2022/11/21 14:21

私たち、高知カンパーニュブルワリーは、7月に創業5年を迎えました。
エンジニアから心機一転ブルワーを目指し、大阪から高知に移住をして造りはじめたのが『TOSACO』です。

高知の海に、妻とふたりでビールの種をまく。
高知の素材にこだわり、高知らしい、高知だからこそできる。
そんなビールを目指して、5年前に創業しました。

5年がたち、いま私たちは次のステップへ進もうとクラウドファンディングに挑戦しながら、高知県の物部川のほとりにビアスタンド併設の新工場を建設しています。

この機会に、これまでを振り返って、そしてこれからのことを考えてみました。

クラフトビールを生業に選んで

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もともと大学で電気工学、大学院でバイオサイエンスを学んでいた私の中で、自分の生業=ものづくりのイメージがありました。

電気機器メーカーでエンジニアとして勤めるうちに、ものづくりに携わるだけではなく、自分自身で入口から出口まで一貫して関わりたい・責任をもって「つくったもの」を届けたいと思うようになり、そのときに「なにをつくって生きていこうか」と、選んだのがクラフトビール。

島根県の石見麦酒で、ビールづくりの基礎と、小規模醸造システムである「石見式醸造」を学び、高知県ビジネスプランコンテストを経て、2018年に単身高知へ移住し「高知カンパーニュブルワリー」ははじまりました。

創業当初は、「とにかく全部一人でやります!」という意気込みで、寝食を忘れるくらいストイックに仕事にのめり込みました。今考えると、精神論で乗り切ろうとしていて。若かったというか、バカだったというか。笑

周りの方の支えもあって、高知県内のメディアで紹介していただく機会がありました。少しずつTOSACOが知られていって、売れるようになっていくだろうと考えていたので、突然商品が足りないということに。

どうにか欲しいと言ってくださる方のもとにTOSACOを届けたい一心で、まさに寝る間も惜しんで1日2回の醸造を何日も行いました。醸造の合間にラベルを貼り、週に1回納品に駆け回る。

この時が一番体力的にしんどかったと思います。徐々に体調を崩し、気持ちだけでは超えられない限界を悟りました。

そんな窮地を助けてくださったのが町内会長さん。
ご近所さんに声をかけて、ラベル貼りを手伝っていただいたことは一生忘れないです。足を向けて寝られないですよね。半年間毎日来てくださった。

「全部一人でやろう」なんて考えが、いかに未熟だったかをこの時痛感しました。
将来どんな会社を作っていくか、どう効率化するかなど、事業を継続させる視点をもてるようになったのはこの時だったと思います。

いつまでもこのビールはつくれない、という危機感

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TOSACOのコンセプトは「おいしい高知の おいしいビール」。
クラフトビールとしておいしいだけでなく、なにか高知の素材を使っているのが特徴です。

今まで、高知県の34市町村のうち17の市町村の農作物をつかって、25種類のビールをつくってきました。

土佐文旦、柚子、芸西糖、榧の実、米糀、マンゴー、バナナ、リンゴ、米、山椒、イチゴ、赤しそ、ぶしゅかん、フルーツトマト、鰹節、栗、ベルガモット…

必然的に一次産業にかかわる生産者の方々からたくさんのお話を伺います。
そんな中、高知に住むまでは知らなかった危機感をもちました。
ミルクマンゴーヘイジ―をつくる中でぶつかった壁。
農家さんの高齢化と減少、廃業です。

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いまつくっているビールのラインナップの中でも、10年後、20年後に同じようにつくり続けられるのか心配なものがいくつかあります。
そもそも、私たちがつくるビールは、高知の素材があってはじめて生まれるビールです。

「おいしい高知のおいしいビール」と言っているように、「TOSACOらしさ」は、高知に魅力的な農作物があるのが前提にあって、それを活かしてクラフトビールを作るのが根幹にあります。

例えば、10年後や20年後も今と同じように副原料としている農作物が使えるのか、お付き合いある農家の方々が農業を続けておられるかと考えると、なかなかイメージが持てなくて。

当然、TOSACOも今のように自由につくれなくなってしまいます。
自分たちも、当事者として積極的にコミットしないといけないと痛感しています。

「おいしいビール」をきっかけに、「おいしい高知」を知ってもらう

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まず私たちにできるのは、きちんと美味しいと胸を張れるビールをつくること。
そのために、新工場では従来の石見式醸造の設備だけでなく、大手メーカーと同様の製造が可能な醸造設備を導入します。
「おいしいビール」をとおして、「おいしい高知」を知ってもらう土台を作っていきます。

この「おいしい」というのは、味のことだけではありません。
ビールの背景や地域の魅力を伝えたり、面白い人たちと料理とビールでコラボレーションしたりして、物部川の自然も一緒に味わってもらいたいです。
建設中のビアスタンドは、そんな色々な「おいしい」を感じられる場所を目指しています。


食卓を豊かに、そして地域経済に豊かさの循環を

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創業からずっと掲げている、高知カンパーニュブルワリーの経営理念は、「食卓を豊かにすること、その豊かさを地域経済に循環させること」です。

この循環というのは、TOSACOをきっかけとしたビアツーリズムもあれば、麦芽粕やホップ粕のアップサイクル。最近では、高知の地域資源である木材を使った、木質バイオマス発電で動くブルワリーも、将来の構想として描いています。

ゆくゆくは、ビールに使える地産素材も広げていく予定です。
今は、副原料に高知県産の素材を使っていますが、モルト(麦芽)やホップ、酵母といった主原料まで地産のものを目指します。

正直、安くて質の良い海外産のモルトがあるので、オール高知のビールはかなり高価になると思います。
でも、そこから逃げずに、将来を見据えて、本当の意味での「地ビール」のあり方を追いかけることは地域のため、日本のため、なにより自分たちのためになります。

まだまだ役不足で色々な方々にお世話になってばかりですが、それでも、もっとやりたいことがたくさんあります。
すべて私たちだけで完結させるということではなく、地域の人や会社と一緒に取り組むことで可能性がグッと広がり、将来実現できるはずです。

今は醸造所とビアスタンドしか造れていませんが、目の前の空き地や耕作放棄地にもいろいろなコンテンツを肉付けしていけたら、物部川エリアがもっと面白い場所になっていくと思っています。


今、TOSACOが物部川で描く未来   

創業時にも目指す未来の絵を妻と2人で描いたのですが、今の新工場を構想する前にも2人で「改めて、自分たちはどうしていきたいんだろう?」と絵を描きました。

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創業するときは、「クラフトビールを作って、妻と一緒に乾杯したい」から始まったので、ファミリービジネスのような将来を考えていました。

蔵を改造して醸造所をつくって、地域のコミュニティスペースとしてビアパブが併設されている。隣の畑で育てた自家製の野菜を料理に使って、うちの子供が出している…そんな、アットホームな雰囲気で、家族で醸造所兼お店を営んでいくイメージです。
端的に言えば、せっかくなら好きなことをして生計を立てて、妻と子供を育てていけたらいいなぁと。

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今は、事業を通じて、物部川エリアに循環型の経済を作っていきたいと考えています。

例えば、地域おこしとして物部川地域を四国における新興観光地の筆頭格にする。

既に四国には、道後温泉をはじめ観光地がありますし、県内でも四万十川や仁淀川が有名です。それでも、これから新興観光地として物部川エリアで頭角を出していきたい。その仕掛けに私たちもプレイヤーとしてコミットしていきます。

今はまだ、ビールというプロダクトでしか高知や物部川の魅力を表現できていないのがもどかしいのですが、自分たちが日々仕事をしていることが、そのまま地域を潤し続けることにつながるように、ここから挑戦していきます。

交通の利便性がいい物部川地域には、既にある観光・自然資源に加えて、私たちのような移住者や面白いプレイヤーが続々と集まってきています。
個々の人や資源がもつ魅力を、地域の魅力として面でとらえてもらえるような、人が繋がる場、コトが生まれる場としてビアスタンドを物部川エリアの中で位置づけるつもりです。

食とビールや、ビールとアウトドアのコラボイベントからはじめて、徐々にもっと多様で大きな輪ががって、新しい取り組みが自然と起こっていけば、素晴らしいイノベーションが生まれるはずです。

そういう試みを重ねて会社を続けていき、地域循環型のブルワリーやビジネスの道筋をこれから築いていきたいと思っています。
これからも、頑張っていくので、応援よろしくお願いします!

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