2019/03/31 21:16

MUKUのクラウドファンディング、残り3日となりました。
本日は、今回のクラウドファンディングでコラボレーションをしているはじまりの美術館の館長を務めている岡部さんのインタビューをお届けします!

作品はその方の一面に過ぎないとし、表現を一緒に楽しむこと、アーティストの魅力を余すことなくダイレクトに伝えることを大切に考える岡部さん。
はじまりの美術館に携わるようになったストーリーや、今回のプロジェクトでアート作品を製品化させていただいたアーティストの土屋康一さん・渡邉行夫さんに関する心があたたまるエピソード、岡部さんから見た、MUKU新商品の魅力についてお話をしていただきました。

Q1 はじまりの美術館と関わるようになったきっかけを教えてください。

2003年に安積愛育園に勤めてから、成人の方が入所する施設で創作活動の担当をしていました。活動を続ける中で、2010年からパリで開催された「アール・ブリュット ジャポネ」展に愛育園から伊藤峰尾さんが参加することになりました。それに伴い、海外で高まる作品の評価を国内に持ち帰り、あわせて障害者の社会的地位の向上を図ることを目的とした、美術館開設の構想が持ち上がりました。その中のひとつとして開館したのが、はじまりの美術館です。2009年から全国の10カ所程度で検討がなされ、2011年12月の高知・藁工ミュージアムの開館を皮切りに、広島、京都で姉妹館が開館。2010年には、はじまりの美術館も物件は十八間蔵と決まってはいましたが、2011年の東日本大震災があり、足踏み状態に。一時は開設が危ぶまれたものの、多くの方の助力を得て、2014年6月に開館の運びとなりました。開館の1年前からは専従で準備を進め、開館とともに配属となっています。

Q2 アーティストとの関わり合いの中で大事にしたいと思っていることは何ですか?


支援員時代、創作活動の場面では、みんなの表現を一緒に楽しむことでした。それぞれの興味や関心がなんなのか、雑誌や図鑑、写真集などを持ち寄ったり、ダンボールやベニア板、時には梱包に使われていた細長いロール紙やセロファン紙などを取り溜めておいて、いろいろな画材に挑戦してもらい、ご本人にとってなにがより楽しいのか、マッチするのか、一緒に試行錯誤していました。美術館のスタッフとなってからは、みんなの魅力を余すことなく伝えることですかね。作品はその方の一面に過ぎません。美術館は主に作品の展示をするところなので、作品に注目が集まるのは当然なのですが、直接本人に出会ってもらい、その魅力をダイレクトに感じてもらうような仕掛けづくりも意識しています。本人も、お客さんの反応を直接感じることで、満足感が得られるのではないかと感じています。

Q3 今回プロダクトのデザインとして提供していただいたアート作品は3作品とも独創的で魅力的ですが、その作品たちはどのような背景で「生まれてきた」のでしょうか?岡部さんの視点から見た、作品たちのストーリーを教えてください。

土屋さんは、作品の大胆な構図や鮮やかな色使いと、ふくよかで、いつも笑顔で冗談を言っては人を笑わせることから、温和で楽しいイメージがありますが、もう一面で実はとてもセンシティブな方でもあります。1年くらい前まで土屋さんは、自宅から事業所のパッソへ徒歩で10分ほどの距離を1時間ほど、日によってはそれ以上の時間をかけて歩いて通っていました。毎日、車の往来や、雲の流れ、季節の移ろいをたっぷり感じてらっしゃったようです。今は送迎の車で通所していますが、土日には同様にゆっくり散歩を楽しんでいるようです。また、バスの時刻表が気になったり、ほかの利用者さんや、スタッフの気持ちの浮き沈みを敏感に察し、自分の心象風景を日記のように書き留めていることもあります。そんな土屋さんを知って、改めてあの「はっぱ」をみると、また作品の表情が違って見える気がします。


行夫さんは、とってもおちゃめな方です。今回ネクタイやソックス、Tシャツやバッグに採用されている、小さなかわいい「りんご」が並ぶ作品、と思ってらっしゃるかと思いますが、実はあれはぜんぶ「スイカ」です。と言ったら皆さんビックリしますよね。以前私があの作品のタイトルを聞いた時、行夫さんの口から聞いたタイトルは「スイカ」でした。他の人に聞かれると「りんご」と答えています。

また、unico犬の愛称で親しまれるあの作品も、私には「ネコ」だと言い切っていました。そんなやり取りも楽しむ、行夫さんです。だんだんunico犬のおちゃめな表情が行夫さんに見えてきます。

Q4  プロジェクトのおすすめリターンとおすすめポイントを教えてください。

そうですね、やっぱりとびきりのグッズたちですかね。特にネクタイがおすすめです。どのデザインも捨てがたく、「はっぱ」と「りんご」は華やかな席に締めたい、とっておきの一本という感じです。実物を手にした時の上質さ、そして原画のかすれ具合までも忠実に再現された刺繍技術の素晴らしさにシビレます。


もう一方のunico犬のネクタイは普段使いに重宝しそうです。落ち着いたブランドマークのパターン柄、と思わせておいて、よくみると一匹一匹が絶妙なとぼけた表情でこちらを見ています。緊張感の中におちゃめさが覗く、飽きのこないアイテムです。どちらも長く愛用したい逸品ですね。

Q5 今回のプロダクトの中でのお気に入りとそのお気に入りポイントを教えてください。

お気に入りは、ネクタイとあわせて使いたい、ソックスですね。モノとしてみているだけでもかわいいのですが、履いた時に絶妙にゆがむ、りんごとunico犬の愛らしさがたまりません。

Q6 今回のクラウドファンディングにあたり、アーティストが生み出した作品が広く人の手に届いていきますが、プロジェクトに対して期待している・または抱いている思いはありますか?

はい、まずこんなすごい機会をいただけて、とても感激しています!土屋さん、行夫さんどちらの作品も、魅力的だとは思っていて、unicoのアーカイブサイトで紹介したり、ポストカードを作ったりしてはいましたが、自分たちでできることには限界がありました。それを今回のプロジェクトでは、デザインと技術の力が加わり、とっても素敵なグッズになりました。さらに主な製品は、ネクタイや靴下、Tシャツと言った、親しく身につけたり、ボールペンやブックカバー、バックのように日ごろ身近に持ち歩くモノです。土屋さんや行夫さんの表現を、誰かが身にまとって、身近において満足してくれる姿を想像するだけで、とっても嬉しくなってきます。そのように、嬉しさをシェアしていく力を持ったグッズたちだと思います。


また、それぞれが上質なモノに仕上げられていることも重要だと感じています。100円ショップでもネクタイが売られている時代、モノはたやすく手に入る一方で、また簡単に捨てられてしまいます。「なにかを大切にする」という機会が減っているとも言えるかもしれません。今回のプロダクトは、魅力的なデザインに加え、品質が良いことによって、手にした人はそれらを長く愛用してくれることも期待できます。土屋さんや行夫さんの表現が大事にされ、幸せを広めていく。「福祉」といわずとも、そこで達成されることは本来のそのことだと思います。

Q7 岡部さんが考える、はじまりの美術館として守っていきたいものは何ですか?

そうですね~。はじまりの美術館がはじまってから、ずっと手探りで今まで来ているので、「守る」ことより、まずは「手に入れたい」ですね。自分の中で「これはいい」と思っていてもうまく伝えきれない物事のもやもやしたものを周りの人にも共有する方法を、まずは獲得したいと思っています。獲得、というとなにか他にあるものを獲ってくるようにも思われそうですが、このもやもやを自分の言葉で違和感なく説明できるような言語だったり、共有するための企画(展)だったり、感じているこの価値を共有しあってより良いものにしていくために協同する人なんかとも出会っていきたいです。今回のMUKUプロジェクトは、まさにこの出会いだと思います。
蛇足ですが、自分は何のためにこんなこと(良いと思うことを人と共有しようとすること)をやってるのか、それも知りたいです。

この度、福祉を起点に新たなライフスタイルを提案する「MUKU」と、はじまりの美術館がコラボレーション。ネクタイ、Tシャツ、トートバックにソックスなど、みるだけで楽しいプロダクトを共創しています。

アール・ブリュット愛好家、福祉関係者、地域の枠組みを超えて、『プロダクト』をフィルターに、知的・発達障害のあるアーティスト・クリエイションに出逢う、新しい”はじまり”を提案します。ぜひ「ON(ビジネス向け)」「OFF(ホリデイ向け)」ともにご覧いただけますと幸いです。

●「ON」の時間を彩るネクタイ&ソックス|ビジネス向け

●「OFF」の時間を彩るTシャツ&ソックス|ホリデイ向け

また、もしも本プロジェクトを気に入っていただけたなら、ぜひURLを拡散していただきたいのです。みなさまと共に、新しい波を、つくりたいのです。よろしくお願いします。