2018/08/24 19:05

こんにちは!サーモンです。
 
アニメ『猫企画』のクラウドファンディングも残り3週間となりました。『猫企画』は秋の公開に向けて鋭意制作中です!!引き続き、皆さまの応援、ご支援をお待ちしております。
 
さて、「瀬戸焼」という言葉はご存知ですか?「瀬戸焼」とは、愛知県瀬戸市やその付近で作られる陶磁器のことを指します。
『猫企画』はその「瀬戸焼」で世界的なキャラクターを作る原型師により、立体造形を行っています。これを3DCGに生かし、作中に登場するキャラクターたちの3DCGアニメーションに暖かみをもたせているのが特徴です。
 
 
今回は、本作でお世話になっている原型師の加茂薫さんにインタビューをしました!

加茂 薫
1959年生まれ。愛知県瀬戸市出身。
愛知県立 瀬戸窯業高等学校専攻科卒業後、製陶会社で一貫して原型師として従事。
世界のキャラクター造形から、大手企業のノベルティ製品など数多くを手がける。
 

 

––––原型師とは具体的にどんな仕事をするのでしょうか?
 
「製品の元型を作っています。依頼主からスケッチを受け取り、平面から立体に伴う工程をデザイナーさんと相談しながら、型のとりかた、絵付けを考えながら形を制作していきます。」

(加茂さんの作業道具)
 
––––デザイナーさんとのコミュニケーションが大切になっていきますね!
 
「そうですね、依頼のデザインに近づけるためコミュニケーションはとても重要になります。陶磁器の原型となると、焼き縮みを考えなければいけないので、歪みなども計算して作っています。」
 
––––実際のサイズよりも大きめに作らないといけないんですね、すごい!焼き縮みというのはどれくらい小さくなるのでしょうか?
 
「火を通して焼き物が出来上がるので、約5〜15%縮みます。」
 
––––結構縮みますね。加茂さんはなぜ原型師になろうと思ったのですか?
 
「瀬戸では小学校から粘土細工や粘土のコンクールがあるんです。特徴的なのが油粘土ではなく、陶器の土で作り焼成して展示していました。これが大好きで賞をいただいていました。」
 
––––それは焼き物の町ならではですね!
 
「中学生の時、進路指導で先生に原型師は瀬戸で高嶺の花(当時)。その勉強ができる窯業高校に行けばスムーズに業界に入れるぞと教えてもらい、中学の時に原型師になることを決めました」
 
––––原型師の勉強ができる高校が瀬戸に!!中学生の時に原型師になろうと決められたんですね。
 
「高校3年間とプラス2年を窯業高校で過ごして、20歳で原型師として企画会社に就職しました」
 
––––ここで、加茂さんが過去に制作した作品を見せていただけますでしょうか!
 
「いいですよ、これは原型師になって5年目に制作したものです」


 

––––おお!!!綺麗ですね!!これ、焼き物なんですね。
 
「花は別の職人さんが手作業で作ったものですが、輸出用として3週間くらいかけて作りました」
 
––––今同じものを作るとしたら、どれくらいかかりそうですか?
 
「もう少し短時間でできるでしょうね(笑)」
 
––––(笑)『猫企画』のキャラクターを作るまでの過程を教えてください!

「『猫企画』の場合はスケッチの依頼を貰い、図面を元に作りました。80%できた段階でデザイナーに見ていただき、手直しをていきました。原型としての仕上がりではなく、1点ものだったのと型抜きや絵付け等の問題もなかったので、一体1日で完成しました。原型となると3日はかかりますね。」

(このサイズの粘土からタクミくんに!)
 
––––1日!!難しかった所はありますか?
 
 「絵で表現した時の個性がまつげなのかアイラインなのかのやりとりが苦労しましたね。あとは“社長”が一番作るのが難しかったです。細身はポキっと折れてしまうことがあるので。逆に“父”はぽってりしているので個性が出しやすく作りやすかったですね。」

––––ムクミちゃんのメガネも難しそうですね


「メガネのような薄いものは陶器の苦手な分野なんです。念のためスペアも作りました」

(焼成前のムクミ)
 
––––確かにこれこそポキっと折れそうですね……。
 
「ただ、いただいたスケッチが奥行きを感じられる絵だったので、今までの経験上で判断して進めて行けたので比較的作りやすかったですね。個性を生かした立体物にしました。」
 
––––ちなみに私(サーモン)を陶器で作ることはできるのでしょうか……?
 
「樹脂系、ストラップならできますね。弓を陶器として作るのは難しいので、別の素材でやるか、構えているポーズなどを変えてもらう必要があります。足が小さいのでもう少し太くしたり、尻尾を体にくっつけたり、弓は持たせて矢は背負わせてみたり。陶器で依頼が来た時は陶器でできるデザインに変更をお願いしていますね」

––––私って相当難易度高いのか……。できるだけ依頼のイメージを崩さず別の形で提案するのは難しそうです。
 
「そうですね、頂いた依頼をいかに原型で表現できるのかが難しい。イメージと違うと言われたらダメなので、お互いに歩み寄りながら作ることが大切です」
 
––––イメージ通りに完成した時は嬉しいですね!
 
「イメージ通りです。と、デザイナーさんの笑顔が見られた時が一番嬉しいです。ただ焼きあがったものを見て、もうちょっとここは膨らました方が良かったなとか、こうすれば良かったというのはよく思いますね」
 
––––加茂さんの作品へのこだわりがよく伝わります。本日はありがとうございました!
 
 
最後に……『猫企画』のメインキャラクターの焼き上がり前後をご覧ください!

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【瀬戸焼とは】
愛知県瀬戸市で生産される焼物です。 
一般に陶磁器製品の総称を「せともの」と言いますが、その語源になっています。
1000年以上の歴史を持ち、鎌倉時代に初めて釉薬を塗った食器を作り出しました。
 釉薬とは…陶磁器の表面に塗る薬品です。焼くことによりガラス質になり、ツヤと耐水性が増します。
 
 
【セト・ノベルティとは】
愛知県瀬戸市で生産される瀬戸焼。
その瀬戸焼で作られた装飾品を『セト・ノベルティ』と言います。
人形や動物、キャラクターなどの置物に花瓶や食器など種類は様々。
1000年の歴史の中で培われた技術で、陶磁器とは思えないほど繊細な作品が作り出されます。瀬戸を代表する特産物の一つです。