自己紹介
大同硝子興業株式会社の代表取締役社長、鈴木聡と申します。

弊社は1945年、ガラス容器を販売する企業として創業しました。1955年頃からはプラスチック成形製品の製造に移行し、これまで地道に研ぎ澄ましてきた成形技術を活かし、お菓子を中心とした食品容器や小学校教材、文房具など、様々な業種の企業様より委託された製品を製造するOEM事業を中心に行っています。
“For the next generation”を企業理念とし、人々の生活を豊かにするモノづくりに日々努め、多くのお客様やパートナー企業様にも恵まれ、2025年には創業80年の節目を迎えることができました。
製品開発のきっかけ

しかし2022年4月、環境省によって制定された「プラスチック資源循環促進法」が、私たちプラスチック業界に大きな変化をもたらしました。この法案は、プラスチック製品のあり方を見つめ直しプラスチック廃棄物の排出を抑制しつつ、再資源化やリサイクルを促進することを目的としているはずですが、世の中にプラスチックそのものがネガティブなものとして伝わってしまったように思えます。
コンビニエンスストアやスーパーマーケットのレジ袋・カトラリーの有料化、カフェチェーン店のストローの素材変更など、数あるプラスチック製品の中でも使用時間が極めて短い消耗品のプラスチック削減の流れが加速化したことで「プラスチックはゴミになり、海洋汚染や地球温暖化を引き起こしてしまうもの」と、盲目的に信じてしまう人が増えてしまったのではないかと考えます。
これまで、衣食住の全てにおいて私たちの生活を豊かにしてきたはずのプラスチックが、持続可能な社会を目指す令和の時代において、社会問題の一つになってしまいました。プラスチック業界は今まさに、岐路に立たされています。
弊社も例に漏れず、社内からは“これからもプラスチック製品を作り続けていいのでしょうか?”という不安の声も上がりました。
ただ、私としては「プラスチック=ネガティブなもの」ではないと思っています。プラスチックは軽量かつ丈夫な高機能素材です。食品トレイやペットボトルだけでなく、衣服や建材、家電や家具、自動車部品など、私たちの身のまわりに欠かせない素材として定着しています。
見直さなければならないのは、私たち一人ひとりの生活習慣です。今まで無意識に、過剰に消費していたプラスチックの使い方そのものを改善していく必要があると感じています。
弊社の社員でさえ不安を覚える状況下で、この想いをどのように世の中に発信すればいいのか。それが、このプロジェクトを始動するきっかけになりました。
なぜ、「虫かご」を開発したのか?
「プラスチック自体は必要なものである」「問題はプラスチックの使い方にある」。
このメッセージを消費者の方々に届ける方法を考えた時、日用品や消耗品を通じて発信していくことが最も効果的だと思いました。
ではなぜ、今回開発したのが、この「虫かご」だったのか?
製品開発に至るまでに、私たちは「安価で多売され、短命で処分されているプラスチック製品」と、「豊かな自然環境の中で使われているプラスチック製品」という二つの条件を検討しました。その条件を満たしているのが、虫かごでした。
従来のプラスチック製の虫かごは、「安価で多売され、短命で処分されるもの」です。開発前の事前リサーチによると、虫かごの多くは100円ショップやホームセンターで購入され、価格帯は300~1000円。使用期間は平均1年で、長くても2年。よく使われるシーズンは子どもたちの夏休み期間がメインで、すごく限定的です。

それでも虫かごが消費され続ける理由は、「安くてすぐ買える為、処分しても構わない」といった消費者の声に象徴されていることだと思います。虫かごが身近な場所で手軽に買えることは、消費者にとってはメリットである反面、プラスチックの使い方を改善できると感じました。
もう一つのキーワードである「豊かな自然環境の中で使われているプラスチック製品」については、虫かごは広場や公園、キャンプ場といった自然豊かな環境で使われます。未来を担う子ども達が豊かな自然と触れ合いながらプラスチック製品を使って遊ぶ姿は、プラスチックと自然、そして未来が調和するシーンと言えるのではないでしょうか。だからこそ、プラスチックに携わる私たちが製作することに意味のあるアイテムだと思いました。
これらを踏まえ、私たちの想いを世に届けられるプロダクトだと確信し、虫かごの開発に踏み切りました。

全社プロジェクト
OEM事業を行う当社にとって自社製品開発は大きな挑戦であり、実現したい夢でした。
この貴重な挑戦を全従業員で取り組むため、2023年5月に全社プロジェクト「虫かごプロジェクト」を発足しました。自社製品として虫かごを開発するという号令は私が出したものの、具体的な製品案についてはノープランでした(笑)。そのため、まずは「どのような虫かごを作るのか?」というアイデア出しから全社プロジェクトはスタートしました。
多くの会社が従業員からアイデア募集をするという取り組みをされているかと思いますが、実際のところ十分な件数のアイデアを集めることができている会社は少ないのではないかと考えます。当社でも過去に社内募集という取り組みを行ったことがあるのですが結果は芳しくはありませんでした。
ただ、今回はプロジェクトの中心メンバー達が「全従業員で考えよう」という雰囲気作りを積極的に行ってくれたおかげで、ほぼ全ての従業員からアイデアが集まり、とても良いスタートを切ることができました。また、製品案以外にもパッケージ等に使用する昆虫イラストの募集も行いました。結果、社内の隠れ画伯を数名発見することができました(笑)。

全社プロジェクトの活動はアイデア募集に止まりません。
製品の大きさやカラーバリエーション、価格帯など製品開発において必要な様々な項目に関して、従業員とその家族、関係会社さんの従業員にもご協力いただきアンケートを実施しデータを集めました。虫かごという製品があまりに一般的すぎるのかどうかはわかりませんが、市場におけるマスデータが見つからなかったこともあり、このアンケートで得たローカルデータは大変役に立ちました。
また、ホームページで使用する写真では、従業員の子どもたちにモデルになってもらい、当社工場の所在地である京都府久御山町などをロケ地に、豊かな自然と触れ合う未来を担う子ども達のイメージ写真や動画を撮影しました。

プロダクトに込めたメッセージ
一般的な虫かごは低価格で手に入りますが、このプロダクトの価格は3,000円です。高価だと感じる方が多いかもしれませんが、機能やデザインなどには約2年の月日を費やしてこだわり、それだけの価値があると自負しています。
加えて、安価ではないことで、親御さんとしては「大切に使ってね」というメッセージを子どもたちに伝えてくれると思ったことも理由の一つです。子どもたちにとっても、この虫かごがお気に入りのアイテムになれば、「丁寧に使うこと」を学んでほしいというも想いも込めています。
少し前に「もったいない」という言葉が流行しました。モノを大切にするという習慣は私たち日本人が受け継いできた大切なマインドのはずです。大切にすべき対象は限定されず、本来は生活で使用する全ての物品を対象にするべきだと私たちは考えます。ただ、そのマインドを形成するためには、やはりわかりやすい”理由”や”きっかけ”が必要なのも事実です。その答えが「デザイン」です。

「捨ててはいけない」ではなく、「捨てたくない」「大切にしたい」と思ってもらえるプロダクトを作りたい。まずはこの虫かごを通じて、プラスチックの正しい使い方、新しいカタチを社会に示していきたいと思いました。
そして、プラスチックの正しい使い方、新しいカタチを示していく自社製品に、「プラモノガタリ」というブランドを冠しました。プラスチックには長い歴史があり、これからも長く使い続けられて、歴史を紡いでいく素材であるようにという想いを込めて名付けました。
プロダクトの機能とデザイン
<「長く使える」ことを重視した材質>
この虫かごの材質は、純然なプラスチック100%素材を使用しています。というのも、プロダクトには「長く使える」ことに重きを置いているため、強度で信頼できる素材がベストだと考えたからです。ただ、素材についてはバイオプラスチックやリサイクル素材の活用も、今後は積極的に取り組んでいきたいと考えています。
<本体の組立、分解が自在>
虫かごは使わない期間が長いアイテムなので、不使用期間に邪魔になってしまうことも廃棄を誘発する要因と考え、コンパクトに収納できる仕様を前提に商品開発を行いました。世の中に組み立て式の虫かごは存在しますが、分解してスマートに仕舞える虫かごはほとんどないと思います。本体を分解できることで洗いやすく、簡単にお手入れができるのもポイントです。
ちなみに、この虫かごを長く使っていただけるよう、万が一、パーツが破損しても無償で交換できる修理保証も付与しています。パーツが破損しただけで本体を買い直す必要がなく、パーツを交換するだけで修理できるのも、本体を分解できるメリットの一つです。

<ガバッと大きく開く正面蓋>

虫かごの開発当初に昆虫の有識者の方にお話を伺った際、教えていただいた虫取りで最も残念な失敗体験が、捕獲した昆虫を虫取り網からかごに移す時に逃げられてしまうことです。確かに、自分自身も似たような経験があり、とても悲しい気持ちになった記憶があります。
この虫かごの正面蓋がガバッと大きく開く仕様になっているのは、昆虫を網から移しやすくするためです。もちろん、昆虫が苦手な親御様が直接触れることなく、自然に逃がす際にも役立つと思います(笑)。また、捕まえた昆虫がとても観察しやすくなっていることも大きな特徴です。
<横置き・縦置きのどちらにも対応>

一般的な横置きだけでなく、縦置きできることも、有識者の方のアイデアを参考にさせていただいたことの一つです。例えば、子どもたちに人気のカマキリは幼虫を飼育する場合、虫かごに高さがないと羽化する際の脱皮に失敗することがあるため、縦置きにするのが望ましいことを知りました。それを踏まえ、子どもたちに昆虫の習性をしっかり観察できるように、横置きにも縦置きにも対応する仕様に仕上げました。
<豊富なカラーバリエーションとカスタマイズ性>

「長く使う」ことの要素の一つとして、カスタマイズ性、オリジナル性も重要視しました。虫かご本体のカラーは全7色展開。どの色を選んでもパーツの形はすべて同じですから、色違いでそろえると、複数の色を組み合わせることも可能です。
また、ショルダーストラップのカラーも10色をご用意。ベーシックな色から個性的な色までそろっているので、お気に入りの一色をセレクトできます。
今後は虫かごの網目に取り付けられるバッヂなど、カスタマイズの幅をより広げていけるアイテムや機能を検討していきます。
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ご支援金の使い道
今回のプロジェクトで集まったご支援で、環境問題をもっと身近に体感していただけるよう、リユース素材としての展開やリサイクルシステム化実現に向けた設備投資考えております。さらに生産コストを削減を目指していくことで、皆さまへのご利用率も増加することで、「プラスチックの価値感」を変えていくことが、結果として環境問題への取り組みにつながると思います。
●目標金額 150,000円
●支援者へのリターン
1、ムシカゴ1個+専用ストラップ1本
2、ムシカゴ2個+専用ストラップ2本
3、ムシカゴ3個+専用ストラップ3本
4、フルコンボセット(ムシカゴ7個+専用ストラップ10本)
5、プラモノガタリ・サポーター
<告知>イベント企画について
「オフラインの虫取りイベント企画」を計画中。虫取り名人と一緒に取り方や育て方などを学びながら、楽しむ企画など親子で楽しめる楽しい企画を検討中!ご支援いただいた方には先行して情報公開&招待券をプレゼントいたします。詳細は決まり次第、メールにてご案内いたします。
スケジュールについて
5月 クラウドファンディングでプレリリース販売開始
6月 クラウドファンディング終了
6年下旬 リターン発送
6月下旬 ECサイトでの本リリース販売開始
※予定になりますので、状況により変動いたします。
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今後の展望
弊社は2030年までに実現すべき理想像として、「社会や⼈々に魅⼒ある商品を提供するメーカー」というビジョンを掲げています。
今回開発したプラモノガタリの虫かごは、そのスタート地点と位置付けています。プラモノガタリは毎シーズンの展開を予定していますが、そもそも大量生産は私たちの想いに反するため、あくまで数量限定で生産していきたいと考えています。
「プラモノガタリ」というブランドはこの虫かごを皮切りに、これからの未来を担う子どもたちに「大切に、長く使っていただけるプラスチック製品」を提供していきたいと考えています。そして、プラスチックに携わる者として、プラスチックの利点と改善点を世の中に発信し、正しい活用の仕方、新しいカタチを提案していきたいと思っています。
最新の活動報告
もっと見るいよいよ、明日発送します!
2025/06/30 16:27こちらの活動報告は支援者限定の公開です。





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