2016/02/18 19:06

東日本大震災からもうすぐ5年、「もう5年」と捉えるか「まだ5年」と捉えるかは人それぞれかと思いますが、日を追うごとに私たちの日常生活の話題に上ることは減っていっているように思います。あの時に感じた不安や恐怖、あるいは世の中が変わるのではないかという予感も、記憶とともにどんどん薄れていってしまっています。

「みらいへの手紙」―福島の現状を描いたアニメ

 

今回、東日本大震災後の福島の現状を伝える実話を基にした短編ドキュメンタリーアニメ「みらいへの手紙~この道の途中から~」が公開されました。この5年間に福島県内で起こった様々なエピソードをオムニバス形式で10本のストーリーとしてまとめたもので、そこにはもちろんモデルとなった実在する人たちが存在しています。

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川内村が舞台となっている作品は以下の2本、それぞれがじんわりと温かい気持ちにさせてくれるエピソードとなっています。是非ご覧ください!

福ちゃんがやってきた

ちかちゃんの卒業

美談でも悲劇でもなく、等身大の暮らしがそこにあってそれが急激に変化したという現実。そこに対して気持ちの面で追いついていない人々がほとんどなのだと思います。本人が語ると重苦しくなってしまう話でも、アニメ化することによってコミカルかつ俯瞰して描くことが可能となっています。

ナレーションを担当するのは、福島県出身でドラマなどでも注目されるディーン・フジオカさん。自らの記憶の中にある福島での暮らしを思い出しながら、それぞれのストーリーのイントロダクションを読み上げています。

人間はそんなにヤワじゃない。

私たちはどうしても、復興や地方創生といった言葉の裏には、同情や貢献といったある種の上から目線を抱いてしまいがちです。でも一度でも福島の人々の暮らしに触れてみると、そんな偉そうな言葉が肩透かしを食らうような日常を送られていることに気づきます。人間はそんなに軟弱じゃないし、ある種の鈍感さによって私たちの気持ちが豊かに守られているという生きていく強さを実感できる機会を、今後もつくっていきたいと思います。