
むかしはスマホもメールもなく、遠くの人に伝えたいことがあると「手紙」を使っていました。でも、その手紙は速くて正確に届かなければ、伝えたい気持ちも届きません。
前島密(まえじま ひそか)は、そんな手紙のしくみ=「郵便制度」を日本で初めて作った人です。まるで、LINEやメールをみなさんで使えるように広めた存在です。
彼が作ったのは、ただのルールではありません。人と人をつなげて、社会を動かす「最先端のコミュニケーション・インフラ」だったのです。
1871年(明治4年)に東京と大阪間で官営の郵便事業を開始
いま、世界ではSNSやAIが進化して、ますます人とのやりとりが便利になっています。でも、「心を届けること」「ちゃんと伝えること」の大切さは、昔も今も変わりません。
だからこそ、前島密が作った郵便制度の考え方は、今に生きるわたしたちにとってもすごく意味があります。 この人の物語は、“伝える”を大切にするみなさんに知ってほしい未来へのヒントです。
大隈重信から鉄道建設のための案を作成するよう命じられ、数日でまとめあげた。
また、前島密は、郵便事業だけでなく鉄道や教育の発展にも力を注ぎました。 早稲田大学の前身「東京専門学校」の校長を務めたり、鉄道会社の社長として交通のしくみを整えたりしました。
人と人をつなぐ“道”を、郵便でも、鉄道でも、学びでも広げた——そんな未来を見ていた人です

前島密翁顕彰事業実行委員会は、偉人・前島密の生誕地である新潟県上越市から生まれたプロジェクトです。
上越市には、古くから前島密を顕彰する複数の団体がそれぞれの想いと方法で活動してきました。それぞれが独自の歩みを進める中、今年——前島密の生誕190年という節目に、私たちは「地域全体で未来へつなげる活動を」という共通の願いのもと、一つの実行委員会として結集することになりました。
これまでの活動には反省もありました。生誕180年のイベントでは、参加者の多くが郵政や行政関係の大人たちばかりで、若者の姿はほとんど見られなかったのです。未来を担うはずの世代に、バトンが渡らないまま終わってしまった——そんな反省から私たちは立ち上がりました。
幼年期、青年期などそれぞれの密を演じる中学生
今回は、「あなたへつなげるバトン」というテーマのもと、若い世代とのつながりを軸に据えたイベントを企画しました。そして、生誕地のすぐ近くにある雄志中学校の生徒等とともに、創作劇というかたちで、前島密の志や歩みを次世代が語る舞台をつくる挑戦が始まっています。
もちろん、まだ大人主体の文化や意識が根強く残る中での挑戦です。しかし私たちは信じています。このイベントが、若者たちが歴史に触れ、想いを受け取り、10年後に自分の言葉で語れるような「きっかけ」になることを。
地域の過去と未来をつなぐ「バトン」の物語
この活動は、地域の過去と未来をつなぐ「バトン」の物語です。今を生きる一人ひとりがそのバトンを受け取り、未来へつないでいく瞬間を共につくりたい——その想いのもと、私たちの公演は幕を開けようとしています。
前島密が12歳で江戸に旅立ち、やがて新しい日本を創るメンバーに加わり、「郵便の父」と呼ばれるとなったように、現代の中学生たちも未来へ歩み出す可能性を秘めています。
12歳の密が自分自身にした約束とはこのプロジェクトでは、生誕190年を迎えた前島密の“青春時代”を題材に中学生たちが自ら演じ、歴史と向き合い、そして生誕200年の10年後にむけて、その志を継承することを目指します。
毎日が、新しい前島密との出会い。
芝居を通して、地域の未来を担う若者が、自らの表現力で歴史と感情をつなぎ、観る人の心に“次の旅”への想いを芽生えさせる。それは、過去と未来をつなぐ「旅のリレー」であり、誰もが応援できる“生きた学び”の場でもあります。
前島密が築いた郵便制度は、単なる手紙のやり取りではありませんでした。 それは、人と人を結び、社会を動かす「最先端のコミュニケーション・インフラ」だったのです。
1871年、彼が提案した郵便制度は、情報の流通を加速させ、国の近代化を支える大きな力となりました。 そしてその根底には、「人と人がつながることで、社会は前に進む」という強い信念がありました。
実行委員会メンバーの「前島密とふれあう ふれあうハガキの会」は、30年前から継続して、上越市内の小学生の絵はがきコンクールを行ってきた。
時代は変わり、手紙はデジタルへと姿を変えました。 しかし、コミュニケーションの本質——人と人が心を通わせ、想いを届け合うこと——は、今も変わらず、むしろその重要性は増しています。 SNSやAIが発達する現代だからこそ、「人の手で伝える言葉」「人の声で語る物語」が、より深く心に響くのではないでしょうか。
この舞台は、そんな“つながりの原点”を、今の中学生たちとともに再発見する旅です。 彼らが前島密の青春時代を演じることで、歴史と未来が対話し、観る人の心に「伝えることの意味」を問いかけます。
伝えることの意味を体で学ぶ中学生たち。
そして10年後、彼ら自身がその志を継ぎ、新しい“前島密”として社会に羽ばたいていく。 このプロジェクトは、過去を学び、今を生き、未来を創る——そんな壮大なコミュニケーションのリレーなのです。
7月初旬 中学生によるキャストが決定
7月初旬 晩年の前島密役の俳優を東京より招へいし、シナリオ共同制作が進行中
8月中旬 演技指導も始まり、稽古は本格化しています
【随時、進行状況を報告いたします】
・出演費および謝礼
・音響、照明、制作などの謝礼
・大道具、小道具などの舞台装置代
・配信、撮影代
・広告、宣伝費
・チケット管理のシステム代
・リターン品制作費

地域の方々の応援に感謝を込めて、以下のリターンを予定しています。
・公演記念パンフレット(中学生の言葉・演出秘話を収録)
・中学生からの感謝メッセージ
・出演者の練習、本番の様子を撮影・デザインした特製ポストカード
・当日限定の記念パンフレット
・記念パンフレットにスペシャルサンクスとしてお名前を印刷
・ホームページにスペシャルサンクスとしてお名前を掲載
・前島密の特大パネルA1サイズ(594 × 841 mm)
・中学生から感謝のメッセージをオリジナル動画にして配信
8月13日:クラウドファンディング開始
8月下旬:演技稽古本格化・広報活動開始
9月上旬:リターン制作・発送準備
9月27日:記念公演実施・記録映像編集開始
10月中旬:リターン発送・活動報告
前島密は現在1円切手の顔になってます。
平成27年(2015)一円切手1円切手の顔ですから、目にした方は多いのではないでしょうか。なぜ密が1円切手の顔になっているのでしょうか?
それは密が「郵便の父」と言われているからです。
「郵便の父」という名の通り、日本の郵便制度をつくりあげたのは、前島密です。今にもつながる大きな事業をつくりあげた密は、新潟県上越市の農民の家に生まれました。江戸時代末期の身分制度が残る当時の状況にありながら、密は持ち前の行動力で幕臣になり、明治維新の頃には渋沢栄一や大久保利通、大隈重信ら多くの偉人と交流をもち、日本のために様々な事業を展開することになりました。
なぜ、密はそのような人生を歩むことができたのでしょうか。それは愛情たっぷりの母に育てられたことや、自らの学びを生かし行動力と発想力で自分の人生を切り拓いたことなどがあります。密の人物像について紹介します。
写真左。長崎時代の恩師や仲間たち、文久2年(1862年)頃
前島密は「日本文明の一大恩人
密の功績は「郵便の父」にとどまりません。
・密は電信、電話をひろめました。「デジタルネットワークの父」でもあります。
・飛脚問屋を説得し、近代の陸運、海運の制度をつくりました。
・江戸遷都を大久保利通に建言しました。密の発言によって首都が東京になったと言われています。
前島密の主な業績と関連人物他にも
・鉄道敷設
・盲学校の創設
・新聞事業の育成
など、密の功績は数えきれないほどにあります。
創業当時の東京電話交換局
「日本文明の一大恩人」
前島記念館にある石碑に「男爵前島密君、生誕の処」と書いてあります。これを書いたのは密の友である渋沢栄一です。
石碑の背面は坪内逍遥と会津八一が草案し、選文は市島謙吉が、書は歌人の阪正臣がしました。前島記念館にある石碑は密の人脈に多くの歴史的人物がいることを物語っています。そして数々の偉人が制作にかかわった石碑の背面には「日本文明の一大恩人」と書かれています。密が近代文明の頃に活躍したことを証明しています。
※下池部の住民が中心となり、毎年7月1日、献碑祭を開催している。今年で103年目を迎えた。
前島記念館前にある石碑、大正10年(1921)
前島密の魅力とは
数々の功績があるという事実だけでは、人の心を動かすことはできません。私たちが密を讃え続けているのは、密の人間性に魅了されているからです。密には数々の功績とともに数々のドラマがあります。密の人間性を知っていただくために一つ言葉を紹介します。
それは「正心誠意」です。
「誠心誠意」はよく耳にする四字熟語ですが、「せいしん」を「誠心」ではなく「正心」という言葉で語るのが密です。「正心」は正しい心のことで、密が大切にしていることです。
「増税すればよいという官僚意識でことを進めては誰もが心を通わせる世に変えることはできない」
「金があるから何かができるということではなく、どのようにすればやると決めた目的が実現できるか、それを考え出すのが新しい時代のリーダーの仕事だ」
と密は述べています。
実行委員会メンバー「郷土の偉人前島密翁を顕彰する会」が製作した書籍
密は、近代の郵便事業を税を使わずに民間事業としてつくりあげました。3年で3000もの郵便局を建て、郵便ネットワークを全国にひろげました。「正心誠意」の言葉の通りに密は生きていること、事業を成し遂げていることを感じられます。
密は農民に生まれ、上越の地で母から「正しい心」をもつよう育てられました。
母の教えもあり、実に素直な人間でありました。前島記念館の石碑に「廉潔」という言葉が記されていますが、これは密の「清廉潔白」な人柄がまわりから評価されていたことを表しています。密はその実直さに加え、目的にひたすらに向かう行動力と、学びを生かして世の人々の心を想像する力をもって、近代国家の礎をつくった第一人者として活躍しました。
早稲田大学の建学の人として描かれる前島密と大隈重信(左)
密は教育にも思いがありました。
日本社会の発展のためには教育に力を入れ、国民一人一人の力を高める必要があると考えていたためです。大隈重信とともに早稲田大学の財政・経営上の困難を解決、学問の独立を堅持したり盲学校を創設したりして、学校教育に携わりました。また、漢文の文章を現在の口語調の文章にすることで多くの人が分かりやすく学べる素地をつくりました。
前島記念館。上越市下池部に前島密の業績を顕彰するために創設。
前島密を多くの人に知ってもらいたい
ここまで前島密の功績や人物像を紹介してきましたが、これらはほんの一部で、密の人生にはまだまだたくさんのおもしろいエピソードがあります。
前島密の生まれた下池部には前島記念館には、密にまつわる多くの資料が掲載され保存されています。他にも前島密のエピソードを知るための著書や資料、YouTube動画はたくさんあります。密を知れば知るほど密の魅力を感じます。
密の人生はまさに、自分の人生を自分で切り拓いた人生、と言えます。密は勇気と希望を与える力のある人物と確信しています。
密を見てください。知ってください。
この舞台は、前島密の精神を次世代へ繋ぐ“心のバトン”です。
中学生たちが、自らの表現で歴史を紡ぎ、未来への道を切り拓きます。
その第一歩を、ぜひご一緒に。みなさまの応援をどうぞよろしくお願いいたします。
開催日:2025年 9月27日(土)
開催地:新潟県上越市下門前446-2 リージョンプラザ上越コンサートホール
当日は午前11時から2階フロアーで、前島密や郵便の関連グッズの販売をしています。
開場は午後1時の予定です。
11:00 前島密・郵便関連グッズの展示と販売
13:45 雄志中学校による祝い太鼓
14:00 第1部 記念式典
14:40 第2部 青春は冒険だ!12歳の約束 舞台公演
15:20 第3部 伊藤聡子さんの講演会
16:30 終了
入場は無料ですが、整理券が必要です。
8月14日から、上越・妙高・糸魚川の各郵便局で配布いたします。
また、こちらのお申込みフォームからお申込みいただけます。ぜひご参加ください。
イベント詳細はこちらへ
最新の活動報告
もっと見る9月30日が、クラファンの最終日です。
2025/09/29 11:14【最後のお願いです】このプロジェクトに込めた想い、そして皆さんの応援がここまで運んでくれました。締め切りは明日、30日の23:59。最後まで走り切ります。どうか、最後の一押しをお願いします! もっと見る
広報じょうえつ9月号の特集で紹介されました。
2025/08/26 08:33広報じょうえつ 9月号の特集で紹介されました。少年期(8歳、12歳、18歳)、青年期(35歳)の若き密たちと、80歳の老人密が、ともに冒険に出ます。左端に写っているのが、老人密役の鈴木一功さん(在東京・劇団レクラム舎主宰)、演出もやってます。ここに写ってませんが、もう一人大人の密役の方もいます。ぜひ9月27日の舞台公演にむけて、応援を宜しくお願いいたします。上越妙高タウン情報(上越ケーブルビジョン)でも紹介していただきました。ありがとうございます! もっと見る
上越タイムス紙面で紹介されました。
2025/08/20 16:578月18日の練習の様子が、19日の日刊上越タイムスの紙面で紹介されました。5名のそれぞれの時代の「密」が紹介されています。 もっと見る











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