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こんにちは!OTAブックアート・スタッフのKです。

2018年11月4日、「ヨンネ手製本講座 at OTA ブックアート」
和本編・洋本編の第5回を実施しました。

講師として植村愛音さんをお迎えしてのワークショップ。
午前は和本、午後は洋本のクラスを開講しており、全6回のカリキュラムを通して
代表的な製本の方法を習得することができます!


【和本編】

本日も、午前の和本のクラスからスタートです!
 
アトリエに入ると机の上には、古い和本が一冊。
OTAブックアートがついにタイムスリップしたのか…
と目を疑いましたが、実はこちらは今回のテーマ
列帖装(れっちょうそう/れつじょうそう)」です。

なんと、江戸時代に作られた列帖装の本を
ヨンネ先生が古本屋で発見されたということで、
みんなでそのリアルな現物を手に取り味わってみることから、
この日のワークショップは始まりました!



この本は、親鸞の著作である「三帖和讃」のうちの一つ、「正像末和讃」です。
木版で刷られたであろう文字の線や、紙の質感、糸で綴じられた背の様子など、
細かい部分までみんなで一緒に観察しました。

「こんなに細い文字の線を出せるのは、よっぽど固い木版だったのか?」
と話していると、参加メンバーの一人から

「おそらく、梓の木が使われたのではないでしょうか。
書物を出版するという意味を持つ上梓という言葉の語源です!」
というアンサーが返ってくるなど、グループワークならではのやり取りも。

これまでのクラスの中で、和本は修理がしやすいというお話が
何度も挙げられていましたが、その事実を物語るかのように
本としての機能をしっかりと保った状態を確認することが出来ました。
江戸時代から時空を越えて、このアトリエへとたどり着けたのも「本」の力ですね。



ひとしきり江戸時代のリアリティを堪能したところで、列帖装の制作です。
表紙に使うのは、前回の授業で「裏打ち」しておいたオリジナル用紙。

参加者がそれぞれ、お気に入りの紙や
自宅にあった包装紙などを持って来て、製本で使えるように
裏に紙を貼って仕上げたものです。



列帖装は、いくつかの折丁を重ねて表紙と裏表紙をつけ、糸で背を閉じる製本方法。
ヨンネ先生が作ったサンプルも参考にしながら、作業を進めていきます!

この構造はとても開きやすく、洋本にも似たような形をしています。
冒頭でご紹介した古本からもわかるように、
壊れた場合も糸をほどいたりして、手軽に修理できるのも嬉しいポイントです。



背をかがる糸は、たくさんの中から好きなものを選びます。
この綴じ方は2種類の糸を使うことが出来る構造なので、
表紙のデザインと照らし合わせながら、
カラフルなコーディネートを考えました。

2色の糸と表紙、全く異なるカラーを組み合わせてみるのも楽しいですね!



選んだ2色の糸は、本の背に見えるだけではなく本文を開いた内側の「ノド」の部分にもしっかりと見えるつくりになっています。

全体を占める面積としては、糸はほんの一部と思われるかもしれませんが、
色の組み合わせによってかなり印象が変化するため、
差し色としてスパイスを効かせたい時には、糸の配色で遊んでみるのも効果的です!



完成した列帖装は、各自で用意した紙を表紙に使用したということもあり、
今まで以上に個性的なものとなりました!


【洋本編】

午後の洋本クラスは、「本かがり丸背上製本」の前編。
第5回と第6回に渡って制作するので、作品としてはこれが最後の1冊になります!

「丸背」とは、その名の通り本の背の部分が丸くラウンドしているもので、
背が平らな「角背」よりも難易度は高いと言えます。

最初の工程の折丁づくりは度々登場する作業なので、どの参加者もコツをつかみ、
第1回に比べて格段にスピードも上がっていました。



背の部分に糸を通して綴じる、「糸かがり」の作業も
これまでに習ったことを思い出しながら、
先生の手を借りなくても作業を進められる部分が増えていたのが印象的でした。
糸が途中で足りなくなってしまった時の、糸の継ぎ足し方なども習得!



本の背を固める「背がため」が終わったら、
背の部分を丸くする「丸み出し」の作業に入ります!

トンカチを使うのは今回が初めて。
日常生活におけるトンカチのイメージは、釘を打つ時のように
先端で叩く使い方がまず思い浮かびますが、製本での使い道は様々。
後ろの面や側面にも、異なった役割での使い方があります。

1本のトンカチの中にも、尖っている部分、平らな部分、面積の広い部分などがあり、
それらの形は、用途から導かれた必然的な形状なのです。
道具を通して得られる製本の知識にも、みなさん興味津々でした。



続いては「耳出し」の作業です。
丸くラウンドした背の形を、イチョウの葉のように広げるため、
本を手締めプレス機でしっかり固定して、トンカチで形を整えます。


耳出しの工程は、初めての挑戦になかなか苦戦の様子…。

参加者同士でお互いの作業を見守りながら
「丸くなった?」
「耳出た!?」
「丸い丸い!!!」
など声をかけ合い、作業の難しさに反比例するかのように、
教室はあたたかいムードに包まれていました。

耳出しの作業が終わったら
寒冷紗を背に貼り付けて、本日の作業は終了です!
次回は、丸背上製本を最後まで仕上げます。

9月からスタートした「ヨンネ手製本講座」も
いよいよ残すところあと1回となりました。
最終回のレポートも、どうぞお楽しみに!!


ご参加いただいた皆様、講師を務めていただいた植村愛音さん、
そして、用紙のご協力をいただいた株式会社竹尾の皆様、ありがとうございました。



▼参加者の声▼
・江戸時代の列帖装を手に取れたのが嬉しかったです!普段、美術館や博物館で見る古い書物はケース越しに眺めることしか出来ませんが、実際に触ってみると感動は大きく、物体としての本の存在感をずっしりと感じられました。

・これまで参加してきた5回の中で、自分が習得できたと感じられることが多くなり、成果を実感する場面が増えました。

・ヨンネ先生、太田先生や、他の参加者の方との交流も毎回楽しみになっています。今回は特別に、クラス終了後にみんなで授業とは別にお話させていただき楽しかったです。

・丸背は初挑戦で難しく、もう一度作ってみたいです。ぜひまたワークショップを企画してください。

・作業の中で色々な道具を使わせていただけるので、道具もそろえたくなってきました。オススメの道具や入手方法なども丁寧にアドバイスいただき、初心者の私としては有難いです!

・この講座以外にも、OTAブックアートさんのワークショップが多数開催されると知り、そちらも参加してみたいと思いました。

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