2019/04/11 09:38

 

先日の喫茶モーニングの塗装ワークショップには、NPO法人オレンジの会に通っている利用者が6名お手伝いに来てくれました。 

オレンジの会は、ひきこもり傾向がある方や、働くことにまだ自信のない方、病気があって仕事をすることが現状難しい人が登録しており、どうやって地域で自分に合った生活や仕事をしていこうかということを一緒に動きながら探していく活動をしています。

ペンキを塗ること自体初めてだという方が多く、最初は恐る恐るそーっと隅のほうから塗っていましたが、段々コツを掴んで丁寧に同じペースで作業してくれました。
体力仕事を普段あまりしない方や女性は、腕が痛くなってきた…」と途中で話してくれたので、たくさんの参加者のなか交代しながら下地塗り→ポーターズペイントの一度塗りまで皆で進めました。

こうやって、やったことのないこと、初めて会う人、初めて入る場所に関わることが、ひきこもっていた人にとって必要な経験だと私は思っています。多くの方からすると、「こんな簡単なこと…」と思われるかもしれませんが、ひきこもりという状態の一番の課題は、出会いと経験の機会が少ないことにあるように考えています。

私自身、美大を1年で中退した経験があります。その時は
「いよいよ社会のレールから道を外れてしまった…」
「普通の人生に戻るにはどうすればいいんだろう」
という不安を持ちました。ただ、縁あって19歳からオレンジの会の活動に参加し、訳が分からないまま人に揉まれながら毎日動いている末にいまの自分が形成されていったんだと振り返ります。
オレンジの会だけでなく、地域や商店街の方や、お店の方、そのお客さんたちと一緒にこの商店街で過ごしてきた15年を経て、いまはこの街に自分ができることを返していけたら、とも考えるようになりました。ほんの些細なことかもしれませんが…。

喫茶モーニングがオレンジの会の若者にとっても、地域で暮らす人にとっても、観光で名古屋にいらっしゃる方にとっても、新たな出会いと体験の場になることを切に願っています。

山田真理子