2020/11/02 12:00

クラウドファンディング開始とともに、スマホの閲覧時間が大幅に伸びた監督の北口です。皆様早速のご支援ありがとうございます。

初めてのクラウドファンディングで不安も尽きませんが、ご支援をいただけることの喜びを噛み締めながら、映画のクオリティアップに努めてまいります。


さて、せっかくの機会ですので、クラウドファンディング期間中に、この映画の奇妙な生い立ちや製作秘話なんかを少しづつお話しさせていただければと思います。

まずはじめにお話させて頂きたいのが今回の作品の要となっている地獄絵図が描かれた打掛です。

この打掛はなんと上田安子服飾専門学校の学生達の手によって製作された、この世に1つしかない1点ものなんです。

そしてこの映画の生い立ちの何が奇妙かって、脚本よりも先に衣装が出来上がっていたことです。

「2019年の夏休みまでには衣装を完成させなければならない、なぜなら前期の課題として評価に関わるから・・・だから脚本よりも何よりも先に衣装のイメージをくれ」と、プロデューサーに言われたのが5月。

脚本もプロットもないのに衣装のイメージをくれとはなんと無茶な・・・なんて横暴な連中なんだ、と途方にくれている暇もなかったのですが、頭を冷やすために僕は一旦途方にくれました。


当時、唯一この影も形もない作品の手がかりとなっていたものが、堺に実在したと言われる伝説の遊女「地獄太夫」でした。「現世の不幸は前世の戒行が拙いゆえであるとして、自ら地獄と名乗り、衣服には地獄変相の図を繍り、心には仏名を唱えつつ、口には風流の唄をうたった」と言われる梅津乙星a.k.a地獄太夫。

 僕はとにかくその場をやり過ごすために、シナリオのアイデアが思いついた風を装って「ほなまあとりあえず地獄絵図が描かれた打掛を作りまひょ、ええアイデアが思いつきましたんや」とハッタリをかましたのが地獄の始まりでした。何故ならシナリオのアイデアなどこれっぽっちも思いついていなかったからです。

それなのに、衣装だけ先に作り始めてしまったものだから、その衣装ありきで脚本を考えなければならなくなってしまったわけです。それもただの、スーツとかパーカーとかワンピースとかだったらどうとでもなったかとは思うのですが、オーダーした衣装は地獄絵図が描かれた打掛。特報動画にもチラッと映っているアレです。リターンにもさせていただいているアレです。

その打掛をどうすれば映画に活かせるのか・・・長い長い試行錯誤の始まりでした。書いては書き直し、書いては書き直し、躓くのはいつも打掛の使い方でした。そしてその長〜い試行錯誤の果てに生まれたのが「彼岸のふたり」という物語です。その「長〜い」の部分は端折りましたが、また別の機会にお話できればと思います。

引き続き応援よろしくお願いいたします。

北口ユースケ