,000円~)
・Wanic Toolkitをプレゼントいたします.(キットの構成・外観は変更の可能性がございます)(10,000円~)
・2013年8月に都内にて開催を予定しているココナッツカクテルパーティへご招待いたします.パーティでは,様々なココナッツベースのお酒ともに,Wanicチームによるトークセッションを提供予定です.(30,000円~)
(交通費は各自ご負担ください)
・2013年8月にフィリピンにて開催を予定しているWanic試飲会へご招待いたします.(50,000円)
(渡航費・滞在費は各自ご負担ください)
チームの構成
現在のWanicチームは,メーカー勤務の商品企画,フリーのグラフィックデザイナー,都市
計画を専門とする大学院生,プロダクトデザイナー,ロンドン在住の美大生,サービスデ
ザインを専門とする大学院講師,フィリピン在住の社会起業家,メーカー勤務のシニアプ
ランナーの8名で構成されています.
協力団体として,ラオスでラム酒を製造されているLaodi様 に酒作りに関する指導をいただいています.また,フィリピンでオンライン英会話事業を運営されているWAKUWORK様 にフィリピンでの活動をサポートしていただいています.
最新の活動報告
もっと見る商品化に向けての製造実験開始 in LAOS
2015/03/05 14:47大変ご無沙汰しております。wanicです。いかがおすごしでしょうか? 報告となりますが、この度メンターLaodi社のラム酒工場にてwanicのテスト製造および販売 / プロモーション活動のためにビエンチャンに訪れました。その活動ないようをblogで紹介します。 この度サポートいただいた、Laodi社の皆様、そして応援してくださっている皆様に心よりお礼を申し上げたく存じます。 ----- http://www.wanic.asia/2015/03/02/838/ 2/1〜2/13、ラオスの首都ビエンチャンに所在するラム酒工場LAODI社にてwanicを製造実験のためにラオスに入りました。 LAODI社には、製造から流通におけるメンタリングとサポートをして頂いていて早4年が経ちます。毎年wanicはLAODI社の協力のもと製造実験を行っております。 ラオディ社スタッフ10人のサポートの下、2468個(推定1300L)のココナッツに内包されているジュースからwanicを約140Lのココナッツ蒸留酒作成に向けて取り組みました。今回はワイン酵母を使用。酵母により味と風味や匂いに変化があり、ここ何回か試作した結果ワイン酵母の使用に辿り着きました。 本来のwanicの製品は、ココナッツの殻の中で作る醸造酒(fresh wanicと呼ぶ)を視野にいれていました。ですがfresh wanicは衛生・品質管理が難しいこともあるため輸送・保存が難しい反面、蒸留であれば在庫を抱えることができ輸送も可能です。fresh wanicは今後の課題とし、今回提案するココナッツリキュールではカクテルとしてレシピの開発とともに、世界初のココナッツリキュールをより美味しく味わっていただくための構想を練っています。 2/6,9 wanic作業以外の時間は、ラオディ社のサトウキビからジュースを搾取する作業とコーヒー豆のレッドチェリーから生豆を取り出す作業を手伝いました。日本でいう28℃の太陽の下、皆で一体になりヒト汗掻くことは、とても良い連帯感を生み出しました。 2/3,4 カット作業。ラオスの作業員は鉈で、我々日本人はドリルを使用。鉈での切り口はココナッツの中実をチェックすることもでき、作業も早く、かつ騒音もなければ電気が不要でしたが、慣れない日本人には危険な道具になります。共同作業のおかげで予定は午後過ぎかと予想されていましたが、朝早く作業に取り組んでくれ働きもののラオス人のおかげで午前11時に終えることができました。 ジュースを取り出した後は、みんなココナッツをスプーンで剥ぎ、持ち帰ります。今回は実験としてココナッツオイルを実験作成するため80個ほどのココナッツ剥ぎも行いました。 2/4-11 ジュースに酒母をいれて酵母の量を測ります。3日間ほど酵母菌を増やし、適度な量まで増えてから蒸留開始。 パチパチと弾いている酵母。目に見える物質ではありませんが、液体のなかでは確認できます。 2/12 1300Lのココナッツジュースから140Lの蒸留酒を作成、半年間お酒を寝かせます。発酵に時間がかかったため、予定より2日遅れて12日にやっと蒸留出来ました。蒸留前が8.5度で、蒸留酒は42度くらいだと思います。 やわらかい甘さの中にココナッツの香があるお酒になりました。 もっと見る
9/28 wanic 報告会&カクテルパーティ meeting
2013/09/19 17:449/14 28日に開催予定のcampfireパトロンに向けた報告会とカクテルパーティの打ち合わせを行いました。 イギリス在住の一人を覗き、全員が集まりました。各々メンバーは、フィリピンに滞在してたり、国内で他のプロジェクトをしていたり、プライベートで大切な用事があったりと、それぞれ忙しいメンバーが全員揃う事は一年間の打ち合わせを数えても数回しかないほど。とても稀な日でした。 パトロンの皆様に来て良かったと思ってもらえるよう、刺激的な報告ができるよう精をだしますので、当日皆様にお会いできることを楽しみにしております。 http://www.wanic.asia/2013/09/19/928-campfire-wanic-報告会カクテルパーティmtg/ もっと見る
セブでお酒作りに励んでいます。
2013/08/19 16:55こちらの活動報告は支援者限定の公開です。
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