2021/09/17 21:00

既にご支援くださった方々、サイトを訪れてくださった皆様、本当にありがとうございます。

『息子からの伝言』出版プロジェクト実行委員会の蒼沼です。

クラウドファンディング終了まで、あと1日となりました!

本日は『息子からの伝言 20年目の9・11 心の旅路』について、改めてご紹介いたします。


本書は9・11テロ事件をきっかけに、アフガニスタンと深く関わるようになった白鳥晴弘さんの手記です。

白鳥さんの心情と行動が、ほぼ時系列に沿ってわかりやすく綴られています。

テロが起きたあの日、白鳥さんはどこで何をされていたのか。

事件発生後、遺族のもとにはどんな情報がもたらされ、日本政府はどう動いたのか。

渡米後に見た遺品の数々、数か月後の遺骨の引き渡し、一年後に再訪したニューヨークで起きたこと。

アフガニスタン訪問を決めるまでの心の推移や、実際に現地を見て、様々な立場の人たちと交流する中で感じたこと。

アメリカのホテルで開かれた小泉総理大臣(当時)と遺族との会合、黒川紀章さんとの思い出、焼き鳥のお店を始めた知られざるエピソード……すべてが心に残る話ばかりです。

20年に渡る白鳥さんの想いと活動の記録を、ぜひお読みいただければと思います。


さらに、本書には白鳥晴弘さんのほかに、もう一人主人公がいます。

事件で命を落とされた、白鳥敦さんです。

事件当時、世界貿易センターで働いていた日本人は皆、エリートと呼ぶにふさわしい極めて優秀な人たちばかりでした。

しかし、敦さんは学生時代、いわゆる品行方正な優等生ではありませんでした。

矢沢永吉が好きで、高校時代は仲間とバイクを乗り回し、万引きで捕まり、タバコをふかしては教師を怒らせ、「俺はビッグになる」と口にし、(事情はあるにせよ)校長先生を殴ろうとするなど、一見、よくいるやんちゃな青年でした。

ただ、敦さんが違ったのは、自らの言葉に行動が伴っていたこと。

最初に入学した高校を退学になったあと、敦さんは改めて別の高校に入りなおし、卒業後は単身でアメリカに渡ります。

そして、他の学生が目をみはる猛勉強の末、現地の大学を優秀な成績で卒業。生駒の目を抜くようなアメリカの金融社会で、着実にキャリアアップを果たしていきます。

全米トップの証券会社、キャンター・フィッツジェラルド社に勤務していた当時の年収は1億円を超え、「ビッグになる」という言葉を見事に実現した敦さん。

しかし、決して仕事だけを優先するタイプではなく、遊びが好きで、仲間や同僚、上司から慕われていたこと、そして、弱者への優しいまなざしを物語るエピソードがいくつも残っています。

度胸が良く、行動力があり、仲間を思う優しさに溢れた敦さんの生き方は、あまりにも鮮烈でまぶしく、この本の大きな魅力になっています。

正直なところ、面識のない私が敦さんを語ることは後ろめたい思いもあるのですが、プロジェクトの途中で課題にぶつかったとき、しばしば「敦さんに相談したらなんて言うだろう」と想像しました。

無理だとはわかっていながらも、一度でいいからお会いしたかったな、と強く思います。


もうひとつ、この本の魅力を挙げるとすれば、それはデザインです。

装丁については、伊坂幸太郎さんや重松清さんの作品も手掛けているブックウォールさんが引き受けてくださっています。

ダメもとでお願いしたところ、非常に親切に対応してくださり、温かみのある素晴らしいデザインに仕上げてくださいました(本当にありがとうございました!)。

校閲をお願いした鷗来堂さん、印刷を引き受けてくださった光邦さんの担当の方にも大変お世話になりました。一緒にお仕事ができて楽しかったです。


『息子からの伝言 20年目の9・11 心の旅路』は、白鳥晴弘さんの想いはもちろん、たくさんの方のサポートと、たくさんの方の熱意からできています。

これから世に出る10代の皆さんにも、白鳥さんと同世代の人生の先輩たちにも、きっと心に響くものがあるはずです。

ぜひ、この本が多くの方の手元に届きますように。

長くなってしまいましたが、最後までお読みいただきありがとうございました!