2019/04/23 21:02

 このプロジェクトの最後のリターン「報告書」を支援してくださった皆さまにお送りいたしました。
配送料金を少しでも節約するために、お届けできるところにはなるべく直接お持ちしています。なので、まだ何通かお届けできていない方がいらっしゃいます。申し訳ございません、今週中にはお届けさせていただきます。

 このプロジェクトをしようと話を始めたのは去年の今頃でした。それから1年、こうして皆さまのお力のおかげで本当に実現することができました。たった77世帯ですが、食品をお届けし、私たちの願い「あたたかい冬休み」を過ごしていただくことができました。

 報告書は事務局のフードバンク八王子にまだ多少ございますので、欲しいという方はお問合せください。
また、こちらにその内容をご紹介させていただきます。

「はちおうじっ子の冬休み応援プロジェクト報告書」
①スケジュール
2018.4      フードバンク団体で打合せ
2018.9      八王子食堂ネットワークでの取り組みに決定
2018.9      関係機関への協力依頼
2018.10.1~31 クラウドファンディング実施期間
2018.11.1~30 送付先家庭の募集期間
2018.12.1   リターン「フードバンク八王子主催セミナー」開催
2018.12.15~16  発送作業
2019.3.17   リターン「八王子食堂ネットワーク活動報告会」開催

②はじめに 
 八王子じゅうのどんな状況の子どもたちにもクリスマスやお正月を楽しめるあたたかい冬休みを過ごしてほしいという想いから始まった
「はちおうじっ子の冬休み応援プロジェクト」
おかげさまでとても多くの皆さまからのご支援をいただき、この冬休み、八王子市内の食に不安を抱えるお子さんのいるご家庭77世帯に食品をお届けすることができました。
お礼とこれからの課題も含めて、報告をさせていただきます。

③支援の状況
お金の支援
総額 627,847円

 内訳
 FAAVOクラウドファンディング 87名 526,400円(手数料を除いた額)
 募金箱              2箱   7,680円(個人的に設置)
 募金活動             4回    43,466円(イベント時など)
 個人寄付             3件    50,301円
食品の支援
 お米         115kg
 インスタントラーメン   60袋
 パスタ         3.5kg
 レトルト食品       15袋
 お餅             8kg
 カップ麺       154個
 缶入りパン        77缶
 スティックコーヒー  231本
 お菓子・その他食品  たくさん! 
人の支援
 クラウドファンディング   87名
 Facebookいいね!、シェア   835
 Twitterいいね、リツイート    88
 発送作業延べ           22名
※八王子経済新聞に取材していただきました。そのいいね!の数も入っています。

④子どもの貧困って?
13.9%―7人に一人の子どもが貧困の状態
 クリスマスやお正月があって、子どもたちにとって楽しいはずの冬休みなのに、中には食の不安を抱えている子どもたちがいます。いわゆる「相対的貧困」の状況にある家庭の子どもたちです。
 相対的貧困とはOECD(経済協力開発機構)では、等価可処分所得(世帯の可処分所得を世帯人数の平方根で割って算出)が全人口の中央値の半分未満の世帯員を相対的貧困者としている(コトバンクより)
つまり、世帯全体の収入が、日本の全世帯の所得の平均値の半分に満たない世帯です。
その金額が122万円とされています。
相対的貧困率は15.6%、子どもの貧困率は12年ぶりにやや改善されたものの13.9%です。7人に一人の子どもが相対的貧困の状態にあると言われています。(厚生労働省「平成28年国民生活基礎調査」より)
 特に一人親世帯は厳しく約半数の50.8%が貧困の状態にあり、そのうち母子世帯では82.7%が「生活が苦しい」と言っています。母子世帯の場合、小さな子どもがいること、いったん家庭に入ってからの再就職などを理由として、なかなか良い職に就くことができず、収入が低い現状があります。

※参考
厚生労働省「平成28年国民生活基礎調査」
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-tyosa/k-tyosa16/
八王子市「平成29年度子どもの生活実態調査」
https://www.city.hachioji.tokyo.jp/tantoumadoguchi/002/002/p021945.html
貧困が見えない!
 7人に一人というと…毎日道ですれ違う子どもたち何人いますか?10人いるとしたらその中に1人は確実にいるということです。でも「実感がない」というのが多くの人の感想です。そこが大きな問題なのです。核家族が増え、地域とのつながりが希薄になっていると言われて久しい社会の中で、貧困が見えにくくなっているのです。貧困の大きな問題「孤立」です。
 そして貧困のもう一つの大きな問題は、単に食や物質に恵まれないだけでなく、いろいろな機会を子どもたちから奪っていくということです。
・経済的に厳しくて塾に通えない、進学なんて考えられない
・修学旅行に行けない
・友達とでかけるのを躊躇してしまう
・クラブやスポーツがしたいけど、いろいろ経費がかかるから無理
本来、子どもの時に経験すべき様々なことを諦めてしまうことで、意欲が失われ、将来への夢や希望が奪われていきます。それは、学力、学歴の低下、ひいては、成人になってからの生活意欲の低下につながり、いわゆる「貧困の連鎖」が生まれていきます。 
八王子はどうなの!?
 では八王子はどうなのでしょうか?
 八王子市は平成28年度に「子どもの生活実態調査」を行いました。その結果によりますと生活困難層は小学校5年生で23%、中学校2年生で27.9%となっています。日本の13.9%(厚生労働省「平成28年国民生活基礎調査」)、東京都の18.9%(日本財団「子どもの貧困の社会的損失推計」平成28年3月)と比べると高い数字ですが、調査方法がそれぞれ違うので、単純に比較できるものではありません。
 この報告書の中で、「子ども食堂」、「フードバンクによる食料支援」は、まだ利用割合は低いものの、困窮層とひとり親世帯では利用したいという意向が高く、子どもの貧困対策のメニューとして注目されている、行政として継続して活動しやすいように、活動団体のネットワーク化を図る、運営費の一部について補助を行う等の記載がありました。
長期休暇の問題
 こうした状況の子どもたちにとって、長期休暇中は給食がないために栄養が十分にとれていないという危惧があります。
 長期休暇の子どもの食の支援にいち早く取り組んだ「フードバンク山梨」では、始めたきっかけは、ある学校の先生から、夏休みに学校にきて『先生なにか食べるものある?』という子どもがいるということを聞いたことだそうです。
 夏休みや冬休みは本来子どもたちにとって楽しいはず。しかし、現実には給食のない長期休暇は、1日の食費がかさんでしまう、親御さんが忙しく一緒に食事をすることが難しいなどの理由で、十分な食事や栄養が摂れず、休み明けに痩せて登校してくる子どもがいるのです。ここに、一つの大きな課題があります。

⑤クラウドファンディングの実施
 2018年10月1日から31日の1か月間、プロジェクトを実施するための資金をまずクラウドファンディングで集めました。
 クラウドファンディングを使うことで、話題性を呼び、普段子ども食堂やフードバンクを知らない人も、「子ども」というキーワードで巻き込みたかったからです。
 クラウドファンディングも今は多種多様にあります。それぞれ特徴や得意分野があります。今回FAAVOを選んだのは「地域・地方に特化したクラウドファンディングのプラットフォーム」だからです。八王子という地域にこだわって、八王子市民を巻き込みたいこのプロジェクトには最適でした。
 結果、87名の方がクラウドファンディングを利用して支援をしてくださいました。支援金額は目標の40万円を大きく上回り648,000円の支援金をいただくことができました。 
支援金額 総額648,000円(達成率164%)
支援コース                                                        支援方法支援金額推移(FAAVOより)

性別(FAAVOより)                                       年齢層(FAAVOより)

お住いの地域

応援メッセージ
・応援しています。頑張ってください! 
・「はちおうじっ子の冬休み応援プロジェクト」心から応援しています!
・どの子も楽しい冬休みを迎えられますように
・全ての子どもたちが愛されますように!!
・八王子の子どもたちみんなに明るい笑顔を届けてください!
・子どもたちの健やかな成長のため、がんばってください。
・子どもの未来を応援するプロジェクトを応援しています。
・暖かい冬休みにしたいですね。
・地域で子どもたちを応援していきましょう
・子どもたちとその周りにいるすべての方のために!
・ささやかですが、お役に立てれば幸いです。
・微力ながらこれからも応援していきますので、頑張ってください。
・今後とも積極的に巻き込んでください!
・新しい事を始めるのは大変なご苦労があると思いますが未来のために!
・誰かの善意が花咲く社会でありますように。
このほか、たくさんのあたたかいメッセージをいただきました。

⑥応募状況
 2018年11月1日から30日に、食料の支援を希望する世帯の募集を行いました。
今回は八王子市子ども家庭部にご協力いただき、学童クラブでの配布、「八王子市ひとり親家庭支援情報メールマガジン〜はちエール」への掲載、児童館などの施設での掲示等を行いました。
 その結果、196世帯のお申込みがありました。私たちは当初50と決めていましたが、予想を超えるクラウドファンディングのご支援のおかげで、77世帯のご家庭に発送させていただくことができました。
本当は応募してくださった皆さまにお送りしたい気持ちですが、まだまだ私たちの力不足で、到底その数に及ぶことができません。
 今回は、募集チラシにも書きましたように、「就学援助」「児童扶養手当」を受給されているご家庭を優先させていただきました。 
推移

 メールマガジンに載せていただいたことで、出足がすごく良く、1日と2日だけで全体の4分の1の方が応募されています。5日以降増えたのは、学童での配布が行きわたったためと思われます。この2つの広報手段が一番効果的でした。
地域                                                          世帯の形態
子どもの人数                                             支援の状況
あなたの家庭では過去1年間の間に、お金が足りなくて、家族が必要とする食料を買えないことがありましたか?
  全体                   支援を受けている家庭            何も受けていない家庭

もしも今回のような食の支援が今後もあれば希望されますか?

 文京区の子ども宅食では、支援を受けている家庭限定で募集がかけられますが、このプロジェクトでは支援を受けていないご家庭にも情報が届き、応募がありました。今回は何らかの支援をうけているご家庭を優先にさせていただきましたので、お送りすることはできませんでしたが、受けていない世帯でも経済的な理由で食に不安を感じたことがあるという世帯が半分以上あることがわかりました。

⑥配送作業
食品の準備
 フードドライブで市民の皆さまから提供していただいた食品、企業などから寄贈いただいた食品に、足りないものを買い足しました。

お菓子セット
 お菓子の寄付がたくさんありましたので、袋詰めにしたセットを作りました。アンケートでは子ども1人につき1袋ほしかったというご意見もありました。配送先を指定できなかったことと、人数によっては箱に入りきらない場合もあり、今後の課題として受け止めました。
箱詰め作業
同封したもの
 保護者の皆さまへのお便りとアンケートはがきのほか、クリスマスカード、「ママのホットタイム用」のコーヒーも同封しました。

⑦アンケートはがき

 お送りした77のうち、48枚ものアンケートはがきが返ってきました!良かった食品としてお米(77%)・お餅(47%)・インスタントラーメン(11%)などが喜ばれました。中に賞味期限の過ぎたものが入っていたという指摘もありました。初めての作業に不慣れとはいえ、してはいけないミスでした。この場をお借りしてお詫び申し上げます。

⑧支援してくださった皆様
  本当にたくさんのあたたかいエールをありがとうございました!
このクラウドファンディングに支援してくださった方、募金や食品の寄付をしてくださった方、口コミ、SNSで広報に協力してくださった方…本当にたくさんの方に支えられて、今回のプロジェクトが実施できました。応募してくださった方だけでなく、私たちもたくさんの方に支えられていることを感じられた幸せなプロジェクトでした。
 応援してくださったすべての皆さまに心から感謝申し上げます。

⑨終わりに 
 半年間走り続けたプロジェクトもこの報告書をもっておしまいとなります。
 でもこれは始まりです。
 私たちはまだ始めたばかりなんです。

 私たちにできたことは1つのご家庭にとってほんの些細なことです。でもその些細なことの為に、これだけ想いのつまった支援が集まりました。皆さまの「子どもたちのために何かできることをしたい」というあたたかい想いは、きちんと、お送りした保護者の方や子どもたちに伝わりました。それはアンケートはがきにいっぱい書いてありました。
 とても嬉しく暖かい気持ちになりました。    感動しました。
 気持ちが暖かくなりました。                      なんかがんばってみようと思えました。
 涙がとまりませんでした。                         子どもたちがとても喜んでいました。
 幸せな気持ちだね。                                    大切にいただきます。
 とても助かりました。                                サンタさんが本当にいるんだね。
 サンタさんからのプレゼントだね。             笑顔になりました。
 あったかいおくりもの、本当にありがとうございました。

 今の課題は「継続」です。
アンケートはがきには「ぜひこれからも継続してください」とたくさん書いてありました。申込み時のアンケートでもほぼ100%の方が食料支援を望んでいました。
でも私たちには何の力もありません。
今回もできたことは皆さまの想いをつながせていただいたことだけです。
だからこそ、これからも皆さまのお知恵とお力を拝借し、子どもたちの笑顔のために、継続していきたいと考えております。
ぜひこれからも私たちの活動を応援してください。

 八王子は素敵な大人たちが子どもたちを見守るあったかいまちだということをこのプロジェクトを通して証明したいと思い始めたプロジェクト、本当に証明されました!
「今はちょっと大変だけど、世の中って、人って捨てたもんじゃないね」と子どもたちが思ってくれたら、育ってくれたらうれしいですね。

 

八王子食堂ネットワーク 一同