2022/03/20 18:00

こんにちは。
ゲームさんぽ制作チーム(白夜書房の佐藤)です。

皆様の元に本は届いたでしょうか。この3連休でじっくりお楽しみいただけていれば、編集担当としてとてもうれしいです。

3月18日に書店でも一般発売がスタートしていますが、都内近郊の一部の書店ではいいださん、なむさんのミニサイン色紙も掲出されています。書店に立ち寄る機会があった際は、探してみてください。と言いつつも、「本屋さんに行ったけどなかった」というツイートなどを見ると、非常に申し訳ない気持ちになります。

そもそも本ってどうやって書店に並ぶのか? 今回はそんな話から始めたいと思います。
出版社は取次を通して本を書店に送品します。取次は出版社と書店をつなぐ問屋さんで、日販やトーハンが有名ですね。

そのため、印刷・製本された本は印刷所からまず取次に送られます。発売日の2営業日前に搬入されるのがふつうで、この日を取次搬入日と言います。ゲームさんぽ本の発売日は3月18日だったので、取次搬入日は3月16日でした。

そして取次は出版社から仕入れた本を、どこの書店に何冊送るか決めます。これを配本と呼んでいて、指定配本と見計らい配本の2パターンがあります。指定配本とは出版社が(書店から注文を受けるなどして)「○○書店には10冊お願いします」と配本を指定すること。一方、見計らい配本とは、取次の配本パターンにお任せすることです。これまでのデータから導き出される「こういう本はこういう書店に配本するといい」という取次の判断に任せるわけですね。

こうして本は全国の書店に届けられるわけですが、必ずしもすべての書店に本が入荷するわけではないので、「本屋さんに行ったけどなかった」ことも起こるのです……。

また、取次はいろんな出版社の本を運びます。ただ、運べる量には限度があるので、たくさんの本が発売されると予想される時期は、取次から「発売日をズラしてほしい」と言われることもあります。もともと本の発売日は赤日と休配日に設定することはできませんが、特に3月下旬と9月下旬は混み合うので、平日でも発売日を設定できないことがしばしば起こります(「業量カレンダー」で検索してみよう)。

ちょっと話がそれますが、身の回りに本がある方は、奥付(最後のページ)を見てみてください。発行年月日が書かれているはずです。この発行年月日、実は発売日のことではありません。この2つは別々のものであり、日付が一致していないこともよくあります。発売日は文字通り本が発売される日で、発行年月日は発売日よりうしろにすることができるのです(たしか発売日の2週間くらい先までOKだったはず)。発行年月日の記載に厳密な決まりはなく、ある程度は出版社に任されています。ではなぜそんなことをするのかというと、「この本はまだ新しいですよ」とアピールするためです。それにどれほどの実効性があるかはわかりませんが、少しでも長く書店に置いてほしいのです。

話を戻して、本題です。
校了後に編集者は何をしているのか。それは、Amazonランキングのチェックです。というのは冗談ですが(半分は本当)、気にしない編集者は少ないのではないでしょうか。というのも、Amazonは今や出版社にとって欠かすことのできない書店です。本の売上に大きな影響力を持つので、その目安となるランキングをすごく気にします。

一方で読者の皆さんがAmazonで本を買うとき、その本の順位を気にすることはおそらくないと思います。
しかし、これならどうでしょう。

「ベストセラー1位」という赤いタグが輝いています。そう、ゲームさんぽ本はAmazon1位なのです! ただ、これだけ見るとすべての本の中で1位という印象を受けるかもしれませんが、ほかにも「ベストセラー1位」のタグが付いた本はたくさんあります。「あれ?」と思いますよね。その理由は、Amazonには総合、新着、カテゴリ別などさまざまなランキングがあり、そのどれでもいいので1位を取ると、この「ベストセラー1位」というタグが付くからです。

非常にニッチなカテゴリに分類されれば、売上が数冊でも1位を取ることは可能です。それでも「Amazon 1位」の看板にウソ偽りはありません。周りを見渡せば、新聞広告、電車の車内広告、フェイスブック、ツイッター……さまざまなところでこの「Amazon1位」という言葉が躍っています。とても目立つので読者へのアピールになります。やはり「1位」という響きは絶大な力を持っているのです。世の中に無数にある映画の「全米NO.1ヒット」と似ていますね。

ゲームさんぽ本は「ゲームファンブック」「ゲーム攻略本」というカテゴリに分類されていて、そのうち「ゲームファンブック」で1位を取ったのでした。実際にどれだけの広告効果を持つのかはわからないけれど、自分が担当した本が「ベストセラー1位」なのは素直にうれしいです。

Amazonのランキングは数時間ごとにめまぐるしく入れ替わるので、数時間おきにブラウザをリロードし、最新の順位をチェックしてしまう……。だからといってAmazonにずっと張り付いていては仕事にならないし、精神衛生的にもよくない。そんなことよりも、本の情報を発信したり、メディアに献本したりして、少しでも本の存在を知ってもらうほうが生産的ですね。それに、本はAmazonだけで売っているわけではありません。そのほか多くの書店で売れることが大事です。書店にどうやって足を運んでいただくか、本の発売後はこうした部分にも頭を悩ませています。

今回は発売後ということもあり、編集者の仕事紹介というよりも、その周辺のお話でした。次回はゲームさんぽ本がガチめの内容になった経緯をふりかえります。