2022/08/06 08:00

障害者権利条約の「19条 自立した生活及び地域への包括」を開設した一般的意見第5号では、地域社会から隔離されたあらゆる種類の入所施設を閉鎖し、どんな障害があっても、どこで、誰と、どのように暮らすかを本人が決める権利を保障するように各国に求めている。

この一般的意見第5号の中に、「個別支援サービスは……慈善的ケアの形ではなく、権利として考えられなくてはならない」とある。この一文、私にとってはとても心強い。

地域生活と直接的に関係のある場面ではないのだが、私は普通学校に通っていた子どもの頃、「自分は障害があるのに、普通学校に通わせてもらっている」という意識が私の中で強くなり、いじめや虐待など、学校でどんな嫌な思いをしても、「普通学校に通わせてもらっているんだから、我慢しなければいけない」と思っていた。

しかし、どんな障害があっても普通学校に通うのは誰かの恩恵ではなく、当たり前の権利であり、当時の自分には、障害のない子どもと平等に学校生活を送るために必要な支援を受ける権利があったのだと理解した今なら、学校で嫌な思いをしたら、迷わず信頼できる大人に相談すべきだったと思える。当時、信頼できる大人が身近にいたのかという問題はあるが。

なぜか権利を主張すると煙たがられてしまう日本だが、障害の有無に関係なく、子どもの頃から自分の権利を自覚し、権利を侵害されたときに助けを求めるのは、自分を守るために大切なことで、「自分の権利と同じように、他の人の権利も大切にしよう」という意識につながる。自分の権利が守られているかどうか無自覚なのに、他の人の権利など理解できるはずもない。大切なのは、子どもが自分の権利を主張した時に、周囲の大人が真剣に対応することであり、そのためには大人自身が、自分の権利が守られているか自覚できるようになることだろう。