2020/12/30 00:28

支援者および読者のみなさま

ご無沙汰しております。『対抗言論』事務局でございます。
2020年も残りわずかとなりましたが、久しぶりの活動報告をさせてください。

本年は何をおいてもまず、新型コロナウイルス一色の年でした。
本誌第1号の刊行は、昨年のちょうど今頃でしたが、それからまもなく感染症の報道が始まり、またたくまに4月の緊急事態宣言発令へと突き進んでいきました。

その後は、日本社会のセーフティネットの脆弱さがあらためて露呈するとともに、現在まで続く政治の不在、まっとうな政治的ビジョンの欠如による、人災といってよいような状況が続いています。
アベノマスクやモリカケ問題、桜を見る会、Go To トラベルの失策……等をめぐる報道はそれなりになされていますが、その裏で、誰にも声を拾ってもらうこともなく、ただ孤立に耐えるしかないような移民・難民、ホームレス、そして非正規労働者層を含めた無数の人々が放置されています。

働く場を失い、無力感にじりじりと追い込まれている一人ひとりへの共感こそが政治に求められているはずなのに、国政を動かす人々の口からはなぜか、そのような言葉を聴くことがほとんどできません。政治や社会のなかに、他者に語りかけようとする意志、希望を語ろうとする意志が見られないのはなぜなのでしょうか。
これが「私たち自身の民主主義」の問題であることを自覚し、新しい一年を生き延びていかなければと思います。

『対抗言論』2号は、もともと東京オリンピック批判などの企画も検討していたこともあり、刻々と変わる事態の推移のなかで、どこに軸を置いて編集作業をおこなうべきか、率直なところかなり苦慮しておりました。
それでもようやく今月、依頼済みの原稿がほぼ集まり、来たる2021年の春には、みなさんに『2号』をお届けできそうな見通しです。

執筆やインタビュー、座談会にご協力いただいた方々のお名前だけを以下にご紹介しておきますが、いずれのご寄稿も、いまの私たちの社会にとって切実で核心的な問題に取り組んでいて、時代の危機にどう対抗すべきなのか、示唆に富む文章ばかりです。

(以下、すべて敬称略)
[編集委員]杉田俊介、櫻井信栄
[編集協力]川村湊、藤原侑貴
 温又柔/木村友祐/子安宣邦/ケイン樹里安/川口好美/
 康潤伊/高橋若木/篠森ゆりこ/宮越里子/岡野八代/
 児玉真美/堤拓哉/西井開・尾崎俊也/まくねがお/
 倉数茂/白岩玄/稲葉剛/篠原雅武/髙谷幸/山本圭

誌面デザインも1号とは異なり、さらにパワーアップします。
ぜひ、刊行までもうしばらく、楽しみにお待ちください。

2021年の、みなさまのご多幸を祈りつつ

2020年12月30日 『対抗言論』事務局