2020/09/26 11:51

クラウドファンディングは、残り6日というところで目標額に達することができました!ご支援くださったたくさんのみなさま、本当にありがとうございました!!みなさまからいただいたコメントに力づけられ、励まされています。
現在は展覧会で使った木材をコミューナルな文化施設へと活用するプロジェクトを進めつつあり、さらなるご支援をいただけますとたいへんありがたい状況です。
最後まで全力で走りきりたいと思いますので、どうか引き続きぜひお力添えください!

さて、今回はこのプロジェクトについてのご報告です。
きっかけは、やはりコロナ禍でした。

第17回ヴェネチア・ビエンナーレ国際建築展の延期が発表されて以降、各国のキュレーターとの定期的な話し合いを進めていることはすでにご報告しましたが、ここでのやりとりを契機に、フィリピン館のみなさんから共同プロジェクトを持ちかけていただいたのです。

フィリピン館とのミーティング風景。左下がコ・キュレーターのアレックス、右下が同じくスダーです

フィリピン館のテーマは「Structures of Mutual Support」(助けあいの仕組み)。フィリピンでは伝統的に、住民たちが互いに助けあって農作業をしたり、家屋をつくったりする「バヤニハン」という相互扶助の慣習があります。住民が総出で、家を御神輿のように担いで移築する姿などがたいへん有名ですが、フィリピン館では今回、その精神を引き継いで現代的に展開し、建築家が住民とともにコミュニティのための建物をつくることに挑戦するそうです。

フィリピン館が進めている住民参加型の建築設計
フィリピン館では展示のため、各国の「バヤニハン」に相当する概念の調査を進めていたのですが、日本には「結」(ゆい)などと呼ばれる相互扶助の仕組みを持った集落があります。これを教えたところ、キュレーターどうしのやりとりがはじまり、わたしたちのプロジェクトにも興味を持ってくれました。

最初に誘っていただいたのは、ヴェネチア近くのメストレという街のプロジェクトでした。メストレにはヴェネチアへ働きに出ている方がたくさん住んでおり、観光業やホテル業に従事するフィリピンからの移民コミュニティもあるそうです。フィリピン館はビエンナーレの一環として、そこに住民のための図書館をつくるプロジェクトを進めていたのですが、残念ながらコロナ禍でフィリピン政府も財政的に苦しくなり、このプロジェクトは止まってしまったそうです…

しかし、すぐに次のプロジェクトへのお誘いがありました。場所はなんと、ノルウェーはオスロの郊外、スレッテロッカ(Sletteløkka)という街です。

ヨーロッパの郊外でよく見られるように、この街にも鉄筋コンクリート造の団地があり、多くの移民たちが暮らしています。しかしここには、住民の集まれる場所もないし、こどもたちが遊べる場所もない。そんな場所に、日本から来た木材を使って、住民がみんなで使える建物を、日本の建築家と一緒につくりたいというのです!

木材の輸送コストをはじめ、クリアすべきハードルはたくさんありますが、フィリピンと日本の双方で実現の道を探っているところです。みなさんにも、ぜひこの先の報告ができるといいなと思っています。