2014/11/01 20:56
〜①のつづき〜

竹本さん  そうですね、あと・・・
      辻先生が栗やきのことかを近所の山でとってきて、
      「これ、食べろ」って言われるんですけど・・・。(笑)
      私が育った環境には畑とかが近くになくて、
      野菜をつくる機会もあまりありませんでした。
      自分の感覚としては、スーパーで売っているものが
      きれいで安心なもの、そのあたりの山にある自然のものは
      信用できないみたいな気持ちがあったのですが、
      「こんなに山のものを食べていいんだ」って気づきました。
      今までは食べる過程と野菜などがつくられる過程が
      切り離されていたのが、こっちに来てそのふたつが繋がった
      という気がします。

      ちょっと前まで売っているものが安心という感覚だったので、
      自分がつくった刃物で木地が挽けることや、
      自分が作ったお椀が使えるということがうれしい半面、
      びっくりするという感覚がありました。(笑)

コンコント なるほど、社会の仕組みが複雑になってしまった
      現代ならではの感覚かもしれないですね。

竹本さん  辻先生は昔の話をしてくれるのですが・・・。
      辻先生の世代は戦前、前後からバブルを経てって感じで、
      ものづくりのことだけでなく、農業や村の話にしても現代とは
      かけ離れたことを話してくれて、この世代のひとが抜けると
      かなり日本が変わってしまうなって思っていまして・・・。

      私が研修所にいたときも辻先生が面白い話をしてくれました。
      辻先生の話を聞くだけ聞いて、研修所を卒業したらさようならって
      感じで地元に帰ってしまうのは、もったいないことだなって
      思ったんです。
      それで、毎日ちょっとでも自分が木地を挽いていたら、
      辻先生っていうひとがいたんだよって言えるかなって思って、
      木地挽きを続けてみることにして、今に至っています。

コンコント 辻先生に教わってみてどうですか?



竹本さん  辻先生は木地のことでもなんでも教えてもらえるので、
      聞けるときにいろんなことを聞いたほうがいいかなって思って、
      日々過ごしています。
      辻先生と山に行くのも楽しいですしね。(笑)
      山での予想外の展開もいろいろありますし、おもしろいです。(笑)
      辻先生は無邪気なところがあるというか・・・。

コンコント 研修所で辻先生のことを聞くとみんな
      少年みたいって言いますね。(笑)

竹本さん  そう、少年ですね!(笑)

コンコント 来年、ここを出て独立されるのですね?

竹本さん  そうですね、来年の3月にここを出て、
      この近くにある工房を借りて独立する予定になっています。
      ご飯を食べていくためには職人としてやっていきたいですね。
      時間があるときに自分のつくりたいものもやりたいですけど、
      基本は職人としてやりたいです。


これから独立されるということで、
新たな一歩を踏みだそうとしている竹本さん。
若いひとが腕利きの職人になるためにも
どんどん仕事を若手の職人に与えていくことが
産地として重要なことでもあります。

竹本さん、ありがとうございました!