2019/09/29 19:00

このクラウドファンディングもまもなく終了となります。
これが最後のお願いです。


 企画展「表現の不自由展・その後」が政治家による批判的な展示作品に対しての言及やSNSなどでの誹謗中傷、電凸によるテロ行為の脅迫により僅か3日で中止に追込まれた「あいちトリエンナーレ2019」は、図らずもわが国の表現の自由の危機的な現状を露呈しました。

 かつ、文化庁が採択済みの補助金交付の全額停止を決定したことにより、事態は公権力による検閲にも繋がる芸術空間への介入や表現の自由への侵害へと及んでいます。
 戦後、現在の憲法の施行によりこの国で初めて表現の自由が認められてから72年を経て、わが国の表現の自由はまさに今、分水嶺にあるとも言えます。

2015年、東京都現代美術館で開催された「おとなもこどもも考える ここはだれの場所? 」展にて、市民からの抗議を受けて、美術館側から撤去の要請があった、会田誠さんの家族3人による会田家《檄》2015 展示風景 2015 撮影:宮島径 (c) AIDA Family Courtesy Mizuma Art Gallery

 このままでは公共の美術館や空間では時の権力の意に沿う表現しか行えなくなり、既に日常化しつつある萎縮や忖度、自主規制の空気が更に蔓延することは確実です。

殺害予告を受けた、岡本光博《橋仔頭神社境内再現プロジェクト》2005 台湾の日本統治時代の神社を写した2枚の写真と当時を知る人々へのインタビューを元に、現地に石燈籠等、神社の一部を復元。

 表現の自由は決してアーティストや表現者だけの権利ではなく、私たち一人一人が自分らしく生きるために欠かすことのできない思想及び良心の自由を守るために私たちが持つべきかけがえのない武器であり、最低限の権利です。
 そして今を生きる私たちは、次の世代にこのかけがえのない権利を引き継ぐ責任があります。

2017年、沖縄県の伊計島で開催された「イチハナリアートプロジェクト」にて、展示開始直前にベニヤ板で封印された、岡本光博の作品《落米のおそれあり》

 私たちは今、大切な表現の自由が、公権力による恣意的な介入や検閲、忖度や萎縮による自主規制によって阻害され剥奪される状況に直面しています。
 このままでは表現の自由も芸術も文化もないがしろにされてしまいます!



2014年、愛知県美術館で開催された「これからの写真」展で、愛知県警からの指摘を受けて布で覆った、鷹野隆大の作品《“with KJ#2(2007)” 》(シリーズ『おれと』より) Ryudai Takano Courtesy of Yumiko Chiba Associates, Zeit-Foto Salon

 小社では、表現の自由が危機に瀕している現状が浮き彫りになったこの機会に、アートを通じて人を思いやる想像力と難問を突破する創造力の構築を志すソーシャルアートメディア「ARTLOGUE(アートローグ)https://www.artlogue.org/」と伴に、今回の「あいちトリエンナーレ」の一連の出来事や、過去にアートや音楽、映像などの表現の様々な現場で、公権力による検閲や、忖度や萎縮による自主規制、あるいは組織や個人による誹謗中傷や脅迫により表現の自由が浸食された様々な事例を通して、今一度、我が国の表現の自由が直面している現状を見つめ直し、幅広い議論を通して、そのあり方を考える機運を創り出したく、『表現の不自由時代本』を発刊致します。
http://www.artlogue.org/node/4126
http://www.artlogue.org/node/4176
http://www.artlogue.org/node/4174



 私たち1人1人が自分らしく暮らしていくために欠かすことのできない表現の自由や芸術・文化が貶められつつある現在、個々人で見つめ直して、表現の自由や芸術、文化のあり方を考える機会を創出したいと考えております。

 この機会に、私たちの大切な表現の自由を見つめ直し、対立や分断を超えた協調に向けて、お互いに考えましょう!
 これが最後のお願いです。

 皆様のご支援を改めてお願い申し上げます(拝)