2021/07/17 21:00

こんにちは!

今日は「熟成素麺」についてお話しします。

手延素麺「揖保乃糸」は例年10月から4月につくられます。一般的に夏に食べるイメージが強い素麺ですが、実は、年中つくられているわけではなく、寒い時期にだけ作られるんです。

そのうち、その年に出荷されるものを「新(しん)」。管理の行届いた専用倉庫でさらに1年間熟成させたものを「古(ひね)」と呼びます。
さらに1年間熟成させると「大古(おおひね)」と呼ばれ、ここが、手延素麺が最も美味しくなる頃合と言われています。

じっくりと熟成させたそうめんはさらにコシが強く舌ざわりも良くなり、当社企画チームで各麺の食べ比べ、試食を行う中で、つゆとの絡みも良くなるということが分かりました。

専用保管倉庫でじっくりと熟成中のそうめんは、高温・多湿の梅雨時期に小麦粉内に含まれる酵素が働き、そうめん内の脂質が変化していきます。
これがそうめんのデンプンや蛋白質に影響を与え、そうめんのコシや舌ざわりがさらに良くなると言われています。この現象のことを「厄(やく)」と呼んでいます。

不思議なことに、この「厄(やく)」が「美味しさ」というプラスに働くのは、手延素麺のみと言われています。素麺と原料が同じうどんでは、麺線が太いため、逆に食感を損ねてしまい、機械で製造された素麺でもまた、製法の違いによる、一本の麺の中の各物質の配列の違いから、十分な作用が得られません。

当社では、古(ひね)、大古(おおひね)をより身近に感じていただく為の試みとして、これらを「熟成素麺」と名づけ、食感/細さ/熟成年数をパッケージデザインとして表現しました。

熟成素麺は生産量が少なく、スーパーなどにはほぼ出回っておらず、一部の中元ギフトでのみ使用されるなど、みなさんの目に触れる機会は多くありません。

この、熟成素麺の魅力を伝える「すがやの熟成ごち素麺」ブランドを軸に、生産者ならではの視点で「手延素麺 揖保乃糸」の魅力を知と味でお伝えし、地場産業の継承、発展に寄与できればと思います。