2020/08/01 13:00

この報告は7月28日に掲載した国立環境研の報告の(その3)です。

大気中の二酸化炭素(CO2)濃度の傾向を明らかにするためには、連続的に長期間、精度良く測定する必要があります。富士山頂は大気中CO2濃度を安定的に観測するのに適した地点ですが、観測の維持がとても困難な地点でもあります。なぜなら富士山頂は、観測機器を駆動させる商用電源が通年で供給されないためです。

 現在、NPO法人富士山測候所を活用する会の尽力により、富士山頂の気候が安定している夏期の2カ月間のみ、富士山頂にある旧富士山測候所に商用電源が供給されます。国立環境研究所は、測候所に商用電源が供給されるわずかな期間に100個のバッテリーを充電し、それらのバッテリーの電力のみで富士山頂の大気中CO2濃度を自動で通年観測できる省電力型のCO2濃度観測装置を作りました。この装置の作成によりCO2濃度観測の空白域であった日本の中緯度のCO2濃度データを取得することに成功しました。