2017/08/01 14:41
今日から、PARKのメンバーを紹介していきたいと思います。みんな個性的なキャラクターなので楽しんでいただければ幸いです。

まずはPARKというよりTSUGIといったほうがわかりやすい新山くんです。にいくんと呼んでます。5年前鯖江に住み始めた頃にある時呼び出され会議に出たのが最初の出会いかな。今のにいくんはにこやかで穏やかな印象だと思いますが、あの頃はロックバンドのボーカルのようにギラギラして叫び出しそうな印象でしたね。あの夜がもう5年も前なんですね。早いものです。そんなにいくんのインタビューを読んでください。

 

 

 


●新山くんは河和田への移住先駆者であり、ご自身でクリエイティブカンパニーTSUGIを立ち上げて活動されているわけで。さらにPARKへ参加することにしたのはどうしてでしょう?

「自分の中でPARKはノアの箱舟だと思っていて。僕はTSUGIを始める前、市役所で働いてた時期があって。行政にいて地域にグッと入っていったときに、コミュニティの大事さ、行政の大変さっていうのもわかりつつ、閉塞感がめっちゃあるわけなんですよ。地域で言ったら、今までのあたり前とか、風習とか、あとは目に見えない序列の関係性を感じて、良くない気がするというか」

 


●ざわざわしますよね。

「そうなんです。行政は最大のサービス業だけど、公平公正という概念がある限り、突き抜けることは難しくて。いっぱいある組合も、ユニオンなだけなのでできることは限られているし、もっと自分ごとでやらないと何も動かせない。自分ごとと言ってもひとりじゃできないから、自分たちごとにならないと無理なんだなっていうのは強く感じていて。PARKが本当に良かったのは、同世代かつ、わりと同じ方向を見られる人たちが奇跡的に出会えた。これはむちゃむちゃすごい、他の地域にはなかなかないことで、“ものづくりの街”の恩恵をかなり受けているとも言えるんだけど。とは言え、当初は今ほどの計画ではなくて。“いらん機械がふたつもらえるから置く場所を探そう”みたいな話からスタートして、ハマ(浜口)さんに相談して、その繋がりで今の物件と出会って、めっちゃオモロイやん! じゃあここで何をする?みたいに広がっていった。そうそう。PARKは21世紀型のユニオンになるんじゃないかなぁと思ってるんです。お堅い会ではなく、未来を探りながら作っていく会、だからノアの箱舟、それで参加することにしたっていう」

 


●ただ、ろくろ舎のように木地を挽く、TSUGIならばザインという軸があるけれども、PARKにはわかりやすい旗がない。そこが面白さである反面、難しさにもなってくるんじゃないかなって。

「まさしく。今、自分が関わっているものでも、面白いプロジェクトほど伝えにくいっていうのはね、すごくあるんです(ニッコリ)。逆に、パッと言えた時点で完結してしまいがちで、その先に余白のないことが多かったりして。PARKは完全に前者なんですよねー。結局、施設はひとつの装置であって、大事なのはそのあとの関係作りと広がりだと思うから」

 


●新山くんがPARKを使ってやりたいこと、PARKの一員としてやってみたいことはありますか?

「んー、そこまで具体的ではないんだけど。この3年間の出来事として、RENEWというプロジェクトを始めたこと、ataW、ろくろ舎のショップ、漆淋堂の直営店ができたことっていうのがあって。これらは僕にとって革命的にデカいことだったんですよ」

 


●街が変わりましたもんね。

「本当に。僕が河和田に来るようになって、Hacoaさんが完成したときも衝撃やったし。言ったら、こんな田舎に住んでるけど、しかも自分は何もしてないのに、“こんなんあんねんで”ってドヤ顏できるスポット=誇れる場所が増えるっていうのは、泣けるくらいうれしいことで。実際に人の流れが変わって、Hacoaに行って帰っていた人たちが、今は2時間くらいなら楽しめる街になってきてて。そこにアクティビティを作っていく場であるPARKが加わる。しかも飲食もできる。そしたら河和田は絶対にもっと面白い場所になる」

●確かに。お茶が飲めて、ものがつくれて、新しい出会いや気づきが生まれるとなったら、2時間が半日になるかもしれない。

「そうそうそう。ものづくり産地の生き残る戦術はいくつかあるけど、観光っていうのは間違いなくひとつのポイントになってくるし。まぁ万人ウケする地域にはならないと思うけど、行きたい街の選択肢に河和田を押し出していくことは十分できるから。ゆくゆくは宿泊であったり、もっと言うと、ここに住みたい・働きたいっていう人を増やすトリガーの役割になろうとしていると思う。この街の課題として、家がない問題はでとても大きいですから」

 


●数年前、新山くんも直面した問題です。

「結果、僕は今、この街に住んでないし。まぁPARKの2、3階に生まれる住居部分が、河和田の居住問題を解決するかって言ったら無理だけど、風向きを変えるポイントにはなるような気がして、そこもすごく期待しているところですね」

 


●話を聞きながら、TSUGIやろくろ舎を含めて、みんなで渦を作っている絵が見えたんですよね。少しずつ人や街の空気を巻き込んで、その渦を大きくしていってるような。

「あぁ、それこそが一番大事なことだと思う。うん、それはTSUGIにも言えることで。僕らもデザインが大好きで、デザインさえできたらシアワセっていう会社では全然なくて。“創造産地”って言葉を使ってるんですけど、鯖江にめっちゃおもろい人と文化が生まれて、超イケてる街にしたいっていうだけなんです。でもそれはTSUGIだけでできるわけはなくて、PARKメンバーも含めた仲間ですよね。ものをつくる職人やデザイナー、いわゆるクリエイティブセクターな人って自分でなんでもできちゃうし、どこに住もうと関係ないんで、今のところ多いんだけど。これから大事になってくるのは、そうじゃない人が入る余地をどう作るか。それができたら自分らも想像つかないような渦というか、今はちょっとね、おしゃれな渦なんですよ」

 


●フフフ。おしゃれは矢印としてわかりやすいから。ではそこも踏まえて、PARKを通してどういう人と出会いたいですか?

「自分ごとがちゃんと考えられる人、探究心を持ってる人、かなぁ。あとたぶん向いてるのは、ちょっとしたハプニングも面白がれる人(笑)。そう、今年はまた違う角度から出会いのキッカケが作れそうで。10月のRENEWは中川政七商店と組んで、『RENEW×大日本市鯖江博覧会』として開催することが決まったんです。今のところの目標としては、3日間で6千~1万人が河和田に来るっていう」

 


●おぉ。期間中はもちろん、そのあとに生まれるであろう新たな渦や風も楽しみです。

「そうやって今までのあたり前をちょっとずつ剥がしていって、これからのスタンダードを作っていきたい。ワーワー文句を言ってるだけじゃ何も始まらないから、ちょっとずつでも動かしてカタチにしていきたいんです」

 


●そしてそういうタイミングでPARKが動き出すというのは、すごくいいのかも?!

「そう! 完全に風が吹いてるなぁって思う。去年のRENEWはataWと漆淋堂ができたっていうのがウリだったんですけど、今年はHacoaがリニューアルオープンして、PARKが本格的に動き出す。これを活かさん手はない。せっかく県外からもたくさん人が来るし、PARKでのイベントや仕掛けを考えて、今、頭の中がいろいろ広がっているところですね」

 

                               インタビュー:山本祥子