みなさん、こんにちは。茨城県潮来市にあるお寺、潮音寺の住職・村上定運です。
今回、クラウドファンディングを活用して実施する「花あかり」というイベントでは、その名の通り「花」と「ろうそくの灯り」が重要な役割を持っています。
ろうそくの灯りは、潮音寺が従来から開催している「万燈会(まんとうえ)」という行事を指しています。今回の法要でもメインとなる要素の1つで、プロジェクトページに2020年夏の万燈会の動画や写真がありますので、ぜひチェックしてみてくださいね。
一方、お花はフラワーライフ振興協議会の協力で様々な種類、形のものが用意され、境内を彩る予定です。
◆お坊さんが花を植えるワケ
「お寺」に「お花」。一見あまり関係がないように見えるかもしれませんが、潮音寺とお花には非常に深い関わりがあるのです。
それは、前回お話しした震災からの復興にもつながっています。
特定の檀家さんを持たず、全国のみなさんからの寄付や支援によって地道に復興を進めてきた潮音寺。地元の方々の多大なご協力もあり、現在もなんとかお寺としての体裁を保てています。
本来なら、支援してくださった方に1人ひとり直接お礼を申し上げたいところなのですが、お寺にはその手段がありません。
そこで当時の住職が始めたのが、境内に花を植える活動だったのです。「お寺を訪れた人の心に安らぎと潤いを与えたい」との想いから開始し、支えてくださった方々への恩返しの1つとして現在も続けています。
潮来市の花であるアヤメをはじめ、水仙や牡丹、紫陽花など、いまでは季節ごとに色とりどりの花が咲き、参拝者を迎えています。
私が住職に就任して以降も、前住職からその想いを引き継いで植樹やお花の世話を行っています。近隣の方々にもご協力いただきながら、潮音寺は「花の寺」と呼ばれるまでになりました。
◆復興した姿を全国へ!
こうして少しずつ復興に向けた活動と恩返しを続けていくなかで、2020年に潮音寺は創建から45周年を迎えました。節目となる年に様々な行事を実施して、「みなさんに復興したお寺の姿を見せたい」と考えていたところですが、コロナ禍によりそのほとんどが実現不可能となってしまったのです。
こうした経緯もあり、私たちは3月11日に「花あかり」という特別なイベントを企画するにいたりました。
潮音寺が被災から立ち直っていく際に、支援してくださった方々との間をつないでくれたお花という存在。そのお花業界は現在、新型コロナウイルスの影響で「フラワーロス」という深刻な問題に直面しています。
せっかく育てたお花を廃棄せざるを得ない、という状況を少しでも救うために。また、これまで潮音寺を支えてくださったみなさんへの感謝を伝えるために。このイベントを多くの人に知ってもらい、成功させたいと強く願っています。
さて次回は、「フラワーロスとは何か?」「花を失うという痛み」について、お寺から見た現実をお伝えしていきます。