2021/02/07 17:05


徳島の耕地整理の父・鳥居信平って? 著述集出版へ

中谷和司
2021年2月4日
 日本統治下だった戦前の台湾でダム建設に尽力し、徳島県で農業技師も務めた鳥居信平(のぶへい、1883~1946)の業績を伝えようと、神奈川県藤沢市の市民団体「二宮尊徳の会」が、鳥居の著述集の出版を進めている。2月末までクラウドファンディング(CF)で資金協力を募っている。
 会によると、鳥居は静岡県袋井市出身。東京帝大を卒業後、農商務省に入った。1911(明治44)年から14(大正3)年には、徳島県農業技師として板野郡などで土地改良や耕地整理事業に取り組んだ。その後、台湾に渡って水利事業に携わり、現地の農業振興に貢献。鳥居が台湾南部に建造した地下ダムは今も活用されているという。
 鳥居の徳島時代の足跡はこれまで不明だったといい、出版にあたっては県立図書館などで古い資料や新聞を調査。当時、鳥居が書いた論文を見つけたほか、「板野郡中島耕地整理組合事業誌」にあった貴重な写真も収録する予定だ。
 会代表の地福進一さんは「鳥居は“徳島県の耕地整理の父”ともいえる存在で、台湾での業績の原点は徳島時代にあることもわかった。徳島の人たちに鳥居をもっと知ってほしい」と話す