2016/08/19 15:11

みなさんこんにちは。
高千穂アカデミーの理事で、高千穂郷食べる通信では編集長を務めさせていただいております板倉哲男と申します。

高千穂郷椎葉山地域を盛り上げるぞといって結成された高千穂アカデミーですが、実は私はこの地域で生まれたわけでも、育ったわけでも、親戚がいるわけでもありません。
私自身は大阪で生まれ育った完全なよそもの、です。

そんな私が高千穂町に来たのは昨年のこと。
高千穂町が募集していた地域おこし協力隊に応募したのがきっかけです。
活動内容は、高千穂の農業をPRし、ブランド化をすすめるというものでした。

 


そうして高千穂にやってきた私に、地元の人は「こんな山ばっかりで、何もないところによく来たね。」と声をかけてくださいました。
ですが私は、高千穂について、全く異なる考えを持っていました。「都会にはない魅力にあふれたところだな」と。

たとえば、自然。
私は大阪にいた時、歩いて5分で電車の駅につき、その後2駅行けば、あとは地下鉄となり、会社の最寄駅に着いたら駅に直結のビルのエレベーターで昇って会社へ出勤。会社のビルの窓を開けたら、窓の外には手の届く距離に隣のビルが建っています。終電近くまでそんな会社の室内。
自然はおろか、風景を眺めるということをすることなく暮らしていました。
自然を眺めようと思うと、交通費を払って遠出しないと、見ることができませんでした。

一方、高千穂は、一歩外に出て周りを見渡すと、幾重もの山の稜線が広がり、そのふもとには棚田が広がっています。
そして、その山や棚田が四季折々に色鮮やかに変化する風景には、目を奪われます。


 

それに、農村ならではの人づきあいも、都会にはない価値の1つです。
私が大阪で住んでいたのは、ニュータウンといわれる新興住宅地でした。
伝統行事は当然ありません。
学生時代は、学校や部活動で自分と近い年頃の人間との付き合いはあるものの、学校が終われば終わりです。
だから、私が大阪に帰ったところで、知り合いと会うということはほどんどありません。

一方、高千穂は、集落の共同作業や伝統行事があり、そこで非常に多様な年代の人がまじわり、付き合いが終わるということはありません。
さらに高千穂のすごいところは、集落の集まりごとに、よそ者の私が行ったとしても、違和感なく受け入れてくれることです。
帰り際には「これ持って帰り」と言って、採れたての野菜や漬け物などのおみやげをいただくことも多々あります。




日本は経済成長をとげ、世界第三位の経済大国となりました。
では、日本は世界で3番目に幸せな国なのかというと、疑問です。
国連が発表している「世界幸福度報告書」では、日本はなんと、58位です。
(参考:世界幸福度報告書2016−日本は本当に幸せな国? 国際幸福デー(3月20日)に寄せて 
http://www.huffingtonpost.jp/kanta-hara/the-international-day-of-happiness_b_9493830.html )


経済合理性のもと、東京をはじめとする都会に、ヒト、モノ、カネが集まりました。
ただその過程で、都会が失ったものも多くあります。
それは、私がまさに実体験したような、自然、人とのつながり、コミュニティです。


人間が生きる上で、お金は必要です。
ですが、より豊かに幸せな人生を送ろうと思うと、都会が失ってしまった自然や、人とのつながりが、必要になるように思います。

都会か地方かの二者択一ではなく、お互いのおいしいとこどりをすることが、今の社会を豊かに幸せに生きるコツだと思います。
都会だけではなく、地方だけでもなく、双方が交わるコミュニティこそ、豊かで幸福度の高い人生を送る秘訣だと思います。

高千穂郷食べる通信は、都会はもちろん、大規模農業地帯が失ってしまった自然の景観や、人とのつながり、そして伝統、コミュニティが色濃く残っている高千穂郷椎葉山地域を舞台にしています。
世界農業遺産に認定された地域でもあります。

そして、食べる通信は、まさに、高千穂郷を出入りするためのパスポートです。
高千穂郷食べる通信を通して、高千穂郷の自然や、その自然を巧みに活用する生産者の世界を覗いてみませんか?
そして、食べる通信を片手に、ぜひ、生産者に会いに行きましょう。