2015/12/02 14:26

酒造業は許認可産業で管轄は税務署(財務省)です。免許の期間は1年で事業者(酒造メーカー)には法的な義務がいろいろあります。

1.事業者は酒造免許を取る
2.使用する設備を全て届け出る
3..製造する前に製造許可をとる
4.出荷前にラベルを届け出る
5.毎月の出荷数量を届け出る
6.毎月酒税を納付する
7.製造記録をつける
8.毎年税務調査に応じること

この8つが主な義務で、これらを満たさないと罰則を受け、場合によっては免許の更新が認められず倒産します。今回問題視されたのは7の製造記録の記帳義務でした。

酒税は出荷量とアルコール度数で決まります。酒税を適切に納めないと脱税になります。酒税法が所得税法や法人税法と違うのは「適切または不適切な処理である事を証明する義務」がどちらにあるのかです。
法人税等の場合は証明する義務が税務当局にあり、自白を含めた証拠を当局が集めて「不法行為である」と証明する義務があります。酒税の場合は逆で「適法な行為である」という証明を事業者が行わねばなりません。

具体的にいうと
1.原料の入荷と使用の記録をつける
2.届け出たタンク一つ一つの使用履歴をつける
3.製造した酒類に何かを加えた、水で割ったなどの操作を記録する
4.何ccを何本ビン詰めしたかを記録する
5.いつどこに販売したかを記録する
6.定期的に酒類を分析しアルコール度数とエキス分と比重を記録する
7.これらを紙でまとめ酒造帳簿を作る。電子的な記録は改ざんが可能なので不可とする
8.税務調査の際に担当者が酒造帳簿を確認し質問に答える。
という仕組みになっています。

酒税はアルコール度数と出荷量できまります。アルコール度数は国税庁の鑑定官室で抜き打ちで検査されます。
ただ出荷量のほうは売ったけど記録から消して売上げをポケットに入れるということが出ます。
そこで原材料と設備の使用記録と生産途中のアルコール度数の記録から生産数量を概算し、在庫と出荷数量の合計を比較して売上げの除外がないかを調べるわけです。

我々の場合の問題として、8月末に税務調査をうけるまでそのような仕組みになってるとは説明を受けておりませんでした。
記録をつける義務があるのは知っていたので作業内容は書類に残しておりましたが、現状の書類では、上記の仕組みの上で記録義務を十分に満たしているとは言えないという判断をされました。よって、記録の義務を果たした形に書類を整理して12月までに提出しないと免許更新が出来ず倒産するという事態になっておりました。

そこで、改めて書類の作成を行っておりました。税務署でもらった様式は日本酒用のもので果実酒とは生産工程が異なり、当然記入項目も変わってくるので結局様式から自分で作ることになりました。
作成した書類は300Pを超え、何度か書き直したこともあって作業時間はかるがると300時間を超えています。11月末はほぼ徹夜で仮眠だけとってずっと書類書いてるような日々でした。
しかし、こうした対応の結果、11月30日に税務署に提出し一応のOKをもらったので無事に免許更新の作業を進められる見込みを得ることが出来ました。

アブサンを楽しみに待って頂いている皆様には申し訳ありませんが、
こういった状況で開発スケジュールが遅れてしまいました。
なるべく発送遅延がないよう精一杯やりますのでどうかご了承をお願い致します。