2021/08/25 12:00

皆さま、ご支援いただきありがとうございます!AMPIANAの吉田泰己です。

今日は、アトリエで働く作り手さんとAMPIANAが運営する非営利社会保障団体「HANDI-CRAFT MADA」を少しご紹介できればと思います。


作り手さんの多くは、耳の不自由な方です。

最初に出会った作り手さん(ジャダさん)の親戚に耳の不自由な方がいて、一緒に製作を開始したのがきっかけでした。


それから、近くのろう学校に連れて行ってもらって手話を習ったりもしました。何人もの先生がマダガスカル語もあまりよくわからない私たちにマダガスカル語の手話を一生懸命教えてくれました笑

その甲斐あって、少しはわかるようになりました。と言っても一番使うのは「ブラボー!」です笑

ここのろう学校では、刺繍や編み物等も教えているようで、手先が器用な方が多く、卒業生をAMPIANAで積極的に雇用することになりました。


しかし、製作開始してからすぐにコロナが始まり、マダガスカルの雇用機会は更に無くなり、ハンデを抱えた人たちにとっては、とても大変時期だったようです。そのため、私たちのところにも多くの問い合わせがありました。ですが、その頃はアトリエもなく、ジャダさんの寝室で製作をしていたので、人がこれ以上入れず、思い切ってアトリエを建設することにしました。

そして、わずか数日で、現地では一般的なユーカリや竹でできた小屋のようなアトリエが完成しました。


マダガスカルは日本と違って、終身雇用のようなものはありません。企業であれば、数年契約で、多くの人は個人事業主として自分で仕事をしています。

そして、健康保険は無いので病院では全額負担で、年金等もないので、自ら貯金していくしかありません。


AMPIANAで社会保障団体を設立したのは、ジャダさんからこんな話があったからでした。

「耳の不自由な人は、病院に行きたくても付き添いが必要になるケースが多く、病気になっても病院に行かないことがよくある。加えて、マダガスカルには、貯金の文化があまり無く、その日暮らしをしている人も多いので、有事の際にまとまったお金が無いことが多く、病院へ行こうにもマダガスカルの一般家庭にとっては、そのお金を捻出するのが難しい。アトリエで働く人のために何かしたいのだが、どんな制度があるのかわからない。日本はどんな感じか?」


それから、ヨーロッパや日本の加入できそうな保険を調べていきましたが、とても金額的に現実味のあるものはありませんでした。

そのため、(希望者にはですが)作り手さん達に支払う賃金の一部を病院や薬代として積み立てをする制度を作りました。

そして、きちんとした団体として役所に届け出て、非営利社会保障団体となりました。

きっと、まだまだ同じ境遇の人がマダガスカルにはいるだろうと、全国のハンデを抱えた手仕事を生業とする職人が誰でも加入できるようにしました。


小さなことではありますが、そうやって生活の基盤が少しでも安定することでその人の生活が豊かになるきっかけにもなると思いますし、心の安定から良い製品も生まれると考えています。

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製作開始すぐに、ジャダさんに「耳が不自由でも環境さえと整えられれば私たちと同じように、もしくはそれ以上に働くことができる」と教えてもらいました。

実際、皆んな、モチベーションがとても高く、始業は8時ですが、6時半から来てやっている人も多くいます。皆んなで手先が器用ですが、日々切磋琢磨して技術を磨いてくれています。


私たちの手話は、まだまだなので多くは話せませんが、音は無いけど笑顔がいっぱいのアトリエはとても居心地が良く、好きです。

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私たちは、与えるだけではなくて、お互いの利害が一致して、私たちと作り手の皆んなが必要とし合う関係であることが大切だと考えています。

これを実現させるのは簡単ではありませんが、だからこそ、向上心が生まれて、技術を磨くことを頑張り、もっと良いものを、もっと美しいものをと努力していくのだと考えています。

そして、私たちも同じように、良い環境作りに取り組んだり、使いやすいデザインを考えたり、どうすればもっと多くの人の手に取ってもらえるのかを考えていくのだと思います。


そしていつか、そのひとつひとつの積み重ねによって、AMPIANAの商品って品質も良いしかわいいよねって言われるようになるのだと考えています。

それが作り手皆んなの誇りになって、更に自分や自分の技術に誇りが持てるようになるのだと思います。


もし、AMPIANAを離れることがあっても、ここで得た経験と技術を糧に別の場所で堂々と生きていってほしい。そう、切に願っています。

でも欲を言えば、私たちが思ってるのと同じようにAMPIANAを好きになってくれて、ずっと長く一緒に働けたらいいなと思います。