2014/04/04 17:23
長らくお待たせしています「エゾシカの高級生ハム」。
来週のプロジェクト終了ごろから順次発送を開始できる予定です。

さて、おかげさまで多くの方にご支援をいただいた本プロジェクトですが、無事に成立し、さらには、みなさまのご支援のおかげで予定製造分が昨日時点で全て「OUT OF STOCK」となりました。
本当にありがとうございます。
こんなに多くの方にご支援いただき、皆様にエゾシカの高級生ハムを召し上がっていただけることを本当に嬉しく思っています。

お寄せいただいたコメントを見ていると「今回、初めてシカ肉を食べる!」という方もたくさんいらっしゃるようです。
せっかくなので、“シカ肉ってなんなの?” “エゾシカってなんなの?”を、もう少し詳しくご紹介します。実は、日本では古くから食べられていた「シカ肉」。この機会に知ってみてください。


◆ そもそもエゾシカって何なの?

エゾシカは、名前に「蝦夷(えぞ)」がつくことからも分かるように、北海道に生息するシカの一種です。日本の他の地域で見られるシカと同じニホンジカの亜種ですが、北に生息する個体であるため体が大きいです。同じニホンジカの亜種である「ヤクシカ」に比べると体重が2倍以上かわってきます。

現在、北海道には約60万頭のエゾシカが生息していると言われています。
北海道におけるエゾシカの適正生息頭数は、(諸説ありますが)だいたい20万頭〜30万頭ぐらいであると言われていて60万頭というのは「増えすぎ」ている状況です。増えすぎた結果、人間社会との軋轢がうまれたり、自然環境が破壊されてしまっています。
北海道には牧場がたくさんありますが、エゾシカに牧草を食べられてしまい甚大な被害を被っている方が少なくありません。エゾシカと車・電車・列車が接触してしまう事故も合わせて年間3000件以上が報告されています。「エゾシカとの事故で電車が2時間足止め」なんていうことも日常的に起こっていて、農林業にたずさわってない人も困っています。

この増えすぎたエゾシカ。わたしたちが今やらなければいけないことは「適正数にまで減らす努力」であり、その一つの方法として私は「食べること」を提案しています。


◆ シカって食べていいの?

「日本人は農耕民族だから、昔は肉なんて食べてなかった」
「日本には肉食文化なんてなく、欧米化が進んだから現代人は肉を食べている」

そんな風に言われると「うんうん、そうだよね。」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、私はこれは『ウソ』だと思っています。
たしかに、仏教伝来によって獣肉食を忌避する文化が広がったことが事実ですが、もっと歴史をさかのぼれば私たちは何万年もの間「狩猟採集民族」でした。優秀なハンターであった私たちの祖先はナウマンゾウやシカやアナグマやウサギなど、獣肉を食べて生活していました。もっと言うと、お肉の味を忘れられなかったご先祖様たちは、仏教で禁忌とされて以降も知恵を絞って肉を食べていました。「ウサギを食べたいから“1羽、2羽”と数えよう=ウサギは鳥だということにしよう」「食べてることがばれないように、イノシシ肉を“ぼたん”、シカ肉を“もみじ”、ウマ肉を“さくら”と隠語で言おう」などなど。長野県にある諏訪大社では「鹿食免」という肉食の免罪符が発行されており、「仏様がダメと言うなら神様にお願いして食べてよいことにしてもらおう!」ということまでやっています。

世界的に見ても、シカ肉は古くから食べられている肉です。英語でシカ肉のことを「venison」と言いますが、語源をたどるとラテン語の「狩りの獲物」という意味になります。狩りの獲物と言えばシカ肉……というほど、古くから身近で当たり前に食べられていたお肉だったようです。


◆ シカ肉って、どんなお肉なの?

プロジェクトページにも記載しましたが、シカ肉というのは野生で育ち無駄な脂身がついていないアスリートなお肉です。牛肉とくらべると低カロリー、高タンパク、鉄分豊富な赤身のお肉──カロリーは約三分の一、タンパク質はおよそ二倍、鉄分は三倍と言われています。

「臭い」「硬い」というイメージをもたれている方が多いシカ肉ですが、これは血抜きなどの処理が悪かったり、調理方法がよくなかったりすることがほとんどです。
エゾシカフェで初めてシカ肉を食べる方の多くは「イメージと全然違って臭くない!」「柔らかくて美味しい!」という感想を口にされます。上手に狩猟・捕獲され、適切に血抜きなどの処理がなされたシカ肉は、驚くほど臭みがなくあっさりしています。ジビエ好きな人からは「シカ肉は食べやすすぎておもしろくない」と言われてしまうほど。
調理についても同様で、脂が少ないシカ肉は「ゆっくりと熱を入れ」る必要があります。もしシカの生肉を調理される機会があれば「火の入れ方」には注意してください。焼肉やバーベキューのように「ジュー」っと焼いてしまってはダメで固くパサパサになってしまいます。私の知り合いのフレンチのシェフは「シカ肉は焼くんじゃない、あたためるんだ」と言います。丁寧に丁寧にゆっくりと熱を通すことで柔らかく芳醇な本来のシカ肉の味を楽しんでいただけます。


以上、簡単にエゾシカとシカ肉についてご紹介いたしました。
ぜひ、これをきっかけにシカ肉に興味をもってたくさん召し上がっていただければと思います。最近はジビエが流行なのか、シカ肉を食べられるフレンチやイタリアンのお店も多いです。
もちろん、エゾシカフェにお越しいただければ、美味しいエゾシカ料理だけでなく、シカにまつわるエトセトラを「シッカ」りとお伝えしますよ!