2020/01/21 21:00

おばあちゃんをもっと知ってもらう為に
活動報告ではおばあちゃんの生い立ちや
おばあちゃんの撮った写真、
祖母と孫のやりとりなど、
色んな形でおばあちゃんを紹介していきます!


おばあちゃんとランチ03(コラム)


こたつに入ってランチしながら、色んな話を聞いてみた。
「白菜とか大根とか炊いたら美味しいわなー」
「お肉とかは食べるの?」
「時々ね。甘いものとかお菓子を食べるかね」
「へぇー、よく聞かれるでしょ?健康の秘訣はなんですかって?」
「あんまりな、ご馳走は食べてないっち言うな。田舎育ちじゃけんな」
「あはは、質素なものをバランスよくってことだよね」
「野菜が好きやな。普通の味付けでな」
「写真撮ってたことは長生きに関係してると思う?」
「そうやなー。やっぱり体にも頭にもいいね。ずっと考え込んでパチっと撮るけんね。物忘れがないっちゅうのはね、写真をやってたおかげだって思う時もあるわ」
近くで大きな声を出して聞こえるように話すと、おばあちゃんとは未だにしっかり会話が出来る。100歳のおばあちゃんと今でもこうやって会話出来ることは本当に有難いことだと思う。


海苔を巻く音や汁をすする音や箸が食器に当たる音。
きっとこういう小さな音はおばあちゃんには聞こえていないだろう。
でも、おばあちゃんの行動一つ一つに音があり、生きているということを伝えてくる。その音を感じられることが幸せだなんて、あまり考えたことがなかった。
「あんた、それ醤油がないやろ」
「大丈夫だよ、おばあちゃんは?醤油持ってこようか?」
そう言うと、おばあちゃんはキンピラの出汁を漬物にかけてくれた。
「これに味がついちょんけん、美味しかろう」
おばあちゃんは僕が食べている姿もしっかり見ているし、若い僕が動くことにすら気をつかってくれる。なんだか、自分がおじいちゃんになった気分だ。
「おばあちゃんは最近はギターは弾かないの?」
「もう、写真撮るのもやっとやけんねー」
「俺はよくライブの写真撮ったりするけど、音楽は良いよね」
「そんなのも撮影しちょんのかえ。はぁー。元ちゃんも本当にカメラマンしよんのやねー。でも、音は写真に撮れんやろう」


確かにおばあちゃんの言うように音は写真には映らない。
でも、その音を感じさせるような、空間の熱を伝えられるような、そんな写真は撮れる。
「そうだね。でも音は映らなくても、音を想像してもらうことは出来るよね」
「写真は何を撮ってもそうかもしれんね」
100歳になってもこういう感覚を持っている本当に自慢のおばあちゃん。
一緒に写真展をやれることに感謝の気持ちを持って、おばあちゃんの写真も自分の写真もしっかりと選んでいこう。そんなことを改めて思ったおばあちゃんとのランチだった。

「141歳の写真展」は僕とおばあちゃんの自分ごとではあるけれど、写真展に来て下さる皆さんが少しでも自分の「家族」のことを考えるきっかけになればと思うし、僕やおばあちゃんの力というよりも「写真」にはそういう力があるんじゃないかと思う。


さて、次回はおばあちゃんの生い立ちをご紹介します。