2020/07/31 13:00

この報告は7月28日に掲載した国立環境研報告の(その2)です。

富士山は標高が高く独立峰であることから、富士山頂の大気は、周辺の低標高にある都市から排出された二酸化炭素(CO2)等の影響をほとんど受けていません。さらに旧富士山測候所は、富士山頂の中で最も標高が高く山頂の西側に位置する剣ヶ峰の上に建設されているため、西方向から山頂の地面の影響をほとんど受けていない新鮮な空気が10-15m/secの速度で途切れることなく建物に衝突します。

 国立環境研究所は、地球の炭素循環を解明するために1990年代から大気中CO2濃度を長期観測する事業を展開しています。この事業を展開するために観測点に求められることは、観測点の周辺に二酸化炭素の排出源と吸収源がほとんどないということです。しかし現代では、このような条件が整った観測点は、ほとんど見当たりません。

 旧富士山測候所周辺の大気は、まさに我々が大気観測に求める環境条件がそろっている場所であり、その貴重は場所で我々はアジア域の大気中CO2濃度を代表するCO2濃度データを富士山頂で取得しています。