2018/09/28 16:57

今月4日に兵庫を縦断し、大阪湾で「140年に1度」とも言われる高潮をもたらした台風21号。マリンスポーツの体験施設や飲食店が集まる西宮ビーチリゾート(兵庫県西宮市西波止町)では、高波で店舗として使われるコンテナが流され、停電や断水が発生するなど壊滅的な被害を受けた。25日で台風の上陸から3週間。今も爪痕が残る海岸で、店主らは常連客やボランティアの力を借り、元の姿を取り戻す歩みを懸命に進めている。(風斗雅博)

 夕闇の浜辺に明かりがぽつんと光る。電気が一足早く復旧したライダーズカフェ「インザシー」。店主の塚本真衣さん(43)が一人で切り盛りする。台風の通過直後、店には連日、なじみの客が訪れ、トイレや屋根の修理を買って出た。

 その中には、塚本さんが今夏、募金を届けた熊本県のボランティア団体「ロハス南阿蘇たすけあい」のメンバーもいた。メンバーは、近くに災害ごみの処理場を確保。自前で運んできたパワーショベルなどで一面に散らばったがれきを取り除き、被災者の背中を押した。

 「インザシー」は高潮に見舞われた2日後には営業再開のめどが立ったが、周囲の復旧は道半ば。「今度は自分が支える番」と店を休憩所として開放してきた。店の前には寄付で寄せられた工具や飲料が並び、近くの店主が集う。塚本さんは「災害があったからつながった縁もある。助け合って早くにぎわいを取り戻したい」と力を込めた。