2019/05/07 01:31

はにーずキッチンラボ と ミツバチプロジェクト

 「かさでらのまちビル再生プロジェクト」第2弾として始動するプロジェクトのもう一つに『はにーずキッチンラボ』の開業があります。民泊同様、10月1日のオープンを目指しています。今回のレポートでは、『はにーずキッチンラボ』の街に対しての役割や目指す姿などについて、ラボを主宰され、「ミツバチプロジェクト」のリーダーでもある中村さんにお話を伺いました。

 

(以下中村さん:中     インタビュアー:イ)

イ:そもそもなぜ「かさでらのまちビル」の屋上でミツバチを育てているのですか?

中:最初は、一個人の思いからで、「ハチミツを商店街で売りたい!」ということで、「かさでらのまちビル」の当時のオーナーが屋上を貸してくれたとういう経緯です。

イ:発起人ががいたのですね?

中:はい。その後、発起人さんはお引越しされたので、そのあとを引き継いだのがAさんとKさんのお2人。このお2人がプロジェクトの基盤を整備してくれました。さらにその後を引き継いだのが、3代目である私たちという流れです。

イ:Aさんと、Kさんが整備された基盤とはどのようなものでしょうか?

中:ミツバチを飼うということは、思った以上に大変なことです。近隣の環境が良くないとミツバチは居付きません。つまり、ミツバチにとって暮らしやすい環境を整えるには、まずは人間側が街を整えなくてはならない。ミツバチは環境のバロメーターなんです。ミツバチが世界から全滅すると、4年後には人類も滅びると言われてるほどです。

イ:それはミツバチが生態系に広く関わっているということですね。

中:ミツバチは生きていくために花の蜜や花粉をたくさん集めます。そのために私たちは街に花やを増やしました。「ミツバチ食堂」や「BeeGarden」「BeeSpot」として半径2キロに、数か所、点在しています。色とりどりの花が点在することで街にちよっとした変化が起こりました。ミツバチのために花の世話を街の人が喜んで取り組んでくれ、徐々に「Bee Garden」が増えていきました。さらに、花の種を取り出す作業や、包装する作業を高齢者施設の慰問行事に取り入れ、手先を使う作業を楽しみながら行っています。その包装した種を街に配ると、新しく花が育ち、ミツバチだけではなく、人間にとっても魅力的な街につながる循環が生まれました。

 

出典:笠寺ミツバチ&Bee Gardenプロジェクト

 

花とともに大切なのが水源。笠寺の街には水源が意外にも多く点在します。

 

イ:なるほど、まずは、街の人の理解と協力を得つつ広まっていったんですね。具体的にどのようにミツバチを飼い始めたのですか?

中:瀬戸の養蜂園からミツバチを購入してスタートしました。今はミツバチのお世話チームと花チームに分かれて作業をしています。

イ:どのくらいの方がチームに参加しているのですか?

中:ミツバチチーム15名、花チーム10名程度です。

 

イ:ミツバチのお世話について教えてください。

中:春夏秋冬でお世話の方法が変化いたします。春は卵が産まれる時期でどんどん数が増え成長していきます。子孫を増やし頑張っています。この時期は新しい女王が生まれる時期でもあり、同じ群で新しい女王が生まれると分蜂(ブンポウ)といい古い女王が、半数の部下をつれて引っ越ししてしまいます。時折ニュースで蜂の塊が街中に現れ、警察のお世話になるのもこの現象です。私たちはそうならないよう、週2回管理し、メンテナンスを行うことを仕事としています。

夏はお花たちにも水やりを行い、ミツバチたちにも毎回お水を切らさないよう皆で水を持ち寄りミツバチの廻りに撒いています。この時期は暑い上に蜂数もMAXになっているので作業も長引き本当に大変ですね。採蜜も、炎天下2時間にわたる作業となり、日除けのない屋上で汗だく&バテバテで作業をしています。秋は越冬に向け、蜂数の増勢管理を行います。

 

イ:夏の作業は極めて過酷そうですね…。今回のクラウドファンディングのリターン品にも含まれている採蜜作業はいつ頃行っているのですか?

中:6月~10月頃に作業をしています。1回の作業で15㎏ほど蜜がとれます。

 

イ:これまでミツバチを飼うだけで拠点がなかったとお聞きしました。

中:はちみつは1週間ほど採蜜器を傾けて、濾過作業をし、小分けいていきます。

その後、福祉施設2か所で瓶煮沸してはちみつのビン詰作業&シール貼と、リーフレット折作業&ライン作業を委託しています。それぞれに委託料をお支払いしています。現在は、採蜜後の作業は自宅に持ち帰っての作業でしたので、蜜が15kg入った採蜜機ごと、4階下へ降ろし、車に積むのは大仕事です。

 

イ:では、今回『はにーずキッチンラボ』がオープンすればミツバチプロジェクトのチームの拠点ができるということでしょうか?

中:福祉施設の委託は、作業を楽しみにしてくれている人もいてくださるので地域活動の一環としてそのまま継続いたします。拠点づくりとしては、蜜ろうの精製、器具の清掃や保管場所としての活用、ミーティングや、勉強会やセミナーを開催できるようになること。最も変わるところは製造許可を取得した場所で食品製造ができることです。ハチミツは高価なので、ハチミツを有効利用し、お菓子を販売したいとアイデアだけが先に立ち、姿にすることはできませんでした。

ハチミツの裾野を広げ、ハチミツのお菓子を商店街のイベントや、マルシェなどで販売を計画しています。購入しやすい商品に変え、活動を広め、加工の工程でたくさんの人たちが関わる機会を増やし、さらなる上を目指したチームにしたいと思っています。なにより、ミツバチ作業に一番近い場所で、炎天下の作業後の休憩所にもなり心底ありがたいことです。

イ:今回のクラウドファンディングのリターン品にもなっている「シフォンケーキ」を試食させていただきましたがとても美味しかったです。ほのかにハチミツの味がして。

中:そういった加工品を作りやすくなるので今から楽しみにしています。

 

イ:最後に皆さんにお伝えしたいことがあればお願いします。

中:そうですね。もちろんプロジェクト自体のご支援もお願いします。やはりプロジェクトだけではなくビル全体の活性化が街へ波及するものだと思っています。

私たちが一歩づづ、花を増やしていったように、じわじわ広がればよいと思っています。それと最後にミツバチのお話をいたします。皆さん農薬について考えたことありますでしょうか?ミツバチは農薬を使われたお花には近づきません。もし、農薬に触れたらミツバチは本能でお家には戻りません。家族を全滅させてしまうからです。ハチミツに話を移せば、農薬を持ち帰らないということは巣箱の中のハチミツは無農薬ということになるわけです。ミツバチプロジェクトで採れる「観音はちみつ」は、ミツバチの行動できる半径2㌔地域は農薬にまみれていない自然環境が良好に保たれているということを代弁しているということになります。かさでらの街がいつでも健康で安全で環境に恵まれてた地域であり続けてほしいですし、それを育む街であってほしいと願います。

 

※『はにーずキッチンラボ』はミツバチプロジェクトの拠点となる以外にも、地域活性化の一環としてレンタルキッチンとしての貸出も行う予定です。

 

Facebook:笠寺ミツバチ&Bee Gardenプロジェクト

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