注目のリターン
建築家・竹原義二の「黒板講義」
みなさん、こんにちは。「竹原義二の黒板講義」実行委員会代表の白須です。私たちは、竹原研究室出身の建築家たちによる実行委員会を組織し、「黒板講義」の書籍化を目指しています。
まずは建築家・竹原義二先生の紹介をさせてください。
建築家 竹原義二(たけはら よしじ)
・1948年 徳島県に生まれる
・1972年 大阪市立大学の富樫研究室を卒業し、石井修氏の美建・設計事務所に勤務
・1978年 無有建築工房を設立
以降、住宅・保育園などの福祉施設、美術館など、多数の建築作品を手掛けてこられています。

教育者としても、2000年から2013年まで大阪市立大学大学院生活科学研究科・生活科学部の教授を務め、2015年から2019年までは摂南大学理工学部建築学科の教授として、多くの学生を指導されました。特に、「黒板講義」と称される独自の教育スタイルは、建築の本質を的確かつ簡潔に伝えるものとして、多くの学生に深い感銘を与えてきました。
竹原先生の作品は、グッドデザイン賞、村野藤吾賞、日本建築学会賞(教育賞・著作賞)、都市住宅学会業績賞、こども環境学会賞など、数多くの賞を受賞されています。最近ではリノベーションや福祉施設の設計にも精力的に取り組まれています。
このプロジェクトで実現したいこと
本プロジェクトでは、教育者としての竹原義二の代名詞である「黒板講義」の書籍化を目指します。
2024年、神戸芸術工科大学、摂南大学、奈良女子大学、大阪公立大学、大阪工業技術専門学校で「黒板講義」を実施・記録しました。これらの講義内容をまとめ、その建築思想を幅広い世代に届けることを目指しています。現在、黒板講義の写真や講義録をまとめ、200ページ超の書籍に仕上げるべく制作を進めています。
この書籍は、建築を学ぶ学生やプロフェッショナルだけでなく、建築に興味を持つ一般の方々にも建築の魅力や深みを伝えることができる貴重な記録となるでしょう。

プロジェクト立ち上げの背景——竹原義二「黒板講義」の特徴
私がはじめて黒板講義を見たのは2002年でした。黒板いっぱいに図面やメッセージが書き込まれていき、今まで受けたことのない講義が展開されていきました。学生ながら感動したのを強く覚えています。竹原先生の「黒板講義」は、シンプルながらも建築の核心をとらえた表現で、多くの学生にとって学びの支えとなってきました。
竹原先生の黒板講義では、時代や国境を越えたさまざまな建築を対象に、その建築の設計手法や思想を独自の視点から紐解きます。細かな寸法、黄金比・白銀比などの比率、施工方法、光の入り方、雨の流れ方、敷地における配置、ひとりの人間がその建築で生きる時間、数百年スパンかけて建築に流れる時間。こうした輻輳した視点からひとつの建築について読み解き、建築の考え方、あるいは建築家としての生き方まで説くような講義です。
しかし、黒板という特性上、その記録は一時的で、時が経つにつれ失われてしまいます。この貴重な教育の記録を保存し、広く共有するためには、書籍化が必要だと考えました。また、竹原先生の独自の視点や思想を未来の建築家や建築ファンに伝えることで、建築への関心を深める一助となればと願っています。
現在の準備状況
2024年に行った5つの教育機関での黒板講義を収録しました。写真や講義内容を元に、200ページ超の書籍として制作を進めています目次は以下のようになる予定です。
目次(仮)
Chapter 1|黒板講義(教育機関名以後は講義であつかった建築)
・摂南大学|清家清《斉藤助教授の家》、チャールズ・ムーア《ムーア邸》
・神戸芸術工科大学|《吉井家住宅》《箱木家住宅》
・奈良女子大学|重源《東大寺大仏殿》《浄土寺》
・大阪工業技術専門学校|《吉島家住宅》《日下部家住宅》
・大阪公立大学(生活科学部)|津田永忠《関谷学校》
・大阪公立大学(工学部)|ルイス・カーン《エシュリック邸》《フィッシャー邸》、チャールズ・ムーア《ムーア邸》
Chapter 2|テキスト
・対談:竹原義二 ✕ 倉方俊輔
・座談会:実行委員が語る黒板講義
・特別講義:《101番目の家》と生きることについて
Chapter 3|資料
・過去の黒板講義
・卒業生の声
・協力者リスト ほか
竹原先生ご本人がプロジェクト主催者として積極的に関与しており、編集内容の監修も実施しています。この本は竹原先生の自費出版として、限定2000部のみの発行を予定です。その印刷費用や取材費用を賄うため、また読者に直接本を届けたいという思いから、クラウドファンディングを行うことを決めました。
装丁仕様
・B5変形判
・本体コデックス装+上製スイス装
・224頁
※変更の可能性があります
リターンについて
部数が限られた自費出版のため、お近くの書店に置いてもらって買っていただくことはかなり難しいと考えています。また、竹原先生の意向で本を直接届けたいという思いがあります。よってリターンのメインは本の前売り販売となります。手に入れたいという方はぜひこのクラウドファンディングのリターンで手に入れてください!
1.『建築する - 竹原義二の黒板講義』直筆サイン本 ¥7,000
巻末に直筆のサインを書いた限定本です。 自費出版で数に限りがありますので、全国の書店に置いていただく ことが難しく、できればこのクラウドファウンディング で手に入れていただきたいと思っています(写真はイメージです)。
2. 黒板しおり5枚セット+『建築する - 竹原義二の黒板講義』直筆サイン本 ¥8,500
黒板講義の黒板をしおりにしました。 限定の非売品です(写真はサンプル)。 このプロジェクトにご支援していただけるという方へ感謝の気持ちを込めて作りました。
3. 『無有-竹原義二-』(2007)+
『建築する ー 竹原義二の黒板講義』直筆サイン本セット ¥10,000
今回の本に加え、竹原先生が過去に出版された『無有-竹原義二-』(2007)をセットにしました。どちらも巻末に直筆のサインを書いた限定本です。
4.『竹原義二の視点 -日本建築に学ぶ設計手法-』(2023)+
『建築する ー 竹原義二の黒板講義』直筆サイン本セット ¥11,000
今回の本に加え、『竹原義二の視点 -日本建築に学ぶ設計手法-』をセットにしました。 どちらも巻末に直筆のサインを書いた限定本です。
5. 『無有-竹原義二-』(2007)+
黒板講義のしおり(5本)+
『建築する ー 竹原義二の黒板講義』直筆サイン本セット ¥12,000
今回の本に加え、『無有-竹原義二-』と黒板講義のしおりをセットにしました。 どちらも巻末に直筆のサインあり、しおりは限定の非売品です。
6.『竹原義二の視点』(2023)+
黒板講義のしおり(5本)+
『建築する ー 竹原義二の黒板講義』直筆サイン本セット ¥13,000
今回の本に加え、『竹原義二の視点』と黒板授業のしおりをセットにしました。 どちらも巻末に直筆のサインあり、しおりは限定の非売品です。
7.『無有-竹原義二-』(2007)+
『竹原義二の視点』(2023)+
『建築する ー 竹原義二の黒板講義』直筆サイン本セット ¥15,000
今回の本に加え、竹原先生の著作2冊と黒板講義のしおりをセットにしました。書籍はすべて巻末に直筆のサインありの限定本です。
8.『無有-竹原義二-』(2007)+
『竹原義二の視点』(2023)+
黒板講義のしおり(5本)+
『建築する ー 竹原義二の黒板講義』直筆サイン本セット ¥18,000
今回の本に加え、竹原先生の著作2冊と黒板講義のしおりをセットにしました。書籍はすべて巻末に直筆のサインあり、しおりは限定の非売品です。
※『黒板講義特別支援』巻末に名前の掲載+直筆サイン本 は10/21で締め切りました。間違ってこのご支援された方は「instagramのみでお名前掲載+直筆サイン本」となりますのでご了承ください。
現在200%を超え(11/5時点)、250%という次のゴールを設定しました。
250%達成の際には、11月末に某所で開催される黒板講義のダイジェスト版(10分程度)を支援者様限定で公開いたします。引き続きご支援のほど、どうぞよろしくお願いいたします。
スケジュール
2023年 夏 実行委員会立ち上げ
2023年12月 最初の黒板講義収録@神戸芸術工科大学
2024年 5〜11月 黒板講義の収録
2025年 1月 実行委員座談会、編集作業
2025年 9月 クラウドファンディング開始、書籍の最終編集・デザイン完成
2025年 11月末 クラウドファンディング終了
2025年 12月 印刷・製本開始
2025年 12月中旬〜 リターン発送開始
最後に「黒板講義で伝えたかったこと」
(竹原先生本人より)
大学で講義をする時は黒板講義をすると決めていた。
黒板に向き合ってチョークで端から端まで一本の線を描くと、今日の調子が分かるのである。
私はチョークの質感に惚れ込んでいる。さまざまな色を使いこなし、表現したモノの形をチョークで陰影をつけるなど、モノの深さを出すために手でこすりながら両手で黒板をたたく。するとチョークで書かれた線の粉がゆっくり落下していく。
その時教室はライブ感につつまれる。そしてその場所に行きたい衝動に駆られるのである。
いつのまにか黒板は図面と言葉で埋め尽くされると、講義が終わる。教室の後ろから黒板をながめ一枚だけカメラのシャッターを切る。そして黒板に描かれた図を時間をかけてゆっくりと消していくのである。黒板講義は刺激的で芸術的である。
クラウドファンディングによって一人でも多くの人に届けたいという思いが強くわき出てきました。皆様からの応援が一番の励みになります。多くの支援をいただけますようにお願い申し上げます。
竹原義二
クレジット
「竹原義二の黒板講義」実行委員会
竹原義二(無有建築工房)
白須寛規(design SU、摂南大学講師、大阪市立大学竹原研究室1期生)
加藤亜矢子(ムトカ建築事務所、奈良女子大学准教授、大阪市立大学竹原研究室1期生)
田野宏昌(田野建築設計室、大阪市立大学竹原研究室1期生)
武長晃弘(アット設計室、大阪市立大学竹原研究室3期生)
武保学(きりん、大阪市立大学竹原研究室4期生)
川口裕人(1110建築設計事務所、大阪市立大学竹原研究室6期生)
木内菜津子(nua、大阪市立大学竹原研究室8期生)
春口滉平(山をおりる、大阪市立大学小池研究室1期生)
森川将雄(無有建築工房、摂南大学竹原研究室2期生)
写真:塚本大士(KNOT CREATIVE WORKS 合同会社、摂南大学竹原研究室3期生)
編集:春口滉平(山をおりる)
デザイン:綱島卓也(山をおりる)
印刷:サンエムカラー
最新の活動報告
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校了しました!!!
2025/11/15 14:23昨日、全てのチェックを終えて「校了」しました。お疲れ様でした。あとは、印刷して仕上がって来るのを待つのみです。。校正において思ったより増えたのは、講義の中で取り上げている建築の図面です。これらはすべて竹原先生のスケッチで構成されています。仕上がった本より抜粋 p.37講義では、黒板の横にスクリーンがあり、そこに映しながらとか黒板と交互に説明していました。本にしたときに、やはりそのスクリーンの情報が必要ということで、可能な限り入れることにしました。竹原先生の作業がとっても増えたのは言うまでもない、、。ほんとおつかれさまでした。仕上がりが楽しみです! もっと見る
インタビュー:カメラマン・塚本さんに聞く2「学生のときに受けた影響」
2025/11/01 12:51ー 学生の頃、先生から受けた影響について聞かせてください。影響はあります。僕の場合、建築というより先生の見せ方や振る舞いをよく見ていました。先生にはスイッチが入る瞬間があって、オンとオフの切り替えがはっきりしている。オンの時の演出的な所作と力強さや、逆にオフの時の人間味に惹かれました。ー 記憶に残っている言葉は?「怒りを持て」。当たり前に流されるな、という意味で、先生は社会のことについて「俺は腹が立つ」とよく言っていた。当時は、怒りを持つことが悪ではなく創造の原動力だと自然に思えました。卒制では、自分の思いをぶつけました。ー “考え方”というより“姿勢”の話ですね。そう、「本当にそれでいいのか」から始める姿勢。疑って、確かめる。そこが強く残っています。ー 進路についてはどうでした?僕は建築の道をやめています。先生の授業を受けて、こういう人が最前線なんだとわかった。あの先生を見たら、自分は建築家にはなれないと直感的に思いました。無理だなって。だから今も建築を続けてる人はすごいなと思います。ー 日常の所作まで影響が?ええ。当時はかっこいいタバコの持ち方まで教わったり(笑)。そういう細部も含めて今でも先生はかっこいい。影響を受けた、なんておこがましい気もします。あの熱量と活力を前にすると、「自分は何をしているんだろう、あんなすごい人があれだけ頑張っているのに」と思うんです。― 写真からは先生の熱量が感じ取れるように思いました。ありがとうございます。まだ到達点ではありませんが、いつか写真で先生の背中に手が届くといいなと思って頑張っています。今回の企画で、改めて先生を追いかけたのはいい機会でした。写真:塚本大士 もっと見る
インタビュー:カメラマン・塚本さんに聞く「黒板に寄る理由」
2025/10/24 08:00今回は、竹原研究室の卒業生でありカメラマンの塚本大士さんにお話を伺いました。ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 今回の書籍は、塚本さんの写真なしには成立しなかった――そう感じています。まずは率直に、写真が本当にかっこいい。今回の写真、画面で見たとき以上に紙で映えます。ありがとうございます。印刷の力が大きいですね。現物になると、黒の深みや粉の気配が画面越しとはまるで違う。“距離が近い”写真になった理由ー この本の写真は、とても距離が近いと感じました。なぜあの距離感に?“授業を受けている感じ”を説明的に撮るより、先生の熱量を写したかったんです。黒板の線は「あの手」が書いたもの。力が入った瞬間に寄ると、線の太さ、チョークの欠け、粉の舞いまで立ち上がる。遠目の全景だけでは伝わらないものがあるんですよね。普通の講義撮影ならあまり寄らないですが、今回は自然と近づいていった感覚です。“手”が語るー 先生の手元にぐっと寄っている写真が印象的です。先生の手は大きくて強い。メモの字も赤青鉛筆で大きく太い。道具をよく触り、黒板をバンバン叩いて音を立て、線を引く。その“手の振る舞い”が講義そのものを語っているから、カメラもそこに寄っていきました。チョークがボキボキ折れるほど力が入る瞬間もあるし、黒板消しでは簡単に消えない痕跡が残る。そうした物質性は、写真で寄らないと掴めない。写真だからこその表現だと思いました。ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーぜひページに顔を近づけて、あの距離感を体験してください。 もっと見る






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