2021/10/15 17:09

鎌倉教場の「今」をお伝えします。

今回はお天気についてです。


「流鏑馬」というと、皆さんはこのような絵を思い浮かべるのではないでしょうか?

「いい天気に綺麗な馬場を駆け抜ける馬」ですね。

ところが、こんな日もあります。

雨粒が写っていませんが、なかなかの大雨です。

馬場の周囲は一段低くなっているので、まるで水田のようです。


当然、こんな日には稽古が中止に…

…ならないのです。


34℃だの35℃だのといった猛暑続きですから、雨が降るとちょっとほっとします。

しかし、これはこれでまた大変です。

ここでは門人が馬場整備をして、たまった水を抜いたり、砂で水たまりを埋めたりして、稽古に向けて準備しております。

どうしてそこまでして稽古する必要性があるのか?

それは…


流鏑馬の本質は「神事であること」です。

競技とは異なり、人間のためではなく、神様に奉納するために行われるのです。

人間は、その場にいれば、ついでに拝見させてもらう立場になります。

そのため、人間は、その人が例えどんなVIPあろうとも「陪観」となるのです。

もちろん、神事は神社のお祭りですから、賑々しい方が神様もお喜びになるので、大勢の人間が楽しんでいることも大切ですが、例えば、暴風雨の中の流鏑馬で、観覧する人間が一人もいなくても、流鏑馬は粛々と神様に奉納されるのです。

したがって、雨でも、雪でも、風でも、無観客でも流鏑馬神事は中止になることは原則としてありません。

そのためにも、常日頃から「悪天候の中の流鏑馬」を想定しておかなければならず、このような大雨の日は、この「悪天候の中の流鏑馬」の稽古をする絶好の機会となるわけです。

そして、悪天候時にも普段どおりの騎射をしなければならないという使命を背負っている射手にとっては、むしろ、燃えるシチュエーションとなるのです。

なお、もちろんのこと、安全面に著しい問題が生じるような場合、特に暴風の場合があり得るのですが、神事を途中で中止にすることもあります。

危険を顧みていないわけではありませんので、誤解のないようにお願いいたします。

このように、私たちはどんな天候でも稽古をしなければなりません。

しかし、現状だと稽古場の設備が十分に整っているとはいえません。

このような雨の日にいつも稽古で使っているテントを設置した場合、テント横幕の裾部分から大量に浸水してくるので、使い物になりません。

そのため、狭い物置の中で着替えることとなってしまいます。

密を避けるために1人ずつ物置を使うと、最後の者が着替え終わるまで大変な時間がかかります。

このような現状の余りにも使い勝手の悪い更衣環境は、流鏑馬を後世まで維持継承していこうと志している、若い門人たちの健康管理を考えると、早急に改善しなければなりません。

新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止対策のため、密を避けようとすれば、尚更使い勝手が悪くなっていることも含めて考えますと、一定程度の広さを持つ、雨天時も使える更衣室の設置は喫緊の課題です。


馬場の設置から10か月が経ちましたが、30人近くの者が、交代でテントの中で着替えるのは、そろそろ限界といえます。

「せめて屋根が欲しい、壁が欲しい。」という切実な声をお聴き届きいただき、皆様、どうか御理解の上、何卒お力添えをよろしくお願いいたします。


目標金額350万円【2021年12月15日(水)まで】

伝統の技、流鏑馬の馬場に散水用設備、更衣室と日除けを!安心して稽古を続けるために

https://camp-fire.jp/projects/view/449211