2016/06/27 12:28

「丘の上の家で『くわばら、くわばら』という理由」

番外編「不思議な呪文とその使い方」

 

外で雷が頑張っています。いえ、頑張りすぎているようです。
 僕たちの「くわばらくわばら」はみなさんに届いていますか?まさか、くわばらを書いて、さっそくこのような天気になるとは、雷様が「お前たちちゃんと見てるからな」とでも言われているような心持ちです。


 ぽとりと落とした光が、水の底に溶け、そこに波紋が広がりました。
 みなさんは、その波紋の広がりをやさしく見守ってくださいました。
 しかしながら、波紋はやがて収縮をはじめます。
 はじまりには、おわりがあるのです。

 長く続いてきたチャレンジも、もう終わりが見えようとしています。
 もしかすると、外の雨は、彼女への激励ではなく、すべてを水に流し、これからはじまる新たな出会いの鐘の音なのかもしれません。

 6年も前の話です。
 子どもを授かりました。
 名前を「万舟(ましゅう)」と言います。少々元気すぎる男の子です。
 僕らに子ども?不思議な気持ちでした。
 僕らの家系は、舟にまつわる関係者に育てられた家でした。だから、僕らの両親、祖父母に感謝を込めて舟の字を使いました。それと、万(たくさん)の世界を、万(たくさん)の経験を、時には荒波を乗り越え、時にはのんびりと舟のように進んでいってもらいたい、そういう気持ちを込めて名付けました。おかげさまで今のところのんびり海を泳いでいます。

 可愛い我が子とはいえ、はじめての育児で疲れることもありました。
 けれど、僕はなかなか素直に手を差し伸べることができません。
 いらだつ彼女、それを見て困り果てる僕。

 そんなとき、1歳を過ぎた頃の万舟が、突然不思議な言葉を口にしました。


 「プティカ、プティカ、プティカ、プティカ、プティカ」

 早口、かつ連続。
 でも、その不思議な言葉を訊いて、久しぶりに目を合わせて僕らは笑い転げました。
 おなかを抱えて、「今の何!?」って。

 それから一年ほど、時々、僕たちのそばにやってきては、彼は言いました、その不思議な言葉を。

 「不思議な呪文」は、僕たちを優しい気持ちにするのでした。

 それから4年が経ちました。
 彼女と僕は、娘を授かりました。
 言葉のはじまりの「あ」と最後の「ん」で、「杏」と名付けました。
 みんなに可愛がってもらえるように、と願いを込めて。

 それから、また1年が過ぎようとしていました。
 ある日、杏に物を与えました。おそらく、使い終わった紙袋とかスーパーマーケットのビニール袋とかだったと思います。

 
 杏は言いました。

 「あーちゅ」

 たぶん、ありがとう。そういう意味なんだろうと思いました。
それから、今日まで、杏はなにかをもらうと、頭をこくりと下げ、「あーちゅ」と言うようになりました。
 あんなに小さいのに、ありがとうなんて言われると、おなかの中の小さな妖精が嬉しそうに飛び回っているみたいな気持ちになります。

 「プティカ」と「あーちゅ」、この二つの不思議な呪文に、僕らはどれだけ、気持ちを穏やかにしたことでしょう。ワルツのメロディが僕らの生活に流れているようでした。

 彼女は、このプロジェクトを終えると、実際にみなさんに返事を出します。
 そして新しいイヴェントを展開していくことになります。

 * 

 十八銀行長与支店の森さんの声からはじまり、FAAVOの戸高さん、長崎新聞さん、秘密進行中の某企画提案者さん、と繋がり、みなさんのサポートに支えられながら、この企画は終わりを迎えます。

 十八銀行の森さんの「やってみませんか」の一声からこの企画ははじまりました。クラウドファンディングはスタートアップする人、夢を追いかけようとする人のはじめの一歩としてこれからもっと社会に深く関わっていくのだろうと思います。けれど、夢の続きを追いかけたい人にとっては、森さんのような真摯に耳を傾けてくれる頼りがいのある行員さんが必要です。顧客の潜在能力を引き出すことに長けた森さんのような行員さんが。これからはしっかりとした形をつくることができるようにアドバイスを頂きながら、ビジネスをはじめる新しい形を形成することができればこんなに嬉しいことはありません。感謝しています。

 FAAVOの戸高さんは、彼女の背中にジェットエンジンを備え付けてくれました。企画がこれだけの加速力と支援の幅を広げることができたのは、戸高さんのおかげだと思っています。これからも日本中で活躍されますことを願っています。

 長崎新聞さんは、この企画の裾野をさらにさらに広げくださいました。
 見知らぬ、高齢の奥方から、お褒めの言葉までいただきました。
 隣近所の方は、切り抜きまでしてくれたそうです。
 長崎新聞が、日本中を見回してもめずらしい地形の長崎に住む人々の、大きな耳であり、声の集合体であること再確認しました。たくさん取り扱っていただいて感謝しています。

 そして、みなさんの支えなしでは今日までやり続けることは不可能でした。
 改めて、お一人お一人のことを思い出しながら感謝したいと思います。

 これからは、あの不思議な呪文が彼女とみなさんをつなげます。

 「EAT LAB. Archu and Putica(イートラボ アーチュ アンド プティカ)」

 彼女はこの名前で夢の続きをはじめることになります。

 たくさんの食にまつわる企画を提案したい。

 たくさんの人たちとかけがえのない時間を過ごしたい。

 たくさんの本物の味を感じてもらいたい。

 「Archu and Putica(アーチュ&プティカ)」

 音のない、色のない、静かな、あなただけの幸福感を得ることができる場に育てていきたいと思います。
 さまざまな種類のイヴェントを用意する予定です。もしあなたにぴったりのものがあったなら、いつでもいらしてください。

 これから、ずっと、なにとぞ、よろしくお願いします。

 これからの活動や新しい情報は、下のリンクから更新します。
 ホームページにもいつでも遊びに来てください。
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 それでは、長い間本当にありがとうございました。

 

「くわばらくわばら」

EAT LAB. Archu and Putica

URL http://www.archuandputica.com