2020/04/13 18:24

2019年10月12日。日本列島へ上陸した台風19号は、全国各地へ河川の氾濫や家屋の倒壊といった甚大な被害を及ぼしました。今年2月には気象庁がこの台風を「令和元年 東日本台風」と名付けましたが、台風に名前がつけられるのは43年ぶりとのこと。統計上でも記録的な被害が生じたことを物語っています。

あの日から6ヶ月を迎えたいま。被害の爪痕を残しながらも、現地にはあたたかな春が訪れています。当プロジェクト代表・徳永の農園も、全国各地の方々のお力添えのおかげで、今年度の収穫に向けた復旧が進んでいます。

▲ 2019年10月撮影

▲ 2020年4月撮影

今回は、6ヶ月間の当プロジェクトの活動を振り返りながら、私たちの今後の活動方針と皆様からご支援いただいた資金の使途についてお伝えしていきたいと思います。長文となりますが、ご一読いただけますと幸いです。


アップルライン復興プロジェクトの歩み

被災地の発信とクラウドファンディングの実施

当プロジェクト代表の徳永が被災直後より現地の状況をSNSで発信したことにより、当時から県内外の方々に目を向けていただく機会をつくることができました。初回の投稿をきっかけに、大変多くの方々が現地までボランティアに来てくださったり、各種メディアへの出演を通じた現地の状況発信へとつなげることができました。

▲ 発災直後の徳永の投稿 100件以上のコメントが寄せられました

▲ 各種メディアに取り上げていただきました

発災から1ヶ月後の11/12よりクラウドファンディングを開始。短期的な現地復旧に限らない、長期的な視点での復興を視野に入れた活動展開を掲げ、資金調達を行いました。現地の状況を伝えるとともに、当時の私たちの想いを込めたプロジェクト文は、皆様のお力添えによって全国各地の方々の目に触れる機会を作っていただきました。

SNSなどで当事者感覚を強く持って積極的に発信を協力してくださる県内外の方々や、長野県出身の著名人の方々の支えを強く感じる毎日でした。結果としてNHK・民放の全国放送含め多数のメディアへの出演にもつながり、(金銭的支援に限らない)現地への支援の輪を拡げていく一助となることができたと思っています。

クラウドファンディングについては発災から2ヶ月後となる12/12に終了。結果として1,039名もの方から11,495,666円の支援をいただきました。この支援額は、本プロジェクトを掲載したプラットフォーム・GoodMorning内で掲載された2019年の全プロジェクトで最高金額とのことです。

改めまして、ご支援・ご協力くださったすべての方に深く感謝申し上げます。

▲ クラウドファンディングの支援結果


料理人グループ「#CookForJapan」との連携
「#長野コラボディナー」を開催

このクラウドファンディングがこれだけ支援の輪を拡げることができたのは、前述の通り支援者や発信に協力してくれた方々はもちろん、リターンの提供者として "起案者側" に立ってくださった方々の協力がとても大きかったです。お店の商品の提供や講座の開催といった協力をご提案くださり、「楽しみをつくるために支援をする」という、支援者の方にとってもポジティブな動機を増やしてくださったからこそ、これだけ大きなムーブメントを作ることができました。

そのなかでも、このプロジェクトへ多大なご協力をくださったのが、料理人グループ「#CookForJapan」の皆様。現地には僅かながら水害を免れたりんごの収穫も行なわれましたが、食べられないのではないか、といった風評被害による不買の動きが懸念されていました。

そんな状況下で、被災地の生産物の消費促進のため、レシピの公開や発信協力をしてくださった「#CookForJapan」さん。それだけでなく、りんごを含む長野の食材を中心に使った「#長野コラボディナー」を、2/8〜2/10の3日間、現地・長野にて開催してくださいました。

▲ 3日間の日程で開催した「#長野コラボディナー」のチケットをクラウドファンディングで販売したところ、瞬く間に完売。

▲ 「#被災地農家応援レシピ」の発起人・神谷隆幸さん。奥様のクレールさんとともに、フランス・ニースから長野までお越しいただき、全日程で腕を奮ってくださいました。

▲ 参加者の方々は、長野県産の食材を中心に使用したフルコースディナーを堪能しながら、SNSでもたくさん発信してくださいました。

▲ 被災を免れたりんごをふんだんに使った、クレールさん作「サンフジのプレッセ、クランブル、マスカルポーネのクリーム」

▲2/7(金) DAY01 担当シェフとスタッフの皆様とともに

3日間のディナーにご参加くださった支援者と協賛企業の方々のうち、約9割が県外在住の方々。当時は被災の影響で長野の観光にも大きな打撃が及んでいましたが、たくさんの方に長野まで足を運んでいただくきっかけにもなりました。そしてなによりも、私たちも気づけなかったりんごの可能性をディナーという場を通じて体感したこの3日間は、今後の活動を考えていく上でのターニングポイントとなりました。


現地の復旧・復興団体や自治体との協議
農業ボランティア実施協力

私たちがクラウドファンディングを開始した当時は、自治体の支援体制や補償制度、ボランティアの受け入れ体制なども十分に定まっておらず、各農家が模索しながら復旧活動を進めておりました。しかし、クラウドファンディング実施中より徐々に各機関の連携が生まれ、組織を横断した協議の場が設けられていきました。現在も代表の徳永を中心に、こうした地域の会合へ参加するなかで、意見交換を行っています。

これに限らず、地域で開催されるボランティア活動やイベントの協力など、他団体主催の企画への協力を行っていきます。

▲ 2/16開催 農業ボランティアの様子。りんごの摘み落としや畑に流れ込んだゴミの撤去を行なった。当プロジェクトも実施に参画しました。


タピオカ専門店「ひととき with Tea」さんと
信州りんご × タピオカドリンクの開発・販売

被災当初からお声がけをいただき、2月末より当プロジェクトとコラボという形で販売いただいているのが、長野駅前「ひととき with Tea」さんの「タピオカぷるぷるアップルティー」と「果肉入りタピオカアップルミルクティー」。タピオカをよく飲む若い方々へ向けて、美味しくりんごを消費してもらいながら、被災の記憶を忘れないようにしていただくため、グランドメニューのひとつとして展開いただいています。

▲ りんごを使用した2種類のタピオカドリンクを2月末より販売

こちらの商品の販促活動として、長野市を中心に活動するインスタグラマーの方々に発信をお願いしたり、長野県立大学に通う高橋郷さんに本商品のPR動画を撮影いただきました。

こちらのドリンクは現在も店頭にて販売中。長野駅前にお立ち寄りの際はぜひお買い求めください!


復興プロジェクト発プロダクト
リンゴグラノーラ『RINO』の開発・販売

リンゴのある風景を守るために継続的に復興を支えていく商品が必要と考え、急ピッチで開発を進めていたリンゴグラノーラ『RINO』。

本日4/13(月)、無事に販売開始の運びとなりました!販売に至るまでには、長野県内の製造会社さまや専門家の方々など、大変多くのみなさまにご協力をいただきました。心より感謝申し上げます。

▲アップルラインに赤いリンゴの色と、人々の彩りを取り戻したいという気持ちを込めて

『RINO』は流通がむずかしい規格外リンゴ(サンふじ)を、おいしくたくさん召し上がっていただくこと、そしてずっと愛される商品であることを目指しています。2020年2月には東京と長野で支援者のみなさまとの試食会を開催して、よりよい商品にするための意見をたくさんいただきました。お声を参考に、ドライリンゴを大きめなサイズにしたり、ギフトとしてもお買い求めいただけるよう箱入りのパッケージとするなど、改良を重ねてきました。

▲ ご意見をたくさんいただいた試食会・東京開催のようす

また、リンゴは国内消費が減少傾向にあるという課題も抱えています。復興の先の消費も見据えていく必要があり、通年通して楽しんでいただける『RINO』を新しい食べ方としても提案していきたいと思っています。リンゴを食べる習慣のない方にも、ぜひ手に取っていただけたら幸いです。

▲ 甘酸っぱいリンゴと牛乳の相性抜群。ヨーグルトやアイスクリームにトッピングしたりしても◎


【リンゴグラノーラRINO】
発売日:2020年4月13日(月)
小売価格:1280円(税抜)
販売先:インターネット販売、ながの東急百貨店(長野市)、県内外小売店等
WEB:https://rino-granola.com/


今後の活動と資金使途について

はじめに、皆様よりいただいた支援金の資金使途に関するご報告が遅くなってしまい申し訳ございません。クラウドファンディングとは別に、被災に伴う助成金の申請などを行なっており、種々の手続が完了するまで活用できる資金が明確とならなかったため、お伝えするまでお時間をいただく結果となってしまいました。

クラウドファンディングの資金につきましては、手数料14%とリターンの発送および実施経費等を差し引くと、手元に残る資金を約700万円と試算しています(返礼品である今年度収穫のりんごの発送を控えているため、必要経費はまだ確定しておりません)。本日はこちらのクラウドファンディングの資金をどのように活用していくか、今後の活動方針と併せてご報告させていただきます。


資金の活用方針について

発災直後からの発信やクラウドファンディングの実施など、体制も十分に整わないなかで自分たちが行えるアクションを講じてきたところ、想像以上に被災地域外の方々から温かい応援のお言葉やご支援・ご協力をいただいてまいりました。SNSや各種メディアでの露出を契機に、他業種の方々との連携が生まれ、この6ヶ月間のあいだにも様々な企画を生み出すことができました。

こうした発展的活動を先行して実施できた背景としては、当プロジェクトの運営体制も影響していると考えています。現在、10名程度が当プロジェクトの運営に関わっておりますが、その半数以上が農業従事者ではなく、ITやマーケティングといった領域を本職としています。

当初は現地復旧〜復興の各段階のアクションに対しても資金を活用して実行していくことを考えておりましたが、当時は見えていなかった国や自治体による支援体制の力で現地の復旧フェーズが大きく変わりました。農機具の買い替え、畑や農業用倉庫の復旧に対しての補助金対応によって、復旧を進めていくことができました。 それでも今回の災害で農家が負った特別損失は非常に大きいです。この背景に対してクラウドファンディングの限りある貴重な資金、そして私たちが得意とすることを総合して検討を重ね、「りんごの高付加価値化」「りんごの消費促進」につながる活動展開を中心に注力していくことを決めました。


ボランティアや自治体の方々の懸命なご協力のおかげで、現地は営農の再開が可能な状態へと向かっていますが、決して被災以前の状態、というわけにはいきません。まだ手つかずのエリアがあったり、離農や規模の縮小を決めた生産者の方も少なくありません。今回の災害によって農業が抱えていた "高齢化” や "耕作放棄地の増加" といった課題は、やはりより顕著なものとなってしまいました。それでもこの地域を「アップルライン」とまで呼ばれる生産地として継続していくためには、これまでとは異なるアクションを起こしていく必要があると考えています。


5年、10年というスパンで、地域が一体となって新しいアップルラインを築いていくために、私たちがこの6ヶ月間で感じてきたりんごの持つポテンシャルや可能性、そして市場のニーズを、まずは販路という形で具体化していくことで、持続可能な生産地の第一歩を目指していきたいと思います。


現地農家の活動支援を通じた被災地復旧

私たちがこうした活動に舵を切ることができるのは、現地に張り付いて復旧活動を続けていらっしゃるボランティア団体の方々や、農業の先輩方によるご理解があってこそです。私たち以上に現地に対して根を張っていらっしゃる方々の活動方針に沿ったアプローチを、私たちも継続して検討していきながら、資金を活用していきたいと思います。限りのある資金ではありますが、現地で行なわれる催しへの協力など、被災地の活動支援のために使わせていただきます。


りんごグラノーラ『RINO』の販促活動

前述した「りんごの消費促進」「りんごの高付加価値化」をキーワードに開発を進めた『RINO』は、被災地で生産されているりんごを使用しています。被災地のりんごの販路を拡大していくとともに、地域の農家さんからなるべく高い金額でりんごを買い取っていく方針です。より広く展開することで継続的に生産者の利益を大きくするため、広報宣伝費や展覧会出展費などに資金を使わせていただきます。今後もこのような地域発ブランドを生み出すことで利益の流れをつくっていくためにも、まずは『RINO』を全国的な知名度を持つ商品へと育てていきたいと思います。


様々な業種とのコラボレーション

料理人グループ「#CookForJapan」さんとの継続的なイベント・企画の実施や、「ひととき」さんのタピオカのようなコラボ商品の企画・広報活動を広く展開していきます。ご協力くださる事業者の方、ぜひご連絡くださいませ。


最後に

クラウドファンディング実施当初とは異なる活動計画・資金使途となってしまいましたが、私たちの目指している方向には変わりありません。持続可能な生産地づくりのため、地域の方々のご理解をいただきながら、活動を継続してまいります。支援者のみなさまにもご理解のほど、何卒よろしくお願い申し上げます。


現在、被災地も新型コロナウイルスの影響を受けて、ボランティアの受け入れ等が十分に行なえず、復旧が思うように進んでいない現状があります。

千曲川の堤防決壊から半年・新型コロナで復旧作業に影響も
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200413-00374100-sbcv-l20

被災地も苦しい状況が続いておりますが、プロジェクト一同、できることを1つずつ実施してまいりたいと思っています。どうかみなさまもご自愛くださいませ。


2020年4月13日
長野アップルライン復興プロジェクト 一同


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