2017/06/16 22:08

  こんにちは。皆さん、プロジェクトへのご支援、ありがとうございます。

 おかげさまでもうすぐ70%を達成しそうです。引き続きご支援よろしくお願い致します。

 今回は、現在建築中の建物の着工の前に実施した、建物のレンガの改良実験についてご報告致します。

 工事をまさに始めようとしていたときです。折角、新しい建物を建てるので、ベナンの技術に一工夫加えることによって、何か改善ができないかと考えました。ベナンの建物の問題は、昼間とにかく暑いこと・・・。また、建築費用も多くの人にとっては高いのも問題です。

 そこで、建築費用を少しでも安く、そして建物を少しでも涼しくために、建物の表面積の多くの部分を占めるレンガに注目しました。

 ベナン南部では、建物は主に2種類のレンガを使います。購入してきた白い砂にセメントを混ぜて作るセメントブロックと、トイレのために掘った時に出た土などに、少しだけセメントを混ぜて作る土レンガです。土レンガは、そこにある土を使うのでほとんど無料ですが、セメントブロックは砂を買うのでお金がかかります。しかし、セメントブロックの方が頑丈だという理由で、ベナンの人びとは高くてもセメントブロックを好む傾向があります。

 

↑土レンガ

↑セメントブロック

 しかし、土レンガは熱の伝導率が小さいので断熱効果がセメントブロックより優れています。そこで、土レンガを現地の材料で強化することを考えました。現在使われている土レンガは、土とセメントだけで、つなぎになるものが入っていません。ベナンにある素材を混ぜ込むだけで、強化ブロックを作ることができるなら、現地の土と素材で作れるので安くつくれるため、人々の建築コストを減らし、快適な家を作ることに役立つのではないでしょうか。

 折角家を建てる機会なので、実験してみようと思いましたが、私自身は、建築に詳しいわけではないので困ってしまいました。そこで、日本政府の支援でベナンに病院を建てるために現地に駐在中の、日本の建築会社の方に相談しました。すると、お休みの日を利用して協力してくださるとのこと。さっそく、アドバイスをいただきながら材料を探し、実験をしてみました。

  まず、材料探しです。道端に、ジュースを飲んだ後のやしの実が捨てられていました。

やしの実の中の繊維が使えそうです。

或いは、アブラヤシの枝から抜き取った繊維。

さて、いくつかの繊維を集めたところで、実験開始です。

実験には、建築会社の皆さんが、アドバイザーとして参加してくださいました。

繊維を混ぜ込んだものと、混ぜ込まないもので、レンガを作ってみます。繊維を入れたレンガには、通常入れるセメントの量を減らしました。繊維を入れることで、費用の高いセメントを減らすことをできるかの確認のためです。

それを乾かせて・・・・

2週間後に高いところから落として、割れるかの実験をしてもらいました。

割れない!

 セメントの量を減らしても、つなぎの繊維を入れておけば、レンガに強度が出ることがわかりました。一方、セメントを全くいれずに、繊維だけを入れてレンガを作ると、レンガは割れてしまったので、セメントは一定量は必要です。

 すなわち、土レンガに植物の繊維を入れれば、セメントを使う量を減らすことができ、強度もあるので、セメントレンガに代るものとして使うことが可能そうです。

 しかし、今回、実験をしてみてわかったのが、思うほど繊維を調達することが簡単でないこと、また、土に細かくした繊維を混ぜ込む手間がかかることでした。やしの実の繊維が大量にとれるのは海岸沿いに限られており、アブラヤシの繊維は抜き取るのに手間がかかります。つまり、繊維を調達するのが無料にはならないということです。そうすると、セメントを減らすことができるという費用面でのメリットが出にくくなりそうです。

 ですので、実験結果がすぐにベナンの建築技術を改良するために役立つ、ということにはならなかったのですが、少なくとも繊維が豊富な地域であれば部分的に実施していくことは可能そうです。すぐに結果にはつながりませんでしたが、今後も、諦めずにトライ&エラーで、いろいろな実験をしながらすすめていければと思います。

 ご支援よろしくお願い致します。 

 

ソコニイルカ一同