2019/09/15 10:40

しあわせなみだ理事長中野宏美です。

性暴力撲滅に向けた啓発活動を始めて10年、しあわせなみだを法人化して8年になります。
活動を通じて、性暴力を経験した方とお会いする機会をいただく中で、1つ気付いたことがあります。
それは「性暴力被害を経験した方の中で、障がいのある方の割合が、明らかに高い」ということです。

信じていた相手からレイプ被害に遭った、発達障がいのある方は、支援者や警察に相談しても、信じてもらえなかった経験を、涙を浮かべながら、話してくれました。
だまされて、水商売や風俗で働かされ、必死に逃げてきた、知的障がいのある方は、障がいにより家族から疎外されてきた中で、時折ホストや風像経営者からかけられた、甘く優しい言葉を、心の支えにしていました。
性暴力被害によって予期せぬ妊娠した、身体障がいのある方は、子どもを1人で産み育てる決意をし、子どもの名前を一生懸命考えていました。
(個人が特定できないよう、複数の方を組み合わせています)

しかし「障がいのある方が性暴力被害に遭っている」ことは、ほとんど知られていません。
公的機関による包括的な調査も行われておらず、国は実態を把握していないのが現状です。

いくつかの理由があると感じています。

まず障がい児者が「性加害の対象」とされていることへの想像が、困難だからです。
障がい児者に対しては、「無垢」「汚れがない」「素直で純粋」等のイメージが与えられがちです。
このため「性」や「性暴力」といった「欲」や「快楽」、もしくは「犯罪」等を想起させるカテゴリーには、つながりづらい実態があります。

次に、性暴力が持つスティグマ(差別や偏見に基づくネガティブなレッテル)が挙げられます。
芸能人による性犯罪事件等で、被害者に対し、「有名になりたかっただけでは」「ハニートラップだ」「相手を活動休止にさせるなんてひどい」といったバッシングが起こることからもわかるように、性暴力被害当事者であることの告白は、大きなリスクを伴います。
性暴力撲滅に関わることは、こうした誤解や偏執とも、向き合うことになります。

そして、「障がい児者」も「性暴力被害」も、「他人事」であり、「できれば関わりたくない」と思われる分野です。
障がいを持つことは、この日本社会では、まだまだ様々な不利益や困難を抱えることにつながります。
そして性暴力被害は、その後の性交や妊娠出産、PTSDをはじめとする精神疾患等、人生において、心身に深い影響を及ぼし続けます。
「障がい児者にはなりたくない」「性暴力被害には遭いたくない」という本音が、「障がい児者への性暴力」への理解を妨げます。

私は障がい当事者でもなく、その家族でもありません。
凄惨な性暴力被害を経験したわけでもありません。
それでも「障がい児者への性暴力」という、見えなくされ、隠されてきた社会課題を知り、「何とかしたい」と考え、活動してきました。

2018年に実施した、発達障害当事者団体を対象とした調査では、回答者32名中23名が、何らかの性暴力を経験していることが、明らかになりました。
国会議員等への働きかけの結果、与党性暴力議連内における障がい児者プロジェクトの発足、野党参院選マニュフェストへの反映等の成果を上げることができました。
最終的には刑法に、「障がいに乗じた性犯罪」が新設されることを目指し、活動を続けています。
法制度見直しを求める署名は、11,437名からの賛同を得ています。

そして、この社会課題を1人でも多くの人に知ってもらうために、「障がい児者への性暴力撲滅啓発全国キャンペーン」を、2019年5月から開催しています。
知的障がい者への性暴力を取り上げた映画「くちづけ」を上映し、有識者をお招きしたトークセッションを開催しています。
これまでに鹿児島、山口、大阪、福岡、徳島、東京の6か所で開催し、533名の皆様に、ご参加いただきました。

2020年1〜3月にかけて、残り4か所(神奈川、新潟、鳥取、宮崎を予定)、全国計10か所での開催を実現したいと考えています。
これまでに312万円を確保することができました。
あと124万円、手数料を含めると、145万円が必要となっています。

障がい児者への性暴力に対する法制度を要望した際、ある方から、「まずは健常者、障がい児者は後回し」と言われたことを、私は絶対に忘れません。
でも、この世の中、そんな人ばかりでないことも、知っています。
この社会をもっとよくするために、たとえ当事者でなくても、できることがたくさんあると、私は信じています。

「障がいのある方の中に、性暴力被害を経験している方が少なくない」事実を日本中に届け、法制度の整備を実現するために、あなたの力を貸してください。よろしくお願いいたします。

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