2017/08/11 09:29

今回のメンバー紹介は、山口めぐみさん、めぐみちゃんって呼んでます。山口大樹の彼女として神明の秋吉で紹介されました。その後遠距離恋愛を成就!させ結婚を機に鯖江河和田に引っ越して来ました。その後七穂が生まれママとして頑張る姿は、PARKの未来の役割に強く繋がってるなぁと思っています。今後のアーチスト活動がどうなっていくのかワクワクしながら見守っていきたいですね。

 


●PARKのメンバーは関西からの移住者が多いけれど、めぐみちゃんは結婚を機に北海道から福井へ来たんですよね。

「はい。うちの夫というか、(山口)大樹さんがヤマト工芸で働き始めて。最初は“なぜ福井に?!”と思いつつ、しばらく遠距離恋愛の期間がありまして。そしたら向こうで働いていた会社に在宅勤務の話が持ちあがったので、それなら福井でも働けるねってことで、2人で住める家を探してやって来る手筈だったんですけど。その在宅勤務の話が頓挫してしまい、でも家は決まっているしで越してきたのが私がここにいる経緯です。なんとかなるかなと思って来ちゃったけど、結構大変。あはははは」

●大変なことというのは、例えばどういう?

「最初はペーパードライバーで、車も持ってなかったし。にもかかわらず、越して来てすぐに一番近くのスーパーが潰れてしまって」

●確かに。今の河和田にはTSUGIがあり、ろくろ舎があり、漆林堂の直営店もできてって、新たに生まれる話ばかりだけども。

「そう。華々しくなる前に引っ越してきたので。ただとなりまちと比べると、コミュニティバスが1時間に1本ですけど通ってたりして。だから今は大変だけどなんとかやっていける田舎、みたいな感じで過ごしていますね」

●お子さんが生まれて今はお休みされてますが、普段の仕事というのは?

「眼鏡の修理です。ハローワークに行ったときに、鯖江は眼鏡や漆器の産地だし、眼鏡の仕事もいいなくらいの軽い動機で探し始めて(笑)。特に何も考えてなかったから、バフを掛ける仕事に応募して受けに行ったら、明らかに“女の人が来ちゃったか……”って空気になって。眼鏡の製造は男の人の仕事が多いんですよね。でもひとつだけ“女性が多く働いてる職場です”と書かれた会社を見つけて。修理屋さんは鯖江でも6件しかないのかな。他の地域でも、全国から壊れた眼鏡を集めてやっている会社はそんなにないと思うんですけど。なんか面白そうと思って行ったら、ササッと決まってしまったっていう」

●越してきた、仕事も決まった。さらにPARKに参加することになったのはどうしてでしょう?

「面白そうだったから? あはははは。私はもともと絵を描いて発表したりしていて。そうやって何か作ってるとか、作ってなくてもやりたいことをやる人たちのグループと自然につながって、仕事が終わったらそこに行くっていう感じがあったんです。でも福井に来たらそういうのがなくて。私が来る前からPARKに参加していた大樹さんが隣でワシャワシャやってるのが羨ましいなって思って、ついつい関わっていってしまいました」

●多様なメンバーの中で自分の役割って考えたりしますか?

「みんな職人肌なのでそれぞれにこだわるポイントがあるし、お互いの専門領域には口を出しにくいというか、遠慮する部分があると思うんですけど。私は全然職人肌じゃないのから、“それ、わかんない”みたいなことを結構言うんですよ。なのでPARKではそういうヘンなことを言う役というか。結果、“それはイケてない”って却下されたりもするんですけどね」

●おしゃれチームに(笑)。

「そうそうそう。だからおしゃれじゃない人担当って感じ。フフフ」

●PARKに参加すると必然的に何かしら発信する側になるわけですが、そこに対してはどうでしょう?

「んー、私がRARKに行くのは友達がほしいからで。友達がほしいときに相手から手を差し伸べてもらえなかったら、自分から“友達になろう”って言うしかないじゃないですか。発信するのもそれくらいの気持ちなんです。だからPARKで小さな商いをするとか、地域活動をしていくのと同じように、友達を作りたいみたいな動機でもいいと思っていて。すごく柔らかく言うと、そういう人が集まる場所にしていこうっていうのが根底にあって。なので発信する側と受け手の壁が消えることは絶対にないけど、行き来しやすくするのが大事というか」

●だからめぐみちゃんの発信は独特で面白いよね。北海道でお馴染みのジンパ(ジンギスカンパーティ)を開催してみたり、粉を買いすぎたから今日はパンパ(パンケーキパーティ)だ!とか。で、食べに行ったみたら舞台の映像が観れちゃったり。

「うんうん。ああいうのが気軽にやれるようになるといいと思うんですよ。魅力のあるワークショップとか、決まったカリキュラムとか、しっかりしたところもあるんだけど、その隙間を縫って“隣の部屋で鍋してるから食べにくれば?”みたいな。すごい人だけが集まってどんどんすごくなっていく方向もあるけれども、河和田の場合はそうはなりづらいのかなと思うところがあって。もっとこう、そこに行くと常に新しいことがあって、こっちは興味ないけど、こっちにはすごく興味があるとかね。全然違う嗜好の人たちがなんかしたいっていう、モヤモヤとした原始的な部分で繋がっているような、そんな場所になったらいいなって」

●今後、PARKでしてみたいことはありますか?

「子どもが生まれたこともあって、子どもに関するワークショップを考えてますね。特に私は移住してきた側なので、周りに親戚や知り合いがいなくて。そうするとその、ひとりで子どもを見ているのが孤独に感じるときがあって」

●それは現代社会における問題なんて言うと大げさだけど、若いお母さんは大なり小なり抱えている気がします。

「そうそうそう。なので子どもを連れて来やすいことをしたいなぁと思ってます。もうひとつは、ちゃんと管理できてない自宅の庭も含めてなんですけど、柿の木を切って何かに役立てるということをやりたいんです。それはあの、獣害の対策をしている人と仲良くなりまして。柿の木があると猿が来るし、管理できないなら切っちゃえ!なんて話も聞くんですよ。それはもっともなんだけど、土地を持ってる人からは“健康な木を切るのは抵抗がある”って言われるし。だったら整備する前にワンクッションを挟んであげたら、気持ちの落としどころができるかなと思ってて。柿の木は硬くて細かいことをするのに向いてるそうなので、アクセサリーや食器が作れるかなって。柿をもいだり、枝を切ったり、材料を取ってくるところからパーティーにしちゃうようなイベントができたらいいなぁって」

●獣害対策をも楽しもうと(驚)。では、めぐみちゃんにとってRARKはどういう場所でしょう?

「自前で学べる場所かな。初期に学校的な構想もあったから、私はそのイメージが強いですね。固定のメンバーがいて、新しい人が入ってきて、そこには生活の基盤を置いている人もいて。なんかこう、水槽に置いた流木のような。可能性は水の中にふわふわーっていっぱいあるから、流木を一個入れることによって、そこに藻やバクテリアが繁殖して、底にはカワニナがいて、カニがきて、蛍が飛んで、みたいな。水槽で例えていいのか、池で例えていいのかわかんないですけど、それ以前に流木に例えるのはやめてくれって感じかもわからないけど(笑)、そういう触媒なのかなと思う」

●うんうんうん。本当にできてみないと何がくっつくかわからない。

「さっきおしゃれじゃない担当って言いましたけど、思ってもなかったようなものを引っ掛けていきたいね。おしゃれなメンバーはいっぱいいるので、なるべくヘンな人というか、面白担当になりたいです」

●一緒にするのもどうかと思うけど、めぐみちゃんの子どもと一緒にPARKも育っていくんだなぁと思いました。

「地元のコミュニティみたいなものがあって、それはそれで居心地がいいんですけど、同時にもっといろんなものに触れさせてあげたいと思うようになって。PARKを面白くしたいっていうのは、結局、世の中にはいろんな人がいるんだよというのを、自分の子どもも含めて子どもたちが直に触れて感じられる場所になるといいなっていう。うん、それはすごく思いますね」

インタビュー 山本祥子