2019/01/08 13:32

2016年4月。神奈川県茅ケ崎市・茅ヶ崎市美術館。
そのエントランスで、ひとつの展示が催されていました。

「あなたが未来に託す思い展」

茅ヶ崎市の農園付コミュニティスペース「REVENDEL」を運営する熊澤さんの企画でした。2015年の12月に知り合い、暗やみ本屋ハックツのアイデアを話したところ、ハックツをやろうとしていた熊澤さんと学芸員の藤川さんのコラボで展示が実現しました。

「ハックツ」そのものがコミュニケーションのデザインになる。
そう思いました。
熊澤さんの言葉が胸に刺さりました。

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いろんな仕事の人をただ集めたわけじゃない。
この人は、という人に、声をかけた。

自分の蝋燭を燃やし続けている人。
次世代に何かを紡いでいる人。
そんな気になる10人をまずは思い浮かべた。
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今回、本当に僕からの意図が伝わった方は、本当に大切な1冊しかない本(買えない)を手放してくれています。しかし、そういった方に限って、僕が預かる際にお礼を言われました。

『自分の本当に大切にしていた気持ち、その時の情熱が蘇ってきた。いい機会をありがとう』

と。手放したようで、得ているのです。実は本を手放す側も貴重なワークを体験してるのです。
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「未来に託す想い」を、たった1冊の本にメッセージをつけて贈る。
57人の思い。
57冊の本。
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「本の展示」を行う。
ふつうは美術館ではなくて、図書館だろうと思います。この茅ヶ崎では、図書館ではなく、美術館で「展示」するところが大きかったように思います。
美術館は、観るところであり、感じるところだからです。図書館は、本を借りるところだから、展示だけでは機能を果たしません。

忘れられない風景があります。せっかくだから、と常設展を見て、出口からエントランスに戻ったときのこと。

まぶしかったのです。
光を放っていたのです。

もちろんそれは、エントランスの建築デザインが光をうまく取り込んでいたから、という理由もあるだろう。

でも、僕には、確かに光って見えたのです。
本棚が、1冊1冊の本たちが、躍動しているように思えたのです。今回の「かえるライブラリー」の表現で言えば、「本が歌を歌っているよう」だったのです。

熊澤さんも言っていました。

「本が集まった後、段ボールに詰めていたのだけど、そこからエネルギーが出まくっていて、夜寝るときに気になって眠れなかった。早く美術館に持っていきたかった。」

そんな2016年4月の茅ヶ崎市美術館での展示を受けて、

その後、
2017年には奈良県立図書情報館を舞台に奈良女子大の学生たちが実施。
2018年には茨城県の明秀学園日立高等学校でも実施されました。
いずれも、商店街を歩き、「10代に贈りたい本」をヒアリングし、本を集めて展示しました。

本は読むもの。本棚は感じるもの。

茅ヶ崎のように、たくさんの思いが詰まった本を
本棚にならべることで、「感じる」本棚ができていきます。