2021/11/23 08:30

11月も下旬、今年も残すところあと1か月余りとなりました。 
本プロジェクト期間も残り3週間余りとなりましたが、最期までできる限りのことをやっていきます。引き続き応援・拡散のご協力をよろしくお願い致します。


さて、ある高校教諭のお話です。
ICT(パソコンやネットを利用したもの)が得意なため、自身のクラスではパソコンを駆使し、大画面で分かりやすく且つ効率のよい授業を行い、生徒たちの反応も上々で楽しく授業をしていました。すると、隣のクラスの先輩教諭から「ほかのクラスの生徒が羨ましがって良くない」と言われたそうです。便利だから使い方教えますよ、と返したところ、「必要ない、いいから足並み揃えて」と言われ、せっかく工夫したオリジナルの授業が堂々とできなくなった、こっそりやっている、ということでした。

教員間の横並びの強要と言われるものです。
自分のスキルを活かした授業を「足並み揃えて」とやめさせられてしまう。

画一的な学校の授業や規則においては、子供たちの多様さが考慮されない点が注目されますが、教員間の横並びにより、先生方もそれぞれの得意なことを存分に発揮させてもらえない状況があるようです。授業のやり方も足並み揃えなくてはならないのは、大変な苦痛です。こちらの先生は隠れてこっそりやっていた、ということで、生徒が前のめりに楽しんでいた授業は奪われなかっただけ良かったと思います。

しかし、こういった横並びの強要により、ユニークな授業や自分はこうしたいと思う指導ができず、次第に教師たちが同質になっていくことや、それに耐えられずスキルや志のある教師が退職していく、ということは避けたいと思うのです。

しかし、現実的にはそれが起こっています。

授業を工夫したら「隣のクラスと差がつく」 熱血教員は学校を去った

(以下要約)
小学校に6年間勤めた男性(32)は今春、教員を辞めた。
きっかけは、熱心に研究をしてきた「授業」をめぐるある出来事。
力を入れていたのは英語教育。その英語の研究授業で参加者に評価され、より大きな舞台で披露するよう依頼があり、大きなやりがいを感じていた矢先だった。
学年主任が「隣のクラスと差がついてしまう」と言い出した。同じクラスの先生と児童が何度も研究授業をしていると、別のクラスの子と授業の質に差が出てしまい、良くない。
そんな理由だった。
反発したが、結局、研究授業は中止になった。
学校は、授業のプロが競い合って腕を競う場所のはずだ。ほかの先生に差をつけてでも、自分の「武器」を磨きたかったのに。
でも、表面的な平等が優先され、より質の高い授業を受けられたはずの子どもの可能性すら、つぶしていると感じた。
「突き抜けたらあかんねや。どんだけ頑張っても、報われないんちゃうか」
後ろ髪をひかれつつ、「退職します」。校長に告げた。

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教員採用試験の倍率も低迷し、産休育休の代替も見つからないという、深刻な教員不足の中、こうして腕のある教師が辞めていくという現実。

歪んだ「平等」の意識により、学校の質は低下していく。
これはコロナ禍でのICT活用でもそうでした。
「ネット環境が整わない子が一人でもいれば、オンライン授業をすることはできない」
こうした理由で、全員にタブレットが配布されたにも関わらずオンライン授業は行われず、今でもタブレットを利用していないという学校は存在するのです。

「平等」が重視され、先に進まない。みんなが同じラインに立たなければならない、突き抜けてはいけない、足並みをそろえなくてはいけない。
そんな学校が今でもあり、決して珍しいケースではない、ということが、残念ながら現実なのです。

その一方で、もちろん教員が協力し合い、腕を磨き合って、モデルになるような授業を展開している学校もあります。

子どもたちがこうした学校格差、地域格差の負の影響を受けることなく、「平等」に質の高い教育が受けられるよう、引き続き活動していきたいと思います。