2019/11/16 01:59

quazero – カゼロウ

今沢カゲロウ ルワンダ滞在目撃録4


カゲロウさんがルワンダに到着する前にすでにウェブニュースが発表されており、日本のベーシスト今沢カゲロウがルワンダに来る!と音楽に関わるルワンダ人の中で広まっていた。

ウェブニュースの記事


このニュースを見たギタリストさんから連絡をもらい、共演をしたいというオファーがあった。


「ルワンダの美しさを音楽を通して発信したい」というプロジェクトを立ち上げたとのこと。ギタリスト、サウンドテクニシャン、ビデオグラファー、カメラマンから成るチームでルワンダの各地で撮影を行っている。


今回、カゲロウさんが招かれた場所は山の上。ルワンダ・首都キガリを一望できる場所だ。

「こんな道通るんですか、、、」

とやや低いトーンで質問してくるのも無理はない。
未舗装の赤土斜面を普通のセダンで登っていく。しかも雨上がりのぬかるみを。

到着からキガリでのアポイントが詰まっていたため、首都以外は未踏。

ルワンダのマジョリティである素朴な景色を窓越しに見ることになる。



キガリの中心地から30分ほど車を走らせて到着したここは、その名もワンダーランド。本日のロケ地だ。


ワンダーランド入口

キガリの街を一望




宿泊施設やレストランなどを現在建設中。

ブランコは完成していたので、ひとまず無事の到着を祝して乗っていただく。


何年振りでしょう?




朝から雨が降ったり止んだり。落ち着かない天気にクルー達も機材の出し入れを繰り返していた。

「もう3回も通り雨があったんだよ、クレイジーな天気だね」

そうこぼすサウンドテクニシャンは機材を完全にセットするかどうかケースを開け閉めしていた。




ぱらつく小雨。

「こんな準備にドタバタするなんて大学生の時みたい」とこぼしながら、ルーパーを拭き拭き空を見るカゲロウさん。


その時、再び響く雷。明らかに目の前に雨雲が迫っていて、音も聞こえている。

はぁっと皆が息をつきながら、途中まで出した機材を片付け始めると、このワンダーランドの敷地で働く庭師のおっちゃんが近寄ってきて

「あれは大丈夫だ、こっちには来ない」


どう見ても数百メートル先の山には降り始めているが、おっちゃんは雲と風をじっと見ながらさらりと言う。


そうか、じゃあ準備をしようかと取りかかった瞬間、雨雲とは反対側からサァーッと日が射した。

雨のおかげで空気中の埃が一掃され、「ルワンダの美しさを音楽を通して発信したい」という彼らのテーマが見事に叶うことになった。



「アクション!」

テンションの上がりが滲み出た掛け声のあと、カゲロウさんのソロ撮影に始まり、ギタリストとのデュオへ。


ギタリスト Deo Salvator 氏と




屋外演奏でも手持ちのアンプが威力を発揮する。

「日本のライブハウスは備え付けが多いから貸してと甘えられるんだけど、海外だと基本機材は全部自前で持ち歩きですからね」

状況の違う海外各国での活動歴が長かったことから、どんな環境でもすぐに音を出せる態勢は盤石だ。


撮影の最中、おそらく一番テンションが上がっていたのはワンダーランドのオーナーさんだった。

場所貸しをした本人が喜んでいる姿を見るのは嬉しい。




撮影を終え、再び車に揺られて山を下る。

街に降りてきて、最も人の出入りの激しいバス停付近を通過した時

「わぁ!なんかすごいっすね!強い。生きてる!」

頭に物を乗せて運んだり、曲芸並みの荷物を積んで走る自転車、ビビッドな色の布に身を包み行き交う人々、その様子を見ながらニコニコ声を上げる。





「わぁ!本当に茶色いんですね!」

と、家々が密集する場所を通過する時にまたニコニコ声を上げる。

これまでも目にしてきていたが、改めて正面からその色味をキャッチしたようだ。


茶色の理由はトタン屋根のサビと土壁



ここまで割とクールな印象だったが、スケジュールがひと段落して張りつめた表情が変わってきた。


山の上のブランコが効いているのだろう。


制作チームと。左からギタリスト、ビデオグラファー、BASSNINJA、サウンドテクニシャン、カメラマン  



(文・写真:masako kato)