2020/02/02 16:31

飛騨高山ジャズフェスティバル実行委員会の白石です。
クラウドファンディングのご支援も40%を超えてきました!ありがとうございます。
ご支援もとてもうれしいですが、皆さんからのメッセージに心を熱くしています。毎年楽しみにいらっしゃる方からはもちろん、こういうフェスこそ地域に必要だよ!という内容まで、本当にうれしいものです。

さて、いつも活動報告や御礼だと暑苦しくなってしまうので、今日からはテーマを決めてこぼれ話を少々。あまり表に出てこない話をしようと思います。
今日のテーマは「ひるがのサービスエリアで会社設立」です。よろしければお付き合いください。

開催に至るまではいばらの道
手始めに、200万円ずつ背負いましょ

飛騨ジャズは、運営に5人のコアメンバーがいます。
久田(料理屋)、柿崎(大工)、山際(美容師)、中谷(製粉製麺)、白石(編集者)と、バックグラウンドも持つスキルも様々。
この5人で「JAM」という法人を設立し、全員が役員として出資しています。
オフィスはないのでいつも一緒ということはなく、仕事のときに顔を合わせるドライなアイドルグループのような関係です。

2016年に初めてフェスの話が現実味を帯びてきて、2017年に2組のアーティストを絡めたキックオフイベント、そして2018年の初開催…と進んでいくのですが、そもそも誰もフェスをやったことがないのでお金のことが何もわかりません。

2017年にキックオフとして開催したイベントの様子 周りのフェスは規模が大きくて参考にならず、本当に何も分からなかったので、「ひとり200万円借金したと思って、1,000万でやってみるか」ということにしました。
このときは、泊まりで来る人もいて地域も潤うから、身銭を切らずとも誰か協賛してくれるやろ〜とか考えてましたが甘々のアマでした。すぐに現実の厳しさを思い知ります。


ミュージックラバー、飛騨信用組合との出会い

あたりまえですが、開催までにwebをつくったりバス手配したり、最初にかかってくるお金も色々とあることがすぐに判明します。そして、個人の集まりで運営する限り5人の誰かが大きなリスクを取らないといけなくなるため、法人をつくって事業化しようとなったわけです。

飛騨は、地域柄なのか金融機関の皆さんと距離がとても近いのですが、役員に音楽好きが多いと噂で聞いていた「飛騨信用組合(ひだしん)」に相談したところ即決。穴だらけでボコボコの事業計画も見事に整地してていただき、会社設立の相談から融資までお世話になることにしました。

なんちゃらペイは世の中にまだ普及してませんでしたが、当時は珍しかった「財布をもたずにスマホ決済」ができるフェスにしたかったので、ひだしんがローンチしたばかりの電子地域通貨「さるぼぼコイン」の実証実験の場として、フェス全体を巻き込んでいくことになります。

さるぼぼコインで決済している様子。手数料も含め全てのお金が地域内で循環してます

ネット広告の「かんたんに会社設立!」は信じてはいけない

ちなみに、法人設立についても誰もわかっていませんでした。「法人設立」でググるとたくさんリスティング広告が出てくるのですが、そのなかでも「たった5分で会社設立!」と低品質キャバクラみたいなコピーが添えられたサービスを使って行いました。もちろん5分ではできません。結局2週間くらいかかりました。

このときは、久田と白石で飛騨から2時間かかる岐阜法務局まで法人登記に行ったのですが、Yahoo!ショッピングで頼んでいた会社の実印が直前まで届かず「ひるがのサービスエリア」のフードコートで10枚ほど書類に押印したのがいい思い出です。

合宿帰りに唐揚げ定食に向き合う高校生たちの隣テーブルで、人生初めての登記書類に向き合うおじさんふたり。こうして「JAM」は設立されました。
打ち上げに集まったメンバー。みんなフェスTシャツ着てくると思ったのに、2人しか着てない


ペーパーカンパニーを量産できそうな経験を積み、やっとここからがフェスの準備スタート。
この時点で開催まで3ヶ月を切っていました。

本日はここまで!お読みいただき、ありがとうございました。
次回テーマは「数ヶ月かける設営準備と、狂気の当日撤収」です。

(白石達史)