2021/12/06 12:00

鎌倉教場の「今」をお伝えします。

今回は「天長地久の式の口取り」についてです。

鎌倉教場では、過去2回、行事としての流鏑馬を行いました。

1回目は、令和2年11月29日「令和2年度日本博主催・共催型プロジェクト 世界平和・健康祈願流鏑馬」で、2回目は令和3年4月4日「鎌倉教場建設記念流鏑馬」です。

全長220メートルの馬場を全て使い、最大収容数約1,000人の観覧スペースに、感染症対策のため少数(200名と80名)のお客様にお越しいただき、滞りなく開催することができました。

これも素晴らしい馬場を支えてくださる皆様のおかげです。


もっとも、この最高の馬場を備える鎌倉教場ですが、行事の際に「天長地久の式」と「凱陣の式」を行うスペースが狭いことがウィークポイントとして挙げられます。

過去2回とも、一の的と二の的の間で行ったのですが、横幅は十分にとれるものの、奥行きが5メートル程度しかありません。

特に、「天長地久の式」は馬を右回り、左回りと乗り回すので、ある程度の広さが必要なのですが、その確保が難しく、狭いスペースを上手く使わなければならないのです。


そこで、行事の前の稽古日に、射手や諸役の整列の位置、馬の入退場の方法など、綿密なリハーサルを行いました。

別会場で流鏑馬を行う場合には、ここまで時間をかけて準備するのは難しく、このような事前の練習をじっくり行うことができるのも、自前の馬場の強みです。


さて、この「天長地久の式」ですが、大日本弓馬会の流鏑馬にとって欠かすことができない大切な儀式となっています。

「天長地久」とは天地が永久であるように、天下の泰平や万民の息災が永遠に続くようにという意味が込められています。

儀式は、最初に「五行の乗法」(左回り3回、右回り2回馬を乗り回す)を行い、次に、鏑矢を弓に番え、天と地に対し満月のように弓を引き絞り、「天下泰平、五穀豊穣、万民息災」を祈ります。

この鏑矢に矢を番えるとき、馬を安定させるために口取りが必要になります。

この口取り役は、射手が務めるのですが、通常は最も経験が少ない射手が行います。

鎌倉教場で行った2回の行事では、いずれも写真の射手が行いました。

この射手は、令和2年11月29日に初陣を飾った鎌倉教場で誕生した最初の射手です。

皆様、どうぞお見知りおきください。


ちなみに、神社の神職様が射手を務められている神社で奉納する流鏑馬では、当該神社の神職様である射手が天長地久の式の口取りを務めることもあります。

このように、天長地久の式の口取りは、最も経験の少ない射手が務めることが多いので、この役目に注目していると、年月とともに務める射手が替わっていくことに気が付きます。

令和3年11月3日



平成30年2月11日


平成28年10月16日


平成27年10月18日


少しマニアックかもしれませんが、これも流鏑馬の見所の一つといえるかもしれません。


鎌倉教場の存在意義は流鏑馬の維持継承にあります。

その維持継承はそこで稽古をする門人によって行われ、それを皆様の眼前で体現しているのが「射手」たちです。

鎌倉教場で稽古に励んでいる「射手」にもご注目いただけますと幸いです。


皆様、引き続きの応援をよろしくお願いいたします。