2019/08/07 01:26

8月1日、2日にワウパカ空港でのフライトを行いました。2日朝のフライトは風もなく順調で、非常に気持の良いフライトができ、着陸は自分でも完璧!と思うようなものだったのですが、異変はその直後におきました。

停止するためにブレーキをかけたところ、機体から異音がするのです。機体はほどなく停まり、この日はこれでフライト終了だったので、ハンガーに機体を持ち帰り、検査をしました。当初は異音の原因は共振ではないかと考え、着陸時にどこかのボルトが緩んだのではないかと考えたからです。エンジンを固定しているフレーム、フロントステー、降着装置あたりを調べましたが、しかしどこも緩んでいません。そこで、再度エンジンをかけたところ、ある一定の回転数で振動が起きることが判明し、すぐにエンジンをカットオフしました。ジェットエンジン周りだとあたりをつけ、気をつけて見てみると、エンジンのタービンの後方のタービンに欠けを発見しました。

(タービンブレードの欠け)

おそらく、着陸時になんらかの固いもの(小石?)を吸い込み、それによってタービンブレードが欠け、そしてタービンのバランスが崩れたことにより回転数による異音がしたのだと判明しました。

原因はわかりましたが、これは実はかなりやっかいな問題です。

まず、これをこのまま放置して再度エンジンをかけたりフライトを行うのは明らかに危険です。エンジンの修理ができるまでフライトはできません。さらにやっかいなことに、タービンブレードの欠けを修理するとしたら、ブレードの全交換になります。そしてこのエンジンのメーカーはオランダにあり、米国での修理ができるかは問い合わせてみないとわかりません。

とりあえず、当初予定していた、翌日土曜日のフライトは中止にして、オランダのメーカーにメールを送ります。

土日が挟まるので、返事は遅くなることも想定し、いくつか別の手、つまり同型のエンジンを米国内で入手できないかリサーチも同時に行います。

そして。

結論としては、米国内で、短期間の修理は無理、という判断を昨日月曜日に下しました。

休暇中だったオランダのメーカーのエンジニアがメールで送った写真を見て判断してくれて、やはりエンジン本体をオランダに送り、オーバーホールもふくめた検査を行い、その上で戻すことになりました。また、米国内に彼らの支店や予備のエンジンがないことも、このとき判明しました。

この結果、皆さんには、残念なお知らせをする必要があります。この段階で、私はコロナ空港での試験飛行を中止する、という判断をくだしました。結果的には、米国でのフライトは、オシュコシュエアショーでのフライトが2回、Waupaca空港でのフライトが6回、と合計8回だけとなりました。(合計時間約40分)

もちろん、残念な気持ちはあります。これまでかなり準備してきましたし、天候も幸いしWau[acaでのフライトは好調でした。Corona空港の格納庫やスタッフも確保してあり、また、無線で手伝ってくれるプロの方もおねがいしていました。準備としては全体的にかなり進んでいましたし、自分自身楽しみにもしていましたので、カリフォルニアのコロナ空港でのフライトがなくなったのは残念でなりません。

また、現在のエンジンは2015年に購入して以来、300回ほどエンジンをかけたり、フライトに使っていますが、今まで問題はほとんどなかった「当たり」のエンジンです。「なぜこの大事なタイミングで…」という気持ちは正直あります。

しかし一方ではこのトラブルが空中にいる時でなくて本当に良かったと思いますし、またある種の運が関係するのであれば、これも受け入れる必要があると考えます。なにより、機体や自分自身には全く問題なく、エンジンオーバーホールで修理できるのであれば、全く問題ないともいえます。(修理代金は結構掛かりそうですが…)


なお、このように残念なお知らせになりましたが、中止にするのは、8月末のコロナ空港の飛行のみです。当初予定の、LAのセミナー2回(8月9,10)と、後半のメインの目的である、チノ空港ハンガーでの展示(8月15〜18日)はそのままです。

上記にご訪問を予定の方は、スケジュールはそのままで、ぜひ会場を訪問していただけますよう、おねがいします。


八谷和彦