フィルおばあちゃん、(以下、フィル)について
お話させてください。
フィルは、ニュージーランドの南島の最南端の
インバーカーギルという最も寒い地域で生まれ育ち、
ピアノをいつもひいているお母さまと、
木工技師のお父さまと7人姉妹の下から2番目で育ちました。
歌が大好きだった、フィルはいつも妹さんと歌って、素敵なハーモニーと歌声を奏でていたんだそうです。
お父さんは、心臓発作のため、60歳で亡くなりました。
その時、フィルはまだ10代でした。
朝早く暗いうちから働いて、夜暗くなってから帰ってくる、毎日長時間の肉体労働で、当時の人は、働きすぎのストレスと疲れで若くして亡くなる男の人が多かったそうです。
お父様の仕事は、汽車の内装、外を直すこと。
そのころ、汽車は、木でできていたんですね!
フィルはお母さまの話をよくしてくれるのですが、お母さんは絵も上手で、素敵な絵が部屋に飾ってあります。
いつも貧しい人たちのために分け与えることを考えていたそうです。
ちなみにインバーカーギルは、牡蠣で有名です!
フィルは、学校卒業後、歯科助手として働いていました。
20歳の時に、お母さまのすすめで結婚しました。
お母さまは、娘が多いので、フィルに早く結婚して欲しかったのだそうです。
3人の男の子を授かりましたが、当時の結婚生活は、あまりフィルにとっては幸せなものではありませんでした。
前夫は食品店を経営していて、1セントでも無駄遣いはするなと、全てのお金の記録をフィルにつけさせていました。
息子たちにアイスキャンディを買うことさえ、許さなかったそうです。自分は酒やたばこに惜しげもなくお金を使っていても。
ある日、フィルは、家を出ることを決意しました。
その時の子どもたちは、6歳、3歳、15か月。
3人の息子を連れていくことは許されず、長男を元夫に置いていくことが家を出ることの条件でした。
6歳の息子を置いていくことは、フィルにとってとても辛いものでした。
3歳と15か月の、息子二人を連れて、クライストチャーチにたどり着きました。
クライストチャーチでは、暗く狭い部屋に住み、モーテルのクリーニングの仕事をしながら何とか生計をたてていました。
元夫は金銭面の支援を子供たちにすることはその後一切なかったそうです。
そんな時に、今のご主人、4年前に亡くなりましたが、と出会い、ご主人の出身地である、北島に引っ越してきました。
亡くなったご主人は、とても優しい人で、子どもたちは、すぐになついて大好きになり、離れようとしなかった、と言います。
その後は、フィルはずっと幸せだったといいます。
ご主人のマーブさんは、なんでも作る事ができる人。今の家も子どもたちと共に建てました。
大工さんも入ったそうですが、ほとんど自分たちの手で建てたそうです。
庭にある大きなコンクリートなども、自分たちで持ち込み、地下の部屋を作るときも、自分たちで土を掘りだしたとか。
フィルの家は、急な坂の上にあり、コンクリートを運ぶのは、とても大変だったそうです。
マーブは、果樹や野菜を育てるのが大好きで、家の周りには、今でも、マーブが植えて大事に育てた果樹がたくさんあります。
たくさんとれた野菜は、地域のグループのマーケットで売っていた時もありました。
あまりにも安いために、あっという間に売り切れだったそうです。
マーブさんは、がんで4年前に亡くなりました。
とっても働き者で、休ませるのが大変だったそうです。
マーブさんとフィルは、良く一緒に、リビングで音楽やバレエのビデオを一緒に見ていたそうです。
なんと、リビングにある大きなスピーカーは、マーブさんが作ったとか!すごい!
私と一緒に音楽を聴いていた時、マーブのことを思い出して、フィルが思わずほろりとしてしまったことがありました。
そばにいる私が、マーブのように感じたみたいです。
フィルは、世界中で良く知られているバイオリン奏者のアンドレ・リュウが大好きでDVDを何枚も持っています。
私も何度かコンサートのDVDを見せてもらったのですが、観客も、ステージも一体になり、皆がよく知っている曲を演奏する、今までにはないオーケストラのコンサートで見るたびに喜びでいっぱいになります。
見たことがない方は、一度は見てほしいです。
日本にも、コンサートで来日しているようです!
続きはまた!